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2019/3/24 18:30

相模川に沿ってのんびり走るJR相模線−−秘められた10の謎に迫る

【相模線の謎⑦】海老名駅から次の厚木駅まで並走する路線は?

相模原台地を徐々に下り降りてきた相模原線は、海老名駅の手前で左手に見えてきた線路と並走するように走り始める。さてこの路線はなんだろうか?

 

小田急小田原線や相模鉄道本線の海老名駅は、相模線の海老名駅とやや離れたところにあるからちがう。

 

答えは、相模鉄道の厚木線だ。

 

相模鉄道の厚木線は旅客営業をしておらず、一般には馴染みの薄い路線だ。路線の登録上は貨物線となっている。といっても貨物列車は走らない。走るのは相模鉄道に運ばれてきた新造車両や、厚木駅(貨物駅)構内にある留置線を使用する車両のみだ。

 

海老名駅の自由通路からも見える路線だが、この線路を走る電車をもし見ることができたならば、かなり希少な場面に遭遇したと思って良いかも知れない。

↑相模線の線路に並走して走る相模鉄道厚木線(右側の線路)。旅客列車は走らず、貨物線となっている。相鉄本線の海老名駅〜かしわ台駅間にある相模国分信号所と厚木駅(貨物駅)を結ぶ2.2kmの路線だ

 

相模鉄道厚木線は、相模線の海老名駅と厚木駅の間の1.7km、ぴったりと寄り添うように走る。

 

これこそ、相模線が相模鉄道として一緒だったころの面影を残す区間でもある。現在は相模鉄道の厚木駅は、新造車両の導入や、試運転車両の走行、また休車となった車両の停め場所などとして使われている。

 

2019年の暮れには相模鉄道とJR東海道貨物線との間に新線が誕生、旅客列車の相互乗り入れを始める予定になっている。現在、あまり使われていない相模鉄道の厚木駅も、駅施設の一部整備が行われている。新線開業後は駅構内の様子も変ってくるのかも知れない。

↑相模鉄道の20000系(写真右)公開時に撮影した相模鉄道厚木駅(貨物駅)の留置線の様子。相模線はこの右手が走る。1998(平成10)年9月までは在日米軍の厚木基地へ輸送されるタンク列車が相模線から厚木駅に入り、さらに相鉄本線経由で運ばれた

 

【相模線の謎⑧】次は「社家駅」。さてこの駅は何と読む?

海老名駅と厚木駅で乗車していた人たちが大きく入れ替わる。両駅での乗換えが非常に多いことが良く分かる。

 

厚木駅の次は社家駅だ。さて社に家と書き、何と読む? 答えは「しゃけえき」だ。難読駅と言っても良いだろう。地名をもとにしている駅名だろうが、どのような意味があるのだろう。

 

「社家」という言葉は事典を見ると「神職の家柄」とある。世襲していた神社の家柄や神主を指す言葉だ。社家駅は海老名市社家という住所にある駅だが、この社家地区には古くから神職に携わる人が多く住んでいたようだ。なかなか由緒ある地名なのである。

↑社家駅も倉見駅と同じ相模鉄道当時に造られた駅舎が残る。アール(曲がり)を付けた駅入口が印象的だ。昭和初期に流行した建築を見ると、このように玄関上部にアールを付けた形状のものが良く見られる。国鉄の典型的な駅舎とは一線を画する建築でおもしろい

 

社家駅のすぐ近くで相模線と東名高速道路がクロスする。さらに社家駅付近から右手に相模線と平行して圏央道(首都圏中央連絡自動車道)が延びている。東名高速道路に加えて圏央道は、ここ数年、整備が進み、ジャンクションなどの施設が相模線を絡むような形に設けられている。

 

社家駅と同じ形の駅舎が残る倉見駅付近では東海道新幹線が相模線とクロスする。倉見駅のホームから、東海道新幹線を通る列車の通過音が良く聞こえる。

↑東海道新幹線の相模川橋梁。相模線とは倉見駅の南側でクロスする。写真は相模川の堤防から撮ったもの。倉見駅ホームからは通過音が聞こえるが、橋梁自体は良く見えない

 

↑相模線のはるか上空を通る圏央道の高架橋。厚木駅からしばらく間、相模線とほぼ平行して高架橋が設けられている。写真左手に相模川が流れているが堤防があるために、車窓からは川の流れを見ることができない

 

【相模線の謎⑨】相模線の踏切の後ろに立つ鳥居はどこのもの?

宮山駅と寒川駅の間、大門踏切という踏切のそばに大きな鳥居が立っている。この鳥居はどこの神社の鳥居なのだろう。相模線を使って参拝客が多く訪れる寒川神社。その最寄り駅は宮山駅のはずなのだが。

↑大門踏切から見える鳥居。こちらは寒川神社の一の鳥居だ。ここから寒川神社は参道が延びていて、先に二の鳥居、三の鳥居と続く。参道は一方通行の車道となっている。参拝客が多いシーズンには、この先ルートが大渋滞となりがち

 

相模線の踏切そばにある鳥居は寒川神社の一の鳥居だ。さらにこの先にある入口まで参道が続き、二の鳥居、三の鳥居と続く。参道の長さはなんと850mにも及ぶ。

 

約1600年の歴史を持つ寒川神社。相模國一之宮と称され、全国唯一の八方除の守護神として崇拝される。この参道の長さだけを見ても、多くの人たちからの崇敬を集めてきたことが分かる。

↑寒川神社にある神池に太鼓橋が架かる。その先には三の鳥居(明神鳥居)が立つ。寒川神社の最寄り駅は相模線の宮山駅で歩いて5分ほど。寒川駅から一の鳥居経由で歩くと約1.6km、20分ほどかかる
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