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2020/3/11 21:30

ここまで違うのか!? ホンダ「ヴェゼル」の純正コンプリートカー「モデューロX」の実力

実走でノーマルとの違いを体感!

エアロと足回りの変更で、どこまで走りが変わっているのかと思いましたが、実際に乗ってみるとその違いは明確。「ヴェゼル ツーリング」は欧州仕様のボディを採用していることで、標準モデルに比べるとかなりカッチリした乗り味。そして、モデューロXの「ツーリング」はさらに足が引き締められていることが走り出してすぐに感じられます。街中の交差点を曲がる際にも、ステアリング操作に対してのレスポンスが鋭くなっているのが伝わってきました。

↑車体が意のままに動く感覚が速度域に関わらず味わえました

 

高速道路に入ると、その差はさらにハッキリします。ノーマルのヴェゼル ツーリングも高速での安定性はかなり高いのですが、それを遥かに凌ぐレベルの安定感。スピードが乗るカーブで、横風もそれなりに強かったのですが、車体はピタッと安定していて、レールの上をしっかり走っているかのような安心感でした。高速道路を使っての移動が多い人には、この絶大な安心感は頼りになるはず。

↑街中でもその違いは明確に感じられるが、速度が上がればその違いはさらに大きくなりました

 

↑ツーリングに搭載されるパワーユニットは1.5Lターボで最高出力は172PSを発揮

 

続いて「ハイブリッド」の4WDモデルに乗ってみました。街中の低い速度域ではサスペンションの硬さを感じたツーリングに対して、こちらはかなりしなやか。それでも、ノーマルのヴェゼルとの違いは明らかです。一番大きな違いはハイブリッドもツーリングも、4つのタイヤがどこにあるかが明確に伝わってくること。速度の遅い交差点などでも、タイヤがどこを通っているのかが把握できますし、速度が上がればタイヤがしっかり踏ん張ってくれていることがステアリングとシートを通して伝わってきます。専用シートを採用している効果は、こんなところにも現れているようです。クルマを運転するのが好きな人にとってはたまらない感覚でしょう。

↑専用設計とされたフロントスポーツシートはセミバケットタイプ。モデューロXのロゴも映える

 

↑ハイブリッドは、132PSの1.5Lターボエンジンにi-DCDのハイブリッドシステムという組み合わせ

 

こうしたフィーリングはサスペンションによるものかと思ったら、エアロによる効果も大きいとのこと。空力によってタイヤを路面に押し付ける力を増大させることで、ステアリングレスポンスや収斂性(しゅうれんせい)を高めているそうです。開発に当たっては実走を繰り返し、細かいエッジの立て方など何度も変更を繰り返して形状を決めたのだとか。デザインだけのエアロとは、一線を画した仕上がりは、こうして生み出されているのです。

↑何度も細かい形状変更が加えられた跡が見てとれるリアエアロバンパーの試作品

 

ホイールも軽さや剛性だけでなく全体のバランスにこだわって作られているのがポイント。金属製とはいえ、ホイールも路面からの入力によって変形と復元を繰り返しているため、乗り心地に大きく影響してくるのです。特にタイヤを裏側で支えるリムは、インナーに行くに従って薄くなるような形状で、タイヤの変形に合わせてホイールもしなやかにカタチを変える特性としているとのこと。その削り量などについても、実走を繰り返して調整しているところが、モデューロXらしいところでしょう。

↑車体に合わせて剛性バランスが見直されたホイール。サードパーティー製では真似のできない作り込みだ

 

ちなみに、他メーカーの純正コンプリートカーでは、ボディの補強が施されていることが多いですが、モデューロXではそうしたことをしていない理由についても聞いてみました。開発担当者によれば「どの車種でもボディ補強は検討してきたが、必要な性能とのバランスを考慮すると必要ないとの結論になった」とのこと。それだけ、ベースの車体がよく出来ているということなのでしょう。

 

ドライバーだけでなく同乗者にも優しい

ただ、ちょっと不安だったのは足回りがやや硬く、路面のギャップを拾う感覚があったこと。運転している分には楽しいのですが、助手席や後席に家族を乗せたときに不満が出る可能性がありそうです。特に子どもは乗り物酔いしやすいので、少し心配です。ただ、担当者によるとクルマ全体の挙動を見直し、乗っている人を中心に余計な動きをしないようにセッティングしているので、乗り物酔いもしにくくなっているとのこと。そこで、改めて試乗車を借りて家族を乗せてドライブしてみました。

↑子どもを乗せてドライブしてみたが、乗り物酔いしにくいという特性が実体験できました

 

その結果、乗り物酔いしやすい体質の小学生を乗せても、初めて乗るクルマには珍しく酔うことがありませんでした。クルマの挙動を知り尽くし、実走テストを繰り返して仕上げられたというだけに、ドライバーだけでなく同乗者にも優しい走りを実現しているようです。これなら、家族持ちでも安心して選ぶことができそう。街中でよく見かけるようになったコンパクトSUVですが、一味違った上質な走り、そしてルックスを体感したい人にオススメのモデルです。

 

SPEC【ツーリング・Honda SENSING】●全長×全幅×全高:4335×1790×1605mm●車両重量:1360㎏●パワーユニット:1.496L水冷直列DOHC 16バルブ+ターボ●最高出力:172PS/5500rpm●最大トルク:220N・m/1700〜5500rpm●JC08モード燃費:非公表

 

SPEC【ハイブリッドRS・Honda SENSING(ハイブリッドZ・Honda SENSING)】●全長×全幅×全高:4335×1790×1605mm●車両重量:1310(1390)㎏●パワーユニット:1.496L直4 DOHC 16バルブ+交流同期電動機●エンジン最高出力:132PS/6600rpm●エンジン最大トルク:156N・m/4600rpm●モーター最高出力:29.5PS/1313~2000rpm●モーター最大トルク:160N・m/0〜1313rpm●JC08モード燃費:非公表

 

撮影/増谷茂樹、中田悟

 

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