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2022/10/14 10:30

見た目のインパクト最大級! 日本ではレアなピックアップトラックのジープ「グラディエーター」はどう?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は日本に導入されること自体が珍しい、アメリカン・ピックアップトラックのグラディエーターの実力を探る!

※こちらは「GetNavi」 2022年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。

 

【今月のGODカー】ジープ/グラディエーター

SPEC【ルビコン】●全長×全幅×全高:5600×1930×1850mm●車両重量:2280kg●パワーユニット:3.6LV型6気筒エンジン●最高出力:284PS(209kW)/6400rpm●最大トルク:35.4kg-m(347Nm)/4100rpm●WLTCモード燃費:非公表

920万円(税込)

 

無敵のデカさに快適な走りを兼備

安ド「殿! このクルマ、ものすごくデカいですね!」

 

永福「うむ。デカいな」

 

安ド「全長5.6m! コレって世界最大ですか?」

 

永福「世界最大ではないが、日本で普通に買える乗用車のなかでは、2番目くらいに長い」

 

安ド「最も長いのは!?」

 

永福「ロールスロイスの旗艦、ファントムが約6m。それに次ぐ長さだ」

 

安ド「トヨタの新型ランドクルーザーよりかなり長いですよね」

 

永福「ランドクルーザーは約5m。レクサスLXでも5.1m。グラディエーターの圧勝だ」

 

安ド「敵はロールスロイスだけですね!」

 

永福「全高はこちらのほうが20cm高いから、ロールスも見下ろせる。グラディエーターは無敵だ」

 

安ド「無敵なんですね! しかも実際に運転すると、意外と長さは気になりませんでした!」

 

永福「同感だ。住宅街ではもっと苦労するかと思ったが」

 

安ド「ただ駐車すると、前が枠からはみ出しまくってビックリしました!」

 

永福「一般的なコインパーキングは、全長5mまでの設定。60cm飛び出すからな」

 

安ド「このクルマ、ベースはジープ・ラングラーですよね?」

 

永福「ラングラーの4ドアバージョン、アンリミテッドをベースに、ピックアップトラックに仕立ててある」

 

安ド「このキャラクターはすごく好きですが、顔が完全にラングラーなのに、胴体が長すぎて、ちょっとバランスが悪くないですか?」

 

永福「そこが良いのだ。一見ラングラーだが、横から見ると異様に長くて、誰もが『何だコレ!?』とビックリする。アメリカン・ピックアップトラックにはもっとデカいモデルもあるが、グラディエーターはバランスが悪いから、見た目のインパクトは最大級だ」

 

安ド「なるほど! さすが深い考察です」

 

永福「それより驚いたのは、走りが実に快適なことだ」

 

安ド「快適ですか!」

 

永福「ラングラーは本格的なオフロード4WD。乗り心地は固く、高速道路では直進性が悪くてアタリマエだが、現行型はそこが大幅に改善された。このグラディエーターは、ボディが長いぶん、さらに乗り心地も直進性も良い」

 

安ド「重いわりには加速も良いですね!」

 

永福「燃費も7km/Lくらい走るし、価格は920万円。決してそれほど高くない。周囲へのインパクトを考えたら、ものすごくお買い得なクルマだ」

 

安ド「僕にはオーナー像が想像できないんですが、サーフィンやオフロードバイクをやるお金持ち層なんでしょうか? 船を乗せられるほど荷台は大きくないですし」

 

永福「荷台は必ずしも使う必要はない。そんなことより目立つことが重要なのだ!」

 

【GOD PARTS 1】パワーユニット

悪路を乗り越えるパワフルなエンジン

搭載エンジンのラインナップは3.6LV型6気筒DOHCのみ。284馬力、347Nmで、様々な悪路で力を発揮してくれます。オーナーが必要とするかどうかはともかくアイドリングストップ機能まで備えていて、エコ時代にも対応しています。

 

【GOD PARTS 2】各種オフロードスイッチ

あらゆる悪路に対応するオフロード機能を多数装備

インパネの下部にはオフロード車ならではのボタンが集約されています。あらゆる悪路に合わせてそれぞれを上手に走り切るためのシステムが搭載されていますが、素人では使い切れません。オフロードの世界は深い沼なのです。

 

【GOD PARTS 3】ディスプレイ

愛車の走行状況が目に見えて安心!

ボディの傾きやサスストロークなど、オフロードを走るうえで便利なパフォーマンスデータは、すべてディスプレイで確認できます。昔はこういった情報は追加メーターに表示していたんですが、デジタル時代ですね。

 

【GOD PARTS 4】マッド&テレインタイヤ

固くて頑丈な仕様で凸凹道も乗り切れる

17インチのシブいツヤ消しホイールには、ブロックパターンがサイドにまで配置された、剛性が高く丈夫な構造のタイヤが装着されています。なお、スペアタイヤについてはラングラーのようにボディ後方には付いていません。

 

【GOD PARTS 5】シフトセレクター

とにかく太いたくましさの権化!

ATは8速で、基本的にはラングラーの最強グレード「ルビコン」と同じですが、とにかく握りが太くて男らしいです。横に並ぶトランスファー(副変速機)レバーは、4WDを2WDにしたりロックしたりするためのもので、こっちもぶっとい!

 

【GOD PARTS 6】グリル&ヘッドライト

真正面から見たら見分けがつかない!?

ラングラーと同じ顔です。世界的にもお馴染みの好感度の高いデザインです。7本のグリル(セブンスロットグリル)と丸いヘッドライトはジープブランドの象徴となっていて、機能的にはゴツいクルマなのにほっこりします。

 

【GOD PARTS 7】バンパー

前にも後ろにも大きく突き出て衝撃を吸収

左右のフェンダー(タイヤ上方の囲み)はもとより、前後のバンパーもかなり突き出ています。実際に運転してみると、これが運転席からほとんど見えず(笑)、前方を何かに寄せる際は注意が必要です。リアには牽引用のフックが飛び出しています。

 

【GOD PARTS 8】外ヒンジ

ラフなつくりがカッコ良さをアップする!

ラングラーをはじめ、オフロード車ではこのようにヒンジ(可動部位の接続部)が外側に付いていることが多いです。機械としてシンプルな構造にした結果ではありますが、無骨な雰囲気が出て非常にカッコ良くなります。

 

【GOD PARTS 9】リアシート

長くはなったけど4人が快適に乗れる構造に!

ピックアップトラックは古来より2シーターが主流でしたが、現代では後席を追加した4人乗りモデルも増えています。その影響で全長は長くなりますが、内部の後席スペースは十分広く、後席の下には収納まで備えています。

 

【これぞ感動の細部だ!】荷台

何を載せるか? 使い方はオーナー次第!

日本では希少なピックアップトラックですが、北米では各ブランドでラインナップされるほど人気があります。ジープとしては26年ぶりの展開となりましたが、ベースとなっているのは新型ラングラーです。荷台のサイズは奥行きが1531mm、幅は最長部で1442mmで、高さもしっかり取られていて大容量。日本人オーナーたちがこの荷台をどう使うのか興味深いところです。

 

撮影/我妻慶一

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