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2020/7/20 18:00

SUV界のバランスを変えるか!? VWがクロスオーバーSUV「T-Roc」を解説

2020年7月15日、ついにフォルクスワーゲン(VW)のクロスオーバーSUV新型「T-Roc(ティーロック)」が発表となりました。世界的な新型コロナ禍によるロックダウンなどがあり、当初の計画より遅れての発表です。

ステージ上にはVWの新ロゴと4グレードのT-Rocが置かれ、ティル・シェアCEOのプレゼンテーションが始まりました。「T-Rocの登場によって、VWのSUVラインナップが完成となりました。T-RocはクロスオーバーSUVの新機軸となっていくものだと考えています。日本のSUVマーケットの約3/4を占めるのがスモール/コンパクトセグメントであり、VWとしてもそこに焦点をあてました」。

↑シンプルに整理されたVW新ロゴを使用しての新車発表は今回が初となりました

 

「VWのSUV3兄弟の一番大きな『ティグアン』は2017年にデビューし、ラインナップの80%がクリーンディーゼルである「TDI」となっています。それにより、今回のT-Rocでもクリーンディーゼル車とすることに決めました。また、これまでのVWのお客様と新たなお客様の双方に満足してもらえるよう、ダイナミックで多才なSUVとコンパクトで俊敏なハッチバックの長所を組み合わせています。もちろん、そのハッチバックというのは世界のハッチバックのベンチマークとなっている「ゴルフ」に他なりません。そして、T-Rocでは4つのグレードを設け幅広いニーズにお応えします」と、ティル・シェアCEOは語りました。

↑日本のSUVマーケットの状況。約75%がスモール、コンパクトSUVとのこと。T-RocはVWのSUV「T-Cross」と「Tiguan」の間に当てはまるボディサイズです

 

さらに「全長4240mm(TDI R Lineは4250mm)、全幅1825mm、全高1590mm、ホイールベースが2590mmとなり、最小回転半径が5.0mとなっています。まさに日本の道路に『丁度いい』という印象を持ってもらえるでしょう。SUVならではの高い着座位置と広い視界の快適さを味わってみて下さい。きっとその安心感を感じてもらえると思います」と、ティル・シェアCEOは続けました。自信に満ちたCEOのプレゼンテーションのあとは、もう少し近寄ってT-Rocを見てみましょう。

↑左からT-Roc「TDI Sport」、「TDI Style Design Package」、「TDI R-Line」。All My T-Roc! VW新ロゴと共に

 

T-Rocの4つの特徴【その1】エクステリアデザイン&ボディカラー

ヘッドライトと一体となったフロントグリルやヘッドライトの下にLEDのデイタイムライトを装備したフロントデザインは、T-Rocの特徴のひとつ。大型エアインテークとアンダーボディガード、リアディフューザーによりSUVらしい力強さを表現し、クロームのウィンドウトリムはロングルーフの流麗なクーペをイメージ。さらにツートンのボディカラーでは全高を低く見せる視覚的効果を生み、スポーティな印象を与えます。T-Rocは、オンでもオフでもスタイリッシュに乗ることができるデザインが魅力でしょう。

↑都会的に洗練されたT-Rocのスタイリッシュなデザイン。独特の形状のバンパーをもつTDI R LINEのみ、全長が10mm長くなります

  

↑TDI SportのLEDヘッドライト

 

↑LEDデイタイムランニングライト

 

↑流麗な曲線を描くリアビュー。TDI R-Lineグレードでは専用のフロント&リアバンパー、サイドスカート、リアスポイラーを装着しています

 

用意されているグレードはTDI Style、TDI Style Design Package、TDI Sport、TDI R-Lineの4つ。

↑ベーシックなTDI Style

 

↑ホワイト/ブラックのルーフカラーを選べるTDI Style Design Package

 

↑18インチアルミホイールの採用などスポーティグレードのTDI Sport

 

↑19インチアルミホイールに加え、アダプティブシャシーコントロールによる乗り心地調整機能を備えたTDI R-Line

 

ボディカラーは9色の基本バリエーションがあるだけでなく、グレードによってはブラック、ホワイトのルーフカラーを追加料金なしで選択することができます。2トーンボディはVWのSUVでは初めての採用となり、ポップな色合い、シックな色合いが用意されていて、色を選ぶ楽しみも味わうことができます。

↑カラーバリエーションの基本は9色。それに加えグレードによっては、ホワイトかブラックのルーフカラーが選べます

 

T-Rocの4つの特徴【その2】Golf以上のユーティリティ

インテリアは2590mmのロングホイールベースを活かし、乗員5人に対し十分な室内空間を提供。各種メーター類を水平に配置することで、運転中の視線移動を少なく自然に行えるよう設計されています。また、VW純正インフォテインメントシステムの「ディスカバープロ」とデジタルメータークラスター「アクティブインフォディスプレイ」により、インテリアの洗練度がアップ! ハンドル右のスポーク部にあるボタンで、アクティブインフォディスプレイに表示する情報を選択できます。メーター、カーナビ、車両の情報などをあらかじめ設定することで欲しい情報が見やすい場所に表示できるのです。

↑ステアリングホイールの右スポーク部分にファンクション切り替えスイッチがあります

 

↑アクティブインフォディスプレイに車両情報とナビを映したところ

 

↑スピードメーター、タコメーターとカーナビの画面を同時に表示できます

 

TDI Design Packageではエクステリアデザインに合わせ、ブルー、イエローのインテリアカラーを選ぶことが可能です。同色のデコラティブパネル、シートのステッチが与えられます。

↑イエローのデコラティブパネルを装着したTDI Design Package

 

ラゲッジスペースの容量は5人乗車時で445L。後席をすべて折り畳んだ時には最大1290Lと、このクラストップレベルの容量となります。ちなみに、その容量は同社のゴルフ以上。

↑たっぷりの収納力を発揮し、オンタイムもオフタイムも充実させます

 

通常時はラゲッジスペースが少々上げ底になっていますが、リアシートを畳んだ時にフロアがフルフラットになります。さらに、フロアを低く下げるとリアシートを倒さなくてもラゲッジスペースがたっぷりと増えます。デイリーユースはもとより、週末に家族や仲間と共に出かける時にも充分なラゲッジスペースが用意されているのです。

↑リアシートを倒した時は、ラゲッジスペースのフロアを上げ底状にするとフラットな荷室となります

 

↑5人乗車時でもラゲッジルームの床を一段下げればこれだけの収納できます

 

T-Rocの4つの特徴【その3】ドライバビリティ

そして3つめの特徴は、走りです。高効率な4気筒2L、TDIクリーンディーゼルエンジンによる走りは、ロングドライブも快適。エンジンの最高出力は110kW(150PS)/3500-4000rpm、最大トルクが340Nm(34.7kgm)/1750-3000rpmとなります。

 

最高出力、最大トルクの発生回転域が広く、クリーンディーゼルならではの余裕のある走りと高い経済性の両立をはかっています。組み合わされるトランスミッションは7速のDSGです。

↑クリーンディーゼル2.0L TDIエンジンと2.0L TDIエンジンの性能曲線

 

なお、燃料消費率はJCO8モードで19.5km/Lで、WLTCの高速道路モードでは21.0km/Lです。

 

T-Rocの4つの特徴【その4】全グレード標準の上位予防安全装備

最後、4つめの特徴は予防安全装備です。MQBプラットフォームにより、今まで上位機種に採用されている充実した予防安全装備が全グレードに用意されました。全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)や、車線の逸脱防止などをサポートするLane Assist(レーンキープアシストシステム)を標準装備。これによって快適で安全な運転が実現しました。

 

近年では、車内の人の安全だけでなく、車外の人に対する「対人安全性」が重要視されています。VWでは歩行者などの人を検知するシステムにカメラではなくレーダーを用いて、雨や夜の視界の悪い時に人を見つけやすい特徴があります。このような上位機種に使用されていた安全装備がクラスを超えて充実しているのもT-Rocの特徴ですね。

↑ACC作動イメージ。上級車種と同等の予防安全装備が充実しています

 

いかがでしょう、オールマイティに使える丁度良いSUV。VW T-Rocのイメージは掴めたでしょうか? 平日は街での生活を豊かにしてくれるT-Roc。スポーティで都会的なデザイン、そのコンパクトなボディと日本の道でも扱いやすい操作性によって週末には街を出ることが楽しみになります。

 

気になる各グレードの販売価格(すべて税込)はTDI Styleが384万9000円、TDI Style Design Packageが405万9000円、TDI Sportが419万9000円、TDI R-Lineが453万9000円となります。

↑各グレード別の外観イメージ

 

 

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