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2020/7/12 18:40

2022年開業に向けて準備が進む「芳賀・宇都宮LRT」――新路線に沿って歩いてみた

【進むLRT事業⑥】どのような車両が導入されるのか?

新LRT路線にはどのような車両が走るのだろう。車両の特徴を見ておこう。

 

デザインは黄色をメインカラーに、正面と側面にダークグレーで車体のイメージを引き締めた。芳賀・宇都宮は「雷」が多いので「雷都」とも呼ばれる。雷には雨を降らせ、穀物などを育てる恵みとなる一面も。そんな恵みの “雷の稲光”をイメージさせる「黄色」がメインカラーとなった。

 

車両は4輪ボギー連接電動客車で、1編成3両。カーブを走行する際にスムーズで、乗り心地にすぐれた構造を採用した。

 

将来、宇都宮駅西側への延伸も考慮し、勾配67‰(1000分の67)の最急勾配も走行可能とした。運転最高速度は70km/hの車両性能を持つが、軌道運転規則に基づき40km/hでの運行が行われる。

↑3両1編成の車両が走る。黄色をメインカラーに採用、正面と側面がダークグレーとなる。乗降口は片側に4つ設けられる

 

↑座席の左右幅は一般の鉄道車両とほぼ同じ。ガラス窓も広々。全乗降口にはICカードリーダーが設置される

 

定員数は国内の低床式車両では最多の定員160人。座席は広い座席幅を確保した上で、可能な限り座れるよう50席が確保された。座席は基本、クロスシート仕様。優先席のみ窓を背にした方向に配置される。座席の後ろには荷物の置きスペースも設けられる。

 

前後にある運転席付近に車椅子スペースが用意される。またベビーカー等にも対応可能なフリースペースを中間車に備えた。将来的には自転車のフリースペースへの持ち込みも検討しているとされる。

 

興味深いのは全乗車口にICカードリーダーが設置されること。日本で初めての仕組みとなる。どこのドアからでも乗車が可能となって便利となり、また一部スペースに偏らず分散乗車が可能となる。それこそ密を防ぐ工夫となりそうだ。なお現金での乗車の場合は先頭の扉からのみの乗車となる。

 

今年度から本格的に車両製造を進め、年度末には、1編成目の車両が車両基地に納入予定で、それを皮切りに順次、完成車両の納入が開始される。新型車両の導入も、わずか先に迫っているわけだ。

 

【進むLRT事業⑦】走る予定の路線を実際に歩いてみた

どのようなルートをLRTが走ることになるのか。宇都宮市内の一部を歩いてみた。

 

まずはJR宇都宮駅の東口へ。自由通路の東端に下り口がある。ここに新停留場ができる。現在は広い空き地となっているが、停留場の建設に合わせて開発も進んでいる。空き地を横に見て、東へ歩道を進む。間もなくT字交差点へ。この先、ほぼ直線路で片側2〜3車線道路がのびる。鬼怒通りと名付けられた駅前通りで、途中から県道64号線となる。

 

通りの左右に商業ビルやホテルが連なる。とはいうものの、宇都宮駅の西口に比べると人通りが少ない。このあたり、やはり東西差がこの街はあるのだと実感した。写真を中心にLRT路線が通る街並みを巡ってみよう。

↑JR宇都宮駅の東西自由通路を遠望する。この右下に新停留場が造られ、手前側に線路が延びてくると思われる

 

↑駅前から歩道を歩くと鬼怒通りの起点となるT字路へ。この先、東側へ鬼怒通りの直線路が延びている。この中間部をLRVが走る予定だ

 

↑鬼怒通りは国道4号を立体交差で越える。LRVは軽量なため、このあたり新たな立体交差路を造らなくとも線路の敷設が可能となる

 

ひたすら鬼怒通りを進む。店舗、民家が点在する道を歩く。2.7kmほどで商業施設ベルモールが右手に広がる。イトーヨーカド—ほか、レストランなどが入るショッピングモールで、1階にはLRT事業の紹介を行う「交通未来都市うつのみやオープンスクエア」がある。帰りに寄ろうと思い、先を急ぐ。

 

ベルモールのちょうど裏手、陽東8丁目付近まで、鬼怒通りの上を走る併用軌道区間となる予定だ。その先で、路線は鬼怒通りをまたぎ、LRVのみが走行する区間へ入っていく。ちなみに同路線の自動車との併用区間は約9.4km、LRVのみが走行する区間は約5.1kmとなる予定だ。

↑鬼怒通りを駅から約3.5km進んだ陽東8丁目付近。このあたりから、路線は、写真の左手へ方向を変えて、専用区間へ入っていく
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