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2019/8/17 21:00

ダイハツ4代目「タント」に試乗して感じたこと。ライバル車たちより一歩リードしてるな。

使い勝手の良さでは、また一歩ライバルをリード

とはいえ、この新型タント/タント カスタムの真骨頂はやはり室内回りでしょう。タントは、2007年に登場した2代目から助手席側の前後席間にあるピラー(Bピラー)の機能をドアにインテグレートしたミラクルオープンドアを採用。

巨大なボディ側面の開口部を実現していますが、新型では「ミラクルウォークスルーパッケージ」を組み合わせることで日常の使い勝手を格段に向上させました。その代表格となる機能が、実に540mmというスライド量を誇る運転席ロングスライドシート(世界初)。これにより運転席と後席のウォークスルーが容易としたほか、運転席に座ったまま後席にアクセスできるので、たとえば後席(のチャイルドシート)に座る子どもの世話を……といった場面で重宝すること請け合いです。

↑運転席ロングスライドシートを一番後方にセットするとこのような具合。助手席も380mmのスライド量を誇るので、特に後席へのアクセス性が格段に良くなりました

 

↑タントのシート表皮はファブリックでカラーはグレーが基本。広さは前後とも申し分なく、後席は調整次第で足が組めるほどの空間になります

 

↑タント カスタムのシートはカラーがスポーティなブラック基調に。撮影車はターボ仕様のカスタムRSで表皮はファブリックとソフトレザー調のコンビとなります

 

もちろん、一番後ろまでスライドさせるとステアリングなどが操作できませんから安全性に対する配慮も十二分です。ロングスライド機構はシフトセレクターがPレンジ(パーキング)に入っていて、なおかつ解除スイッチを押さないと常識的なスライド量に制限。スイッチでロックが解除される時間も1回の操作につき約5秒となるので、誤操作による不測の事態を心配する必要はないでしょう。

↑運転席ロングスライド機構のロックを解除するスイッチはインパネ右下に加え運転席シートバック裏にも用意。スイッチを押し、5秒以内にレバーを操作するとロングスライドができます

 

“初モノ”は、それだけにとどまりません。半ドアの助手席を自動で全閉にする助手席イージークローザーやパワースライドドアが閉まりきる前にドアロックを事前予約できるタッチ&ゴーロック機能。そして降車時に予約しておき、電子カードキーを持ってクルマに近づくと自動でパワースライドドアが開くウェルカムオープン機能は、いずれも軽自動車では初採用とか。決して「なければ困る」という装備ではありませんが、おそらく小さな子どもを連れてショッピングといった場面では、そのありがたみがヒシヒシと実感できるであろうことは想像に難くありません。

↑メーター類はステアリングの上から確認するレイアウトで、全グレードでデジタル化。タントのインパネのカラーは、グレーを基本としつつグリーンもしくはネイビーのアクセントが入ります

 

↑シートと同様、カスタムのインパネはブラック基調に。基本レイアウトはタント同じですが、随所にクロームやシャインブラックのトリムを組み合わせて高級感を演出

 

↑左右分割式のリアシートには240mmのロングスライド機構が備わるので、積む荷物や後席乗員の体型・人数に応じたアレンジが可能です。絶対的な容量も十二分です

 

骨格から新設計した成果で、基本機能にも磨きがかかりました。フロントピラー(Aピラー)が従来より細くなったことで前席からの視界が拡大。一層運転しやすくなったほか、室内のフロア高が16mm低床化され子どもから高齢者に至る乗降性と荷物を積載する際の利便性が向上しました。また、ダイハツは産学協同研究で、おもに高齢者がクルマを使う際の利便性を追求。この新型タントから形状やレイアウトを最適化したアシストグリップや電動のサイドステップを用意するなど、特に地方ではライフラインの役割を担う軽自動車に相応しい地道なアップデートを行っていることも見逃せないポイントといえるでしょう。

↑メーカーオプションですが、前席には格納式シートバックテーブルを用意。500mlの紙パックが入るカップホルダーや荷物用フックなども備わります

 

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