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2019/5/11 17:30

祝! 待望の新路線「リアス線」が開業 ――4時間23分の長旅を満喫した!

 

【リアス線おもしろ旅④】津軽石駅がどう変ったか訪ねてみた

宮古駅から2つめに津軽石という駅がある。宮古湾の南側、最奥に位置する駅だが、東日本大震災では津波の影響を受け、ホーム手前まで線路とともに路盤が流されるなどした。

 

ちょうど2年前(2017年5月6日)に津軽石駅に訪れ、写真を撮影した。比べた写真が下記だ。線路が敷かれているため、まったく同位置に立つことはできなかったが、2年のうちにこうして復旧がされていたことが実感できた。

 

さらに駅のすぐそばに立派な立体交差道が出来ていたのにはびっくりさせられた。こうした公共工事は着々と進む一方で、駅周辺に空き地が目立った。被災地ではこうした寂しい現実も散見される。

↑2年前の津軽石駅を比較した。左はちょうどバラストを敷き詰められたその様子。現在は上下2本の線路が敷かれ、上り下り列車が行き違いできる駅として機能している。右上は宮古湾方面から駅に入る地点の変化。駅名案内もJRから三陸鉄道のものに変更された

 

↑津軽石駅を発車する宮古駅行き下り列車。ポイント横には110km地点を示す距離標が立っていた。この距離標、山田線当時の盛岡駅からのキロ数の表示がそのまま残っているように思え、ちょっと不思議に感じた。ちなみに起点の盛駅から津軽石駅は82.8kmにある

 

 

【リアス線おもしろ旅⑤】豊間根駅を過ぎて峠越えの区間に入る

津軽石駅からは山間へ入っていく。2つ先の豊間根駅(とよまねえき)と、次の陸中山田駅までは駅の間の距離が11.1kmとリアス線の中で最も長い。

 

ちなみにJR山田線は当初、陸中山田駅を目指して路線が敷かれたこともあり、山田線と名付けられた。現在JR山田線(盛岡駅〜宮古駅間)は、山田までは走らない路線となったが、昔からの山田という名前が路線名として残されている。

↑豊間根駅〜陸中山田駅間では、広々した水田風景に出会う。ちょうど田には水が張られ田植えの準備が行われていた

 

↑上記の水田風景が終わり、列車は山の中を走り始める。豊間根駅〜陸中山田駅の間を通る旧道には祭神峠(さいがみとうげ)という峠があり、リアス線はその旧道に沿って路線が敷かれている

 

豊間根駅〜陸中山田駅間には旧北リアス線や旧南リアス線では見ることが出来ない険しい峠越えがある。そのため、リアス線の列車はスピードを抑えつつ、急な坂をのぼり、また峠を越えると軽やかに坂を下って走る。

 

旧山田線の魅力は海景色とともに、こうした山や里の景色が場所ごとに変化していくところだろう。

 

 

【リアス線おもしろ旅⑥】海景色が楽しめる浪板海岸駅付近

旧山田線沿線は、55.4kmという距離のうち、半分近くの21.7kmが浸水、鉄橋なども6か所で破壊された。中でも陸中山田駅、大槌駅、鵜住居駅(うのすまいえき)といった標高が低く海が近い平野部が津波の大きな影響を受けた。

 

旧山田線の復旧に時間がかかった一つの理由として、こうした場所にあった住宅地の再生計画の行方を待たなければいけなかったこともあった。かさ上げをするなど再生計画もその土地ごとに異なっていた。

 

訪れた陸中山田駅や大槌駅周辺もようやく街の再生が始まりつつある。そして街の中心、そしてシンボルにリアス線の新しい駅がなりつつあった。

 

さて、陸中山田駅の次の駅、織笠を過ぎると、海を望みつつ列車が走るようになる。さらに列車は進み、浪板海岸駅(なみいたかいがんえき)の前後で海がさらに良く見えるようになる。とはいえ、旧山田線の海沿いの区間では線路と海の間に樹木が茂る箇所が多く、ピンポイントでしか海景色が楽しめないのがちょっと残念だった。

↑浪板海岸駅付近では国道45号よりも、やや高い位置を列車が走る。浪板海岸では震災の影響で海岸沿いにあった松林や、砂浜が消失してしまったそうだ。浪板海岸は震災前、寄せる波のみで引く波がないという“片寄せ波”で知られる海岸でサーファーに大人気だった

 

浪板海岸駅は大槌町の町内にある駅だ。この大槌町、町の中心である大槌駅周辺が震災の大きな影響を受けている。津波により町内の住まいが多く流された。現在は、かさ上げが行われ、新しい住まいも建ち並ぶようになっている。その一方で、工事を待つ空き地も多く残っていたのが印象的だった。

↑大槌駅近くを流れる大槌川橋梁を渡るリアス線の列車。すぐ横の河口部分には巨大な防潮堤の工事が進められていた。この大槌川橋梁も津波の被害を受け、橋脚などの修復を含め大規模なかけ替え工事が行われている

 

↑新製された大槌駅。駅舎内には観光案内所や飲食スペースも設けられた。大槌町の新たな拠点として活かされている様子だった。ちなみに屋根は大槌町内にある島がモデルとなったとされる人形劇「ひょっこりひょうたん島」の姿に合わせたものとなっている

 

大槌駅から先、JR釜石線との接続駅、釜石駅へはあと2駅。鵜住居駅(うのすまいえき)、そして両石駅(りょういしえき)と列車は停まりつつ進む。

 

↑両石駅近くでは眼下に両石湾を望んで走る。かつてこの地では漁場を荒らすトドを捕獲するためのトド漁が行われたとされ、トド供養塔が立つ。この両石湾にも巨大な防潮堤が港と集落の間に造成されつつあった
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