乗り物
鉄道
2019/4/27 17:30

上州名物・赤城山の南麓を走る「上毛電気鉄道」10のお宝

【上毛電鉄のお宝⑥】大胡駅すぐそばには名物の車両基地がある

中央前橋駅から17分ほどで大胡駅(おおごえき)に到着する。この駅の近くに上毛電鉄の車両基地、大胡電車庫がある。

 

大胡駅は古風な木造の駅舎だ。駅からほんの数分歩くと電車庫に着く。通常、電車庫は外から眺めるのみだが、年に3回(次回は10月27日)、「上毛電鉄感謝フェア」が開かれ、電車庫も一般に開放される。ちなみに大胡駅の駅舎、大胡電車庫内の建物、さらに大胡変電所(鉄塔も含む)は、国の登録有形文化財に認定されている。

↑昭和初期に建てられた木造駅舎が残る大胡駅。同建物も国の有形文化財に登録されている。駅舎の右手の道の先に行くと、すぐ先に大胡電車庫がある

 

↑電車庫近くの道からも写真のように車庫内を望むことができる。写る車両は手前からデキ3021電気機関車とデハ104。デハ104は動態保存された101と同形車両で、こちらは車体がカラシ色に塗られている。残念ながら静態保存車両で本線を走ることはできない

 

大胡電車庫は駅のホームからも見ることができるが、フェア開催時以外に訪れた時には、駅を下車して電車庫まで行き、身近に停まる電車などを見ておきたい。車庫が駅から至近というのはお宝そのものだ。

 

 

【上毛電鉄のお宝⑦】桐生球場前駅近くの桜並木が美しい

大胡駅からさらに先へ。今回は立ち寄れなかったが、新屋駅(あらやえき)から徒歩10分ほどの女渕(おなぶち)城趾は歴史好きならば、ぜひ立ち寄りたいところ。後北条家と長尾景虎(後の上杉謙信)の戦い、さらに真田昌幸、沼田平八郎らの攻防の舞台となった城趾だ。

 

中央前橋駅から乗車して38分。赤城駅へ着いた。この赤城駅は上毛電鉄の路線で唯一、他線との接続がある駅だ。東京の浅草駅へ直通する特急「りょうもう」の始発駅でもある。

↑赤城駅は上毛電鉄開業当時、新大間々駅(しんおおままえき)という駅名だった。その後の1932(昭和7)年に東武桐生線が延伸、1958(昭和33)年に赤城駅と名が改められた。地元みどり市の中心駅で、わたらせ渓谷鐵道の大間々駅も徒歩約12分と歩ける距離にある

 

↑赤城駅は1・2番線が上毛電鉄のホーム、向かいの3・4番線が東武桐生線のホームとなっている。浅草駅行きの特急「りょうもう」は、ほぼ1時間おきに出発していて便利だ

 

赤城駅と上毛電鉄の次の駅、桐生球場前駅までの間は、東武桐生線が平行して線路が敷かれている。桐生球場前駅は上毛電鉄の駅のみ。東武桐生線には駅が設けられず、赤城駅の次の駅は相老駅(あいおいえき)となっている。

 

桜の季節は終わってしまったのがちょっと残念だが、桐生球場前駅付近の桜並木は見事だ。上毛電鉄の一つのお宝と言っていいだろう。

 

↑桐生球場前駅付近を通過する東武特急「りょうもう」。同駅付近から赤城駅まで1km以上の区間、上毛電鉄と東武桐生線の線路が平行して走っている。車窓からも桐生市運動公園を取り巻く桜並木が良く見える

 

↑桐生球場前駅〜赤城駅間を走る上毛電鉄の700形。後ろに写るのは桐生市運動公園とその周りを彩る桜並木。すでにシーズンは終了してしまったが、例年、多くの人がお花見に訪れる。桐生市運動公園は上毛電鉄の桐生球場前駅のすぐ目の前にある

 

 

【上毛電鉄のお宝⑧】えっ! 群馬県にも富士山があった

桐生球場前駅の2つ先に、その名もずばり富士山下(ふじやました)という駅がある。

 

えっ! 群馬県なのに富士山? 実はこの駅前にも富士山があるのです。さて、その富士山にチャレンジした。登山口(?)からほんの5分。もう山頂に着いてしまった。標高170mの小さな山だから当然なのだが。

 

この富士山。各地に残る富士信仰に関連した富士山の一つとされる。山頂に浅間神社もあった。しかし、標高が低いからと侮るべからず。山頂から桐生の街並みが一望できる。さらに登山道からは上毛電鉄の渡良瀬川橋りょうを眺めることもできて、登ってとてもトクした気持ちになった。

↑群馬県桐生市にも富士山がある。その山麓にあるのが富士山下駅だ。同駅はGoogleアプリのCM「よく似た名前」篇にも登場していた実は名物駅でもある

 

↑桐生の富士山からは眼下に桐生の街並みが眺められる。入口はやや分かりづらく、地元の人が立てたのだろう、入口という小さな木の案内が立てられていた(右下写真)。山頂からは富士山下駅も木の間にわずかだが眼下に望むこともできる

 

↑富士山の“登山路”から眺めた渡良瀬川橋りょう。渡良瀬川を渡る長さ157.280mのガーダー橋で、国の有形文化財に登録されている。渡るのはデハ101。中央前橋駅側の正面は中央に貫通トビラが付いていて、もう一方の正面とは印象が大きく異なる

 

富士山下駅の次が丸山下駅。この駅も同じように丸山という下にあるため丸山下駅と名付けられている。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4