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2019/3/16 17:30

房総半島を走る行き止まり路線「久留里線」……予想外の発見の多さにびっくり!

【久留里線で発見⑧】より険しさを増す平山駅から先の路線

駅に戻り久留里線の旅を再開する。久留里駅で通学する学生のほとんどが下車してしまった下り列車。車内に残るのは、ほぼ数人という状態になっていた。久留里駅から先、上総亀山駅まで走る列車が極端に減るのは、この学生の利用客が少ないからだった。

 

とはいえ、久留里線の旅ではここからが興味深い区間となる。久留里駅から先はわずか3駅が残るのみの区間だが、とても変化に富んでいる。

 

まずは平山駅〜上総松丘駅(かずさまつおかえき)間では、蛇行して流れる小櫃川を2本の鉄橋で渡る。

↑上総松丘駅〜上総亀山駅間が久留里線の中で最も険しい区間となる。列車は2本のトンネルを通り切り立つ山々を越える

 

↑列車は平山駅〜上総松丘駅間で小櫃川を2本の橋で渡る。さらに上流部に行くと、写真のような深い渓谷を形作り路線の眼下を流れる(上総松丘駅〜上総亀山駅間)

 

さらに上総松丘駅〜上総亀山駅と最終区間では、久留里線でここのみのトンネルが2本続く。それだけ、険しさが増す区間と言って良い。列車からは取り囲む山々や絶壁下に渓谷が見渡せてより楽しさが増す。

 

起点となる木更津駅から直通列車で終点の上総亀山駅までは1時間10分ほど。時間としてはそれほど長くないが、乗車したらおもしろい発見が多々あった。

 

本原稿では先に久留里の街を紹介しているが、実際は木更津駅からの上総亀山駅までの直通列車に乗った。終点の上総亀山駅まで乗っていたのは、筆者と、あとは熟睡してしまい乗り過ごしてしまった若者の2人のみだった。

↑久留里線の終着駅・上総亀山駅。駅周辺は民家が集うものの、静かそのもの。商店街はない。ホームは1本のみで、到着した列車はひと休みしたのち、そのまま戻っていく

 

↑ホームの先にも線路が100mほど先にある車止めまで延びている。2012年までは2番線ホームがあり、また写真左には待避線も設けられ、手前にはそれらの線をまとめるポイントがあった。3月初頭、構内には白とピンクの梅の花が咲き、彩りを添えていた

 

 

【久留里線で発見⑨】久留里線の沿線は都内とバスで直結していた

終点の上総亀山駅に到着したので、ここでレポートも終了といきたいところだが、触れておかなければいけないことがある。

 

実は久留里線の沿線は高速バスを使うと、非常に便利なのだ。沿線では小櫃駅、久留里駅、平山駅にそれぞれバス停がある。東京の浜松町バスターミナルから高速バスを使えば久留里駅まで1時間45分前後で行けてしまう。

 

しかもその本数が多い。上りの東京駅八重洲口・浜松町・東京タワー行きが日に19本も出ている。しかもバス便はこれだけでない。千葉駅行き直通バスは日に9本、さらに渋谷マークシティ、二子玉川ライズ行きも日に4本が出ている。実はローカル線が走る一方で、東京駅、渋谷、二子玉川といった東京の繁華街と直結していたのだ。これは勝負がもう付いていると言っていいだろう。

 

鉄道好きにとってはのんびり楽しめるローカル線も裏をかえせば、地元の人たちにとっては、使うことの少ない公共交通機関となっていた。高速道路網の充実がこのような形で地方の鉄道路線に影響していたわけだ。

 

↑小櫃駅前にあるバスのりば、複数のバス会社が共同で東京都内と千葉駅行きのバスを運行している。久留里線の沿線はバスを使えば実に便利な場所でもあった

 

 

【久留里線で発見⑩】駅の写真を整理していたらおもしろい発見が

さて帰ってきて写真を整理していると、おもしろいことに気がついた。いくつかの駅を下記のように並べてみると、駅舎の入口と改札口がほぼまっすぐ、きれいに揃った。駅舎の正面に立って撮影すると、ほぼその先の改札口の中が見えたのだ。

 

遠近法の原理から言えば改札口の方が小さくなって見えているが、入口と改札口の大きさがほぼ同じなのだろう。このスタイルは駅事務所が左右どちらかにある構造の駅であっても、変らなかった。

 

たぶん駅舎を造る際に、国鉄の標準スタイルの駅舎建築を利用したこともあるのだろう。さらに改札口の向こうには房総らしく緑と青空が広がっていた。これこそが「久留里線独自の世界」なのかも知れない。バスにより東京都内と直結したとしても房総の魅力がいつまでの残って欲しいと切に思ったのだった。

↑久留里線の駅には駅の入口と改札口が一直線となっている駅が多い。左上から右へ横田駅、馬来田駅、小櫃駅。下段は左下から久留里駅、平山駅、上総亀山駅

 

 

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