乗り物
2016/7/16 13:00

【都電荒川線で行く路面電車の旅】誕生して100余年! 都民に愛されてきた“東京都電車”とは!?

全国を走る路面電車の旅 第一回 東京都交通局編

 

大都市ではもはや貴重な存在となっている路面電車だが、各都市では新路線の計画が立てられるなど見直しが始まっている。環境に優しい公共交通機関として、年配者が乗り降りしやすいように床の低い新型車を続々と導入するなど、路面電車も大きく変化しているのだ。

 

東京で唯一残った都電の路線「荒川線」。誕生して100年以上の歴史をもつ同路線は、三ノ輪橋〜早稲田間をのんびりと走る。ここでは、そんな都電荒川線の歴史や車両について、同路線のようにのんびりと振り返っていこうと思う。

 

↑華やぐ春、飛鳥山公園の桜を見ながら都電が走る
↑華やぐ春、飛鳥山公園の桜を見ながら都電が走る

 

【歴史】王子電気軌道が都電荒川線の起源

“チンチン♪”……停留場を発車する時に、優しい音色が車内に伝わる。この“チンチン♪”が名物であり、代名詞にもなっている都電荒川線は、三ノ輪橋を起点に早稲田までを結ぶ12.2kmの路線だ。路線を開業させたのは王子電気軌道。1911年に飛鳥山上(現飛鳥山)〜大塚間を、1913年には三ノ輪(現・三ノ輪橋)〜飛鳥山下(現・梶原)間を開業させた。そして1942年、東京市に事業譲渡されたことで都電路線の仲間入りを果たした(当時は東京市電)。

 

他の路線が地下鉄の開通や車の普及などを理由に相次いで東京の街から姿を消すなか、27系統と32系統の都電として運行されたこの路線は最後まで生き残ったのだ。やがて、27系統(三ノ輪橋〜赤羽)の一部と32系統(荒川車庫〜早稲田)両系統の路線を直通で走る電車が運行されるようになり、都電荒川線と呼ばれるようになった。その結果、いまでは都電唯一の貴重な路線となっている。

 ↑都電車両のなかでも最古参となった7000形。都電の古い塗装を再現した車両も走る
↑都電車両のなかでも最古参となった7000形。都電の古い塗装を再現した車両も走る

 

車両】古参車両から新型車へ切り替え進む

都電荒川線を走る電車は全部で6形式(2016年7月現在)。最古参は7000形で、1954(昭和29)年から製造された車両だ。この7000形は昭和50年代になって、新造車体に更新されて外観が変わったものの、台車や主要機器は以前のものが流用されている。

 

主力電車として働いてきた7000形だが、徐々に新型車との入れ換えが進められている。荒川線になった後に導入された8500形(1990年導入)、レトロなスタイルの9000形(2007年導入)、8800形(2009年導入)、8900形(2015年導入)と新形式車両の導入が進む。なかでも、荒川線の主力となりつつある8800形と8900形は、華やかな車体カラーが特徴。ローズレッド、バイオレット、オレンジ、イエロー、ブルーといった車体色の電車が東京都内を走っている。

 

さらに2016年には、7000形の車体を利用しつつも最新型の機器に積み替えた7700形が登場。走る電車は色も形もさまざま、見て乗って楽しい路線となっているのだ。

↑都電8500形。1990年導入の車両で長年親しまれてきた黄緑とクリームの2色で塗り分け。最近は広告が付けた車両が多い
↑都電8500形。1990年導入の車両で長年親しまれてきた黄緑とクリームの2色で塗り分け。最近は広告が付けた車両が多い

 

↑都電8800形。2009年に登場、現在、ローズレッド(写真)、バイオレット、オレンジ、イエローの4色の電車が走っている
↑都電8800形。2009年に登場、現在、ローズレッド(写真)、バイオレット、オレンジ、イエローの4色の電車が走っている

 

↑都電8900形、2015年に導入された。ブルー(写真)のほか、オレンジ、ローズピンクの3色の電車が走る
↑都電8900形、2015年に導入された。ブルー(写真)のほか、オレンジ、ローズピンクの3色の電車が走る

 

↑都電9000形。2007年から走り始めた電車でレトロな外観が特徴。エンジ(写真)とブルーの2両が造られた。団体向け貸切車両としても使われている
↑都電9000形。2007年から走り始めた電車でレトロな外観が特徴。エンジ(写真)とブルーの2両が造られた。団体向け貸切車両としても使われている

 

↑都電7700形。2016年5月にデビューした新型車で、古くから走る7000形の車体など一部機器を流用して製造。今後、7000形のほとんどが7700形に刷新される予定だ
↑都電7700形。2016年5月にデビューした新型車で、古くから走る7000形の車体など一部機器を流用して製造。今後、7000形のほとんどが7700形に刷新される予定だ

 

風景】地元の人たちが愛する「荒川線」

地元の人たちは親しみを込めて「荒川線」と呼ぶ、同路線の主なポイントを見ていこう。

 

まずは路線の起点である三ノ輪橋から。賑やかな南千住の街中に三ノ輪橋の停留場がある。この三ノ輪橋から隣りの停留場・荒川一中前まではジョイフル三ノ輪商店街アーケードが続く。ちょっと歩くと「都電名物赤しょうがの天ぷら」「都電ブレンド」などの幟(のぼり)。地元の人たちの都電への思いが強く感じられる。

 

三ノ輪橋からは専用軌道が続き、電車の運行もスムーズだ。とはいえ、町屋駅などで大通りを横切るときは交差点の信号を守らなければいけない。このあたりの交通事情は、路面電車ならではのところだ。

 

王子駅前の停留場を出ると併用区間へ。JR線のガード下をくぐると、67パーミルの急坂を一気に上昇。王子駅前と飛鳥山間はかつて、東京のあちこちを走った路面電車の雰囲気が感じられる区間だ。しばらく走ると、大塚駅前に到着。車内はいつの間にか下町から山手へ。乗車している人たちもどこか山手らしい趣になる。

 

都電雑司ヶ谷を過ぎると線路はアップダウンを繰り替えす。鬼子母神前を過ぎたらひたすら下り坂。神田川の橋を越えて、電車は左に急カーブ。新目白通りの真ん中にある専用軌道を走れば、終点・早稲田に到着だ。

 

昭和40年代、フォークソングで唄われた神田川や面影橋。こうした地名に青春時代を思い出す世代も多いのではなかろうか。神田川沿いの停留場はセンチメンタルな気持ちを思い起こさせる風情が色濃く残されている。

↑5月の沿線はバラの花で包まれる。都電のスタッフと地元のボランティアが丹精込めて育ててきたものだ
↑5月の沿線はバラの花で包まれる。都電のスタッフと地元のボランティアが丹精込めて育ててきたものだ

 

【TRAIN DATA】

20160715-a07 (9)

路線名:都電荒川線

運行事業体:東京都交通局

営業距離:12.2km

軌間:1372m

料金:170円(ICカード利用165円)

開業年:1913年

※王子電気軌道が飛鳥山上(現飛鳥山)〜大塚間、その後、三ノ輪(現・三ノ輪橋)〜飛鳥山下(現・梶原)間の営業を開始

 

【URL】

都電荒川線 http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/toden/

文・撮影/星川 功一