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2019/11/17 18:00

相鉄線とJR線が11月30日に直結!—試運転電車に乗車して気になる路線模様をチェックした

〜〜注目したい相鉄・JR直通線が開業&新ダイヤ発表〜〜

2週間後の11月30日に、待ちに待った相模鉄道とJR東日本の路線を結ぶ「相鉄・JR直通線」が開通する。これに合わせて先ごろ報道陣を乗せた試運転電車が運転された。

 

本サイトでは、これまで何度か相模鉄道の話題をお届けしてきた。新線の開業後には相模鉄道の二俣川駅(ふたまたがわえき)と新宿駅が最短44分で結ばれる。試運転電車に乗車すると、これまで見ることができなかった路線模様がチェックできた。今回は、相互乗り入れで楽しめる路線の風景を中心に、新線の気になるポイントに迫ってみた。

 

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【はじめに】20年の歳月を経て誕生する相鉄・JR直通線とは

新線計画が机上に上がったのは2000(平成12)年1月27日のことだった。運輸政策審議会答申第18号で、2015年までに東京圏で整備すべき路線として、相鉄の二俣川駅〜横浜駅〜大倉山駅(東急東横線)間を結ぶ「神奈川東部方面線」の計画が含まれていた。当初、東急東横線との相互乗り入れに関しての新線計画だったが、2004(平成16)年秋に相鉄から、JR東日本との「相鉄・JR直通線」の構想が公表された。

 

その後に神奈川県、横浜市も加わり、調整が進んでいった。2006年に国土交通省に営業構想の認定を申請、2009年10月20日、国土交通省から工事施工認可を受ける。そして2010年3月25日に相鉄・JR直通線の起工式が行われた。

 

↑11月30日の新線開業で、相互直通運転が実現する区間を地図にした。相鉄から乗り入れる電車がピンク囲みした駅に停車して走ることになる。新駅の羽沢横浜国大駅と、武蔵小杉駅間はノンストップで走ることもあり、かなりのスピードアップが期待できそうだ

 

新線が計画されてから、工事が着手されるまでに丸10年。起工してから9年と、ほぼ20年かけて、この11月30日の完成に至るわけである。都市計画がプランニングされてから完成まで、いかに時間を必要とするかが良くわかる。

 

今回、誕生する新線の長さは2.7km。西谷駅(にしやえき)から新駅の羽沢横浜国大駅(はざわよこはまこくだいえき)間の距離は2.1km。羽沢横浜国大駅の先で東海道本線の支線・東海道貨物線と連絡する。JR東日本の路線から相鉄内へ乗り入れる列車は相鉄本線の終点、海老名駅まで走る。一方、相鉄からJR東日本の乗り入れる列車の多くは新宿駅止まりだが、一部の電車は先の、赤羽駅、大宮駅、川越駅などの駅まで直通運転が行われる。

 

相互乗り入れに使われる電車は相鉄が新型の12000系、JR東日本が埼京線用の緑の帯、E233系7000番台が使われる。車両の運用形態がどのようなになるかは不明だが、相鉄、JR東日本の車両にかかわらず、乗り入れ運転を行うことになりそうで、東京都内はもちろん、埼玉県内でも相鉄電車が走る姿を見ることができそうだ。

 

↑相鉄12000系電車。紺色のYOKOHAMA NAVY BLUEの車体が特徴となっている。正面は“獅子口”をイメージしたデザインで、相鉄らしさが感じられる。とはいえ車両の仕様は、JR東日本のE233系を元にしておりJR線内でも支障なく操作できるように造られている

 

↑8月からはE233系の相鉄乗り入れ試験が始められた。かしわ台車両センターには相鉄の電車に囲まれE233系電車が停まる。こうした光景も頻繁に見られるようになった

 

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【気になる路線模様①】西谷駅に新宿駅行き電車が滑り込む

筆者が8月末に西谷駅を訪れた時には、1番線・4番線ホーム(相鉄・JR直通線用)側には、仕切りが設けられていた。そして最終工事が進められていた。およそ3か月後の試乗会の日には、仕切りもすっかり取り払われ、あとは開業を待つのみとなっていた。

 

待ちに待った試運転電車が、西谷駅の新線用4番線ホームに滑り込んできた。試運転電車は最初に誕生した12000系の第一編成だった。

↑西谷駅の4番線ホームに入線する新宿行き試運転電車。使われたのは12000系の第一編成だった。この日は行先表示が「回送」となっていたが、11月30日以降は、もちろん「新宿」となる。相鉄沿線に新しい時代が訪れたことが実感できそうだ

 

駅に入線するシーンを撮影した報道陣を、あわただしく乗せ、まもなく試運転電車が新宿駅へ向けて発車した。

 

 

【気になる路線模様②】西谷駅を発車してすぐにトンネルへ入る

これから先、写真を中心に路線模様を見ていきたい。一部は過去に撮影したものを織り交ぜて紹介していこう。

 

西谷駅から発車した試運転電車。右手に横浜駅へ向かう相鉄本線を見つつ、すぐに新線区間の西谷トンネルへ入る。走行はもちろんスムーズ。トンネルへ入りどんどん進んでいく。まもなく新しい駅の光が先方に見えてきた。

 

↑発車したばかり、試運転電車の前面展望が撮影できるという恩恵にあずかる。先に見えるのが西谷トンネルの上り線の入口。西谷駅から2.1km先に新駅の羽沢横浜国大駅がある

 

すでにこうした新線を使っての習熟運転は7月から始まっていた。そうした試運転の様子を西谷駅の近くの跨線橋から捉えたのが下の写真だ。本線をはさんで上り新線は左側を入っていく。一方、下り新線は右手から出てくるという構造だ。

 

↑相鉄本線をはさむように相鉄・JR直通線の線路が敷かれている。左は羽沢横浜国大駅へ向かう試運転電車。右側に、下り線用の出口がある。トンネル出口に向けて近づいてくる電車の音が聞こえ、跨線橋の上からも近づいてくる電車の存在が確認できた

 

【気になる路線模様③】2分ほどで羽沢横浜国大駅に到着する

西谷駅から2分ほど。まもなく新駅の羽沢横浜国大駅へ到着した。同駅もほぼ完成していた。いまは開業に向けて工事スタッフが最終的な調整をしている様子だった。しばらくの間、停車する。この駅で、相鉄の運転士からJR東日本の運転士へ引き継がれる。

 

ここからはJR東日本の路線となることが実感できた。

↑今回の試乗では新駅の羽沢横浜国大駅での下車はかなわなかったが、試運転電車から見る下り線用ホームは完全にできあがっていた。ホームドアも完備、安全性に配慮されている

 

↑以前に報道陣に公開された時の羽沢横浜国大駅(2019年3月28日撮影)。地上に駅の入口があり、地下階にホームが設けられた。11月30日以降、同駅と駅周辺がどのように変化するのか、興味深いところだ

 

羽沢横浜国大駅付近は、近くにJR貨物の貨物駅、横浜羽沢駅があったものの、旅客営業が行われてこなかった。他の路線も通らず鉄道の駅が近くにない。新駅の前を通る路線バスも朝から夜までほぼ1時間おきの運行で、横浜市内にしては、非常に本数が少ない。羽沢横浜国大駅付近は、これまで “陸の孤島”でもあった。

 

そうした状況が劇的に改善される。駅前にはバス乗降場も整備される。需要に合わせた新路線などの整備も、開業後に進むことになりそうだ。筆者は同駅付近に数回訪れてみたが、周辺の新築住宅の販売も活況そのものに見えた。

 

 

【気になる路線模様④】日吉駅への分岐を右に見てJR線へ合流

羽沢横浜国大駅でJR東日本の運転士にバトンタッチされ、ここからは東海道貨物線へと入っていく。羽沢横浜国大駅を発車すると、まずは一つの分岐がある。中央を走る2線は、そのままトンネルに入っていくのだが、この先どこへいくのだろう。

 

この中央の2本の線路は「相鉄・東急直通線」と名付けられた新線区間で、2022年度に完成の予定だ。完成後には新横浜駅付近を通り、東急東横線の日吉駅につながる。

 

上り試運転電車は、分岐から左の線路に入り地上へ登り始めた。そして東海道本線の支線、貨物列車専用の路線、通称・東海道貨物線へ入っていった。

 

※11月22日:初出では「羽沢横浜国大駅」とするところを「西谷駅」としておりました。誤記があり大変申し訳ございませんでした。

 

↑羽沢横浜国大駅北側の分岐部分を俯瞰する(報道公開された時のもの)。中央の2線が「相鉄・東急直通線」の線路。分岐から左と右手に分かれる線路がJR東日本の路線と行き来する連絡線だ。同ポイントはすでに建物が手前にでき、俯瞰できなくなっている

 

↑JR東海道貨物線に合流した地点付近からはJR貨物の横浜羽沢駅が見える。1979(昭和54)年に開業した貨物専用駅で、貨物の積み下ろしに利用する立派な上屋(うわや)付きのホームが構内中央にあり目を引く

 

 

【気になる路線模様⑤】トンネルの出口から東海道本線と並走する

羽沢横浜国大駅を出発した試運転電車。JR貨物の横浜羽沢駅を横に見つつ、しばらく東海道貨物線を走る。この東海道貨物線を通過する列車は、主に貨物列車だが、旅客列車も少なからず走っている。「湘南ライナー」、「おはようライナー」、「ホームライナー」という通勤・通学専用の列車で、平日のみの限定運転、「土・休日は運休」の列車だ。大船駅〜品川駅間、もしくは藤沢駅〜渋谷駅間はノンストップで運転される。横浜駅、川崎駅は止まらない。

 

東海道本線の沿線のうち、大船駅よりも西側エリアに住み、通勤用に「ライナー」を利用している方には、試運転電車が走った沿線模様はすでに見慣れた光景だろう。しかし、多くの方には、なかなか見ることができない路線でもある。そこで細部、そして貨物線らしい面白さをお届けしたい。

 

貨物駅らしく多くの留置線が並ぶ横浜羽沢駅の構内を横に見て走った後に、長いトンネルへ入る。まずは港北トンネル4,038mだ。横浜市の港北地区の住宅地の下を貫いている。この先、トンネルに続く地上路線がJR横浜線の上空を跨いでいる。しかし、この外に出た区間から景色を眺めることはできない。通過するのが主に貨物列車ということで、騒音をふせぐため、路線をすべて覆ったシェルター区間になっているためだ。

 

この区間、外を走っていることに乗客は気付かずで、列車はそのまま次のトンネル・生見尾トンネルへ入っていく。

 

↑相互直通運転が行われる路線の鶴見駅前後の様子を地図にした。ここで注目したいのは東海道貨物線が地上へ姿を現す箇所と、鶴見川橋梁の上下線の造り。早くも鶴見川沿いでは相鉄の試運転電車を撮影しようとする鉄道ファンの姿が見受けられている

 

次に地上へ出るのは横浜市鶴見区内。左右に線路が何本も走る箇所で地上へ出る。この区間の線路は、左から横須賀線(湘南新宿ライン)、京浜東北線、東海道本線の順に並ぶ。試運転電車が走る東海道貨物線をはさみ、右側には高島線(横浜湾岸に延びるJRの貨物線)、京急本線といった様子だ。同区間ではいくつかの跨線橋が上空を跨ぐが、橋上から見ると、ずらりと並ぶ線路。実に壮観な眺めだ。

 

試運転電車は京急の花月園前駅のホームを右手に眺め、地上部の線路を走り始めた。

 

【気になる路線模様⑥】鉄道ファンが“萌える”新鶴見信号場

鶴見川を越えた試運転電車は、東海道本線、京浜東北線をオーバークロス。左へ大きくカーブする。そして横須賀線(湘南新宿ライン)も越えて、新鶴見信号場へ入っていく。横須賀線には新川崎駅があるが、相鉄電車が乗り入れる路線上には駅ホームが無いため、ここも通過となる。

 

試運転電車は、右手にJR貨物の新鶴見信号場を眺めて走る。同信号場は貨物輸送にとって、拠点となる信号場で、武蔵野線を走ってきた貨物列車が、この信号場で、東海道本線方面と、東京貨物ターミナル駅方面とに分かれ、運転される。東海道本線を上ってきた貨物列車も、ここからさらに武蔵野線、山手貨物線を経由して、北は北海道・東北地方、そして甲信越地方、常磐・鹿島方面へ走っていく。

 

さらに検修施設もあり、国鉄形、そしてJR形の新旧電気機関車も多く止められている。鉄道ファンにとっては“萌える”ポイントでもある。

 

試運転電車は、右手に新鶴見信号場の留置線が並ぶ、ちょうどその横で、信号待ちのために停車した。すると…。“あれ〜!この車両はもしかして”と、乗車している鉄道好きの人たちは驚かされたのであった。

 

↑新鶴見信号場に停車中のJR貨物のM250系。東京〜大阪間の宅配便輸送用に2004年から使われる。かなり長い年月を走ってきたことが、その塗装状態からうかがえた

 

↑M250系の回送のため先頭に付けられていたのがEF65形式直流電気機関車。国鉄原色カラーに塗られた車両だった。これから全般検査などを行うM250系をひいて大宮車両センターを目指す

 

停車していたのはJR貨物のM250系電車。JR貨物で唯一の動力分散方式の“貨物電車”で、宅配事業者向け専用列車「スーパーレールカーゴ」として東京貨物ターミナル駅と大阪の安治川口駅を結ぶ。営業運転時は最高時速130kmで走る。

 

予備車両は東京貨物ターミナル駅に停まっているはずなのに、どうしてここに? 先頭にはEF65形式電気機関車が付いていたことから、検査のために大宮車両センターを目指していたことが分かった。

 

このように運がよければ“恩恵”にも預かれるのが、この路線なのである。

 

 

【気になる路線模様⑦】御幸踏切近くで横須賀線の路線に合流

信号が青に変わるのを待っていた試運転電車。このあたりは開業後にはスムーズに走ることになるのだろうが、信号待ちをしたことでの意外な恩恵にもあずかれた。

 

この先で、横須賀線の路線と合流する。実は合流する路線、横須賀線、あるいは湘南新宿ラインの電車が通るので、路線名をこう呼ぶ場合が多いが、正式名ではない。東海道本線とは大きく離れているが、戸籍上は東海道本線の支線にあたる(東海道貨物支線とも呼ばれる)。新鶴見信号場と品川駅を結ぶ区間には「品鶴線(ひんかくせん)」という名も持つ。この路線名も“通称”だが、ここでは便宜上、横須賀線(品鶴線)としておこう。

 

↑上り電車はこの写真の先、左手から、横須賀線の電車が走る線路へ合流する。奥が武蔵小杉駅で写真の上部分にかすかにホームの屋根が見えている

 

↑横須賀線の新川崎駅から武蔵小杉駅に至るまでの注目したいポイントを地図にした。相互直通運転が行われる路線は、新川崎駅付近で、JR貨物の新鶴見信号場を横に見て、武蔵小杉駅の手前、ちょうど御幸踏切の前後で上り電車が合流、また下り電車は分岐する

 

試運転電車は「御幸踏切」の先で横須賀線(品鶴線)に合流した。そしてまもなく武蔵小杉駅に到着した。11月30日以降は停車することになるが、試運転電車ということもあり、ゆっくりした速度で、ホームを通過していった。

 

 

【気になる路線模様⑧】後日に訪れると試運転電車が目の前を通過

さて、前述したように相互直通運転が行われる路線は、御幸踏切という踏切の前後で、横須賀線(品鶴線)に合流、または分岐して走る。

 

東海道新幹線がすぐ近くを走るということもあり、気になった筆者は、試運転電車に乗った数日後に、同踏切を訪れてみた。踏切の形もユニークだったこともあり、小一時間ほど、撮影を楽しんでいたら。

 

あれ!緑帯の電車が目の前を通過していく。そう…、埼京線用のE233系が通過していったのだ。ということは相鉄の路線に向かう試運転電車に巡りあったわけである。相鉄の電車がJRへ乗り入れ試験を行うように、JR東日本の電車も相鉄の路線へ向けての試運転を繰り返していた。

 

↑横須賀線(品鶴線)の御幸踏切を通過する埼京線のE233系。後ろには高架上を走る東海道新幹線も見えている。この御幸踏切、赤く点滅する警報灯が写真のように、ぼんぼりの形をしていて、しかも上の方に4つ付いているちょっと不思議な形の踏切だった

 

↑御幸踏切の南側にある分岐を新鶴見信号場方面へ入っていく試運転電車。この先、東海道貨物線を通り、相鉄本線方面へ向かう。ちなみに横須賀線の電車は分岐を左へ走る。この先に新川崎駅がある

 

 

【気になる路線模様⑨】武蔵小杉駅までノンストップで走る

だいぶ寄り道してしまったが、試運転電車の話に戻ろう。横須賀線(品鶴線)に合流した電車は、まもなく武蔵小杉駅へ。この駅が羽沢横浜国大駅を発車してからはじめて停車する駅となる。羽沢横浜国大駅から約30km。所要時間は15〜19分間で、途中駅がない区間となる。

 

東京や横浜の近郊区間の電車としては、これほど駅間が離れた区間も珍しい。それだけスムーズな移動が期待できそうだ。

 

↑横須賀線(品鶴線)の武蔵小杉駅の新南改札口。便利になるものの、南武線、東急東横線のホームからやや遠く乗り換え時間かかり、混みがちなのが武蔵小杉駅の難点だ

【気になる路線模様⑩】多摩川を越えてしばらく新幹線と並走する

武蔵小杉駅の手前で横須賀線(品鶴線)に合流した試運転電車。武蔵小杉駅を通過した後に、多摩川を渡る。このあたりは湘南新宿ラインや、横須賀線で体験ずみという方も多いことだろう。

 

念のため確認しておこう。上り電車は東海道新幹線と平行して走る。次の西大井駅までは、東海道新幹線と横須賀線(品鶴線)がほぼ同じ高さを走る区間があり、電車のすぐ横を東海道新幹線の車両がすれ違っていく。並走する新幹線もあるが、速度を抑えて走っていても、さすが新幹線は速いと感じられる。

 

↑多摩川を渡る横須賀線(品鶴線)。写真は185系を使った臨時列車が通過するところだが、11月30日以降は、相鉄の車両、埼京線の車両もここで見られるようになる。左上は試運転電車から見た多摩川の河畔。1か月前の台風被害の影響も見て取れた

 

↑武蔵小杉駅〜西大井駅間では東海道新幹線と平行して横須賀線(品鶴線)が走る(写真右手)。相鉄電車からドクターイエローの姿が見ることも可能になりそう。ちなみに下りドクターイエローは12時前後に同区間を通過することが多い

 

11月30日から走り始める相互直通運転の電車は、全列車が西大井駅を停車する。西大井駅を発車したら、まもなく分岐がある。この分岐は旧蛇窪(きゅうへびくぼ)信号場と呼ばれるポイントで、ここから大崎駅までの路線は、通称・大崎支線と呼ばれている。

 

平面交差する旧蛇窪信号場の分岐を入っていくと、右手にJR東日本東京総合車両センターがあり、山手線などの電車が停められる車両基地の横を走る。そしてまもなく大崎駅へ到着する。

 

↑旧蛇窪信号場で横須賀線(品鶴線)から分岐、通称・大崎支線と呼ばれる連絡線へ入る。写真のように大崎支線は右へ大きくカーブを描き、この先で左カーブ、横須賀線や東海道新幹線の高架橋の下をくぐって大崎駅へ向かう

 

 

【気になる路線模様⑪】興味津々?相鉄電車を見るホームの人たち

大崎駅では8番線ホームへ入線する。8番線は湘南新宿ライン、埼京線、りんかい線の北行電車が利用するホームだ。ここからは埼京線・湘南新宿ラインが走る線路とまったく同じになる。山手線が平行して走るルートだ。

 

↑試運転電車とほぼ並走していた山手線E235系電車。こうした角度から見る機会は少ないが、この角度から見ると、最先端を行く電車らしいスタイルであることに気付かされた

 

11月30日以降、大崎駅からの停車駅は、恵比寿、渋谷、新宿と埼京線と同じ停車駅に停まる。平行して走る山手線には、埼京線の電車が停車しない複数の駅があるが、YOHOHAMA NAVYBLUEの試運転電車は、どの駅を通過する時にも、ホームで電車待ちをする人から“熱い支線”を浴びていた。

 

とくに渋谷駅の山手線ホームからは、目の前を走る相鉄電車が、よく見えることもあり、みな興味津々といった様子だった。

 

“あれ!この電車は何?”。

“紺色で見たことがない電車が走っている!”

“かっこいい、どこの電車かしら”といった印象を持ったのだろうか。

 

ホームで案内をしていたJR東日本の駅スタッフも驚いた顔をしていた。鉄道ファン以外にも、興味を抱かせるような魅力が、この電車にはあるのだろう。

 

↑恵比寿駅〜渋谷駅間で湘南新宿ラインE233系電車とすれ違う。この電車も相鉄の新型12000系(試運転電車)と同仕様で、顔は違えども、いわば“兄弟”電車ということができる

 

 

【気になる路線模様⑫】JRの電車に囲まれて折り返す相鉄電車

西谷駅から乗車した今回の試運転電車。約1時間で新宿駅の5番線ホームへ到着した。5番線ホームは、通常は成田エクスプレスや、特急鬼怒川・日光(スペーシア)といった特急が停まる特別なホーム。試運転電車ということもあり、特別に用意されたようだ。11月30日以降は埼京線や湘南新宿ラインが利用する1〜4番線での発着となる。

 

11月30日以降、西谷駅から新宿駅までは40分ちょっとといった所要時間で到着できる。現在かかる1時間〜1時間10分程度という時間に比べると、到達時間はかなり短縮され、期待も高まる。何より乗り換えなしがうれしい。

 

↑新宿駅5番線ホームに入線する相鉄の試運転電車。左上の写真は、その折り返しの模様。周りには中央本線の特急あずさとして活躍するE353系、中央線のE233系が見える。まるで“これからよろしく!”とJR東日本の車両が歓迎しているかのようでもあった

 

【まとめ】相鉄内でも便利になる新ダイヤ、さて運賃は?

11月30日、新線の開業に合わせて相鉄ではダイヤ改正を予定している。この変更ポイントを最後に見ておこう。

 

新線へ乗り入れる列車は、時間帯によって異なるものの、朝のピーク時は4本/毎時、日中及び夜間は2〜3本/毎時といった運転になる。そして終日、46往復(92本)が運転される。

 

これまで各駅停車(以下、各停と省略)しか停車しなかった西谷駅。新線への分岐駅となることから、特急、通勤急行、快速、各停が停車するようになる。新線に乗り入れる特急・各停は、横浜駅行き特急・快速・各停などの列車と西谷駅や二俣川駅で接続するように時刻が調整される。

 

平日の朝の時間帯には海老名駅発の特急を増発するなど、相鉄線内での利便性を高めるための変更も行われる。

 

ちなみに乗車料金を見ておこう。

 

新宿駅からICカードを利用した場合の、新線経由と横浜駅経由の金額を比較してみた。( )内は現在の横浜駅経由の場合だ。

 

新宿駅⇔相鉄本線:上星川駅769円(739円)、西谷駅738円(739円)、二俣川駅769円(760円)、瀬谷駅790円(823円)、大和駅822円(823円)、海老名駅874円(875円)。いずみ野線:弥生台駅810円(843円)、いずみ野駅842円(843円)、湘南台駅923円(914円)。

 

瀬谷駅や弥生台駅で、横浜駅経由に比べて安くなる例も見られるが、大半がほぼ同じ金額となった。実は、新線区間は鉄道建設・運輸施設整備支援機構により建設・運営される。いわば上下分離方式で運営される新線のため、電車を走らせる相鉄およびJR東日本は通行料を納めなければいけない。そうした経費を含んでの運賃となる。横浜駅経由、新線経由のどちらを通っても、極端な違いが生まれなかったことが、利用者にとってありがたいことと言えるだろう。なお、定期券の販売は11月30日からとなる。

 

新線に乗り入れる本数は、多いとは言えない。これは、やはり2022年度に予定される東急東横線(目黒線)との相互乗り入れを控え、やや余裕を持たせたダイヤと見ることができよう。11月30日の新線開業、そして2年後の東急東横線との相互直通運転を控え、相鉄沿線がどのように変って行くか、これからも見守っていきたい。

 

※11月22日:初出では「新線への分岐駅となることから、全列車が停車するようになる。」としておりました。誤記があり大変申し訳ございませんでした。

 

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