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2020/6/21 18:30

 今も各地で活躍する「譲渡車両」に迫る〈元JR電車の場合〉

【注目の譲渡車両⑨】本線走行はできないが博物館級のお宝電車

◆日本国有鉄道モハ90形 → 熊本電気鉄道モハ71形

↑北熊本車庫内の入れ換えなどに利用されるモハ71形。写真は2012年の状況。最近、外観の色があせてきているのが気になる

 

これまで見てきたようにJRから譲渡される電車は、東日本、中部地方が圧倒的に多い。西日本ではほぼ見当たらない。最後に本線を走ることはできず車籍はない車両だが、動態保存車両として異例の歴史を持つ車両の例を見ておこう。

 

熊本電気鉄道のモハ71形。こげ茶色の角張った車両で2扉、車体の長さは12mと短い。半鋼製で木の床である。この電車、現在のJR可部線の前身、広浜鉄道が発注した電車で、1928(昭和3)年製という歴史的な電車だ。その後に広浜鉄道は国鉄に買収され同車両も転籍、可部線を走り続けた。太平洋戦争末期、広島に原爆が投下された1945(昭和20)年8月6日には、下関の工場で整備をしており、戦火を免れた電車でもある。

 

熊本電気鉄道には1954(昭和29)年に譲渡され、長い間、活躍してきた。まさに博物館に納まるような電車なわけで、末長く保存されることを願ってやまない。

 

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