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2020/10/9 21:00

Amazonが初めて出した車用のアレクサ「Amazon Echo Auto」、その実力を本音レビュー

Amazonは9月30日、車内用「Amazon Echo Auto(以下:Echo Auto)」の発表会をオンラインにて開催しました。そこでは、騒音の多い車内で入力した音声を認識する工夫や今後の機能強化などについて具体的な利用シーンを交えて紹介されました。 ここではEcho Autoとはどんなものなのか、その姿に迫ります。

 

どんなクルマも運転席から声で操作できるようになる

Amazon Echoはすでに家庭用向けに発売されていますが、Echo Autoはその車載版として初めて登場しました。スマートフォンとEcho Autoがワイヤレスで連携し、スマホを介してEcho Autoがインターネットにアクセスする仕組みです。これにより「アレクサ」と呼びかければ、運転中であってもユーザーのリクエストに応えてくれるのです。

↑9月30日より日本でも発売となった「Amazon Echo Auto」。4980円(税込)

 

↑スマートフォンのAlexaアプリを介してAlexaと対話。Alexaの応答や音楽は車のスピーカーから聞こえます。写真はEcho Autoの設定画面を示したスマートフォンとEcho Auto

 

発表会でアマゾンジャパンのAlexaインターナショナル ゼネラルマネージャー大木 聡氏は、「TVドラマや映画の『スタートレック』をイメージしていただくのがベスト。私たちはこのスタートレックをインスパイアしてAmazon Echoを開発した」と説明。スタートレックでは宇宙船のクルーが宇宙船エンタープライズと自然言語でやり取りをしますが、「この世界観こそがAmazon Echoで実現したいところだった」(大木氏)と述べました。

↑発表会でEcho Autoの説明を行ったアマゾンジャパンのAlexaインターナショナルゼネラルマネージャー大木 聡氏

 

また、これを実現するにあたって重要な技術要素についても紹介してくれました。それが8つのマイクアレイの搭載です。大木氏は「このマイクはビームフォーミングと呼ばれる技術を実現するために搭載したが、ここには他にも学習を重ねることで近くにある声と遠くにある声を区別できる機能も実装した」ということです。これがノイズが多い車内でも認識率を高めることにつながったのですね。

↑Amazon Echo Auto本体の仕様。上面には8つのマイクをビルトインし、この装備が認識率を高めている

 

続いて、家庭用アレクサを使った利用例を説明した後、いよいよEcho Autoについての具体的な説明となりました。そこではビジネスシーンやファミリーでのEcho Autoの利用シーンを紹介するイメージビデオが披露され、アレクサが車内においても自然言語を理解して応えるシーンが紹介されました。挨拶に対して反応する様子をはじめ、音楽を楽しみ、スケジュールを確認し、さらに目的地付近の天気予報をチェックしたりする様子がすべて音声でやり取りできるので、運転中でも安全に操作できるのです。

↑ビジネスシーンでの用途を説明するビデオの一コマ

 

↑週末の家族でのドライブで利用するシーンも紹介された

 

Amazon Echo Auto ビジネス編

 

Amazon Echo Auto ファミリー編

 

大木氏はこのビデオから「2030年以降は車内でのインターフェイスが間違いなく音声が主役となっている」と説明。家庭で使ったアレクサの便利さが車内でもそのまま使えることのメリットを強調しました。

 

ただ、最後のQ&Aでは、米国では実現しているガソリンスタンドでの支払いなどの機能が日本仕様では非搭載であることも明かし、今後は日本も含め、最終的にはグローバルで同じ機能を持たせられるようにしたいと述べました。

 

また、アレクサは常にユーザーのそばに存在し、いつでもリクエストに応えられることがベースとなるとも。それは家の中だけでなく車内であっても同じ環境で使えることが理想であり、その実現に向けて最適化していくということです。

 

車載環境で実現することの難しさはあるものの、ウェイクワードの便利さについてはBMWやセレンスなどからも賛同を獲得。今はその普及に向けてアライアンス「Voice Interoperability Initiative」を結成したことも紹介されました。

↑多くのカーオーディオでもアレクサとの連携機能が搭載されるようになった

 

↑アレクサは今後発売される予定の日産「アリア」にも採用が決まっている

 

装着方法は簡単! やはり音声操作は快適だった

さて、今回発表されたEcho Autoを実際に購入して使ってみました。本体サイズはW85×D47×H13.28mmと手の中にも収まりそうなコンパクトさ。想像以上に小さくコンパクトです。本体上部には8つのマイクをビルトインされていることも分かりました。

↑Echo Autoのパッケージ

 

↑Echo Autoのパッケージに含まれたパーツ。右下がエアベントマウント。左下のシガーライターアダプターはUSB2端子が備わる

 

使い方はカーオーディオとBluetoothやミニステレオピンジャック経由で接続することから始まります。接続方法はスマホアプリで表示されるので手順に従っていけばOK。Bluetoothの接続も難しくはありません。およそ5分ほどで接続は完了しました。その簡単さは拍子抜けするほどです。

↑接続設定はスマートフォンのアレクサアプリを使って行う。セットアップするデバイスから「Amazon Echo」を選び、続いて「Echo Auto」を選んでいく。Echo Autoの取り付け方も選択しておく

 

本体への給電はUSB端子から行うものとし、それに活用するUSB端子付きシガーライターアダプターを付属しています。また、クルマへの取り付けは付属のエアベントマウントを使うか、エアベントへの取り付けが難しい場合はダッシュボード上などに直接貼り付けて利用することになります。今回は軽乗用車であるダイハツ・ムーヴに取り付けてみましたが、エアコンのエアベントへの取り付けは叶わず、後者の取り付け方法となりました。

↑ダイハツ・ムーヴにはダッシュボードの上に直付けして取り付けた。軽いので両面テープで十分固定できる

 

↑付属のエアベントマウントを使って取り付けた例。ルーバーが太めだと付かないことが多いようだ

 

試用感は想像以上に快適でした。基本的には大木氏の説明通り、家庭用のアレクサと同等の対応となりますが、音声で操作することの快適さが際立つのです。音楽を聴きたい時は「アレクサ、○○の曲かけて」と言えば、それだけでAmazon Musicから対象が絞り込まれて再生されます。スケジュールはあらかじめGoogleカレンダーなどとの連携が必要になりますが、「明日の予定は?」と呼びかけるだけです。つい、何ができるかいろいろと試してみたくなります。

↑アレクサは4つのカテゴリーで人々を便利にする

 

大木氏によれば「現段階では家庭で利用していたアレクサをそのまま車内へ持ち込んだフェーズに過ぎない。ユーザーの希望に応じて機能の拡張を果たしていく」と説明。つまり、今回のEcho Autoはアレクサを活用する第一歩に過ぎないと言うわけなのです。それはたとえばカーオーディオに限らず、クルマのキーの開閉やエンジンの始動といったことも可能になっていく可能性も十分考えられます。米国でも圧倒的支持を得ているアレクサだけに、今後の発展に向けて大いに期待したいところです。

 

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