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2016/10/29 12:00

首都高速ではない首都高速? 無料で走れるKK線が生まれた理由

首都高速道路と言えば、日本の首都、東京を縦横無尽に駆け巡る自動車専用道路ネットワーク。その中に、「首都高速ではない首都高速」と呼ばれる道があるのをご存知だろうか。

 

「東京高速道路株式会社」が管理する路線がそれ。首都高速は今でこそ民営化され、株式会社になっているけれど、1962年に最初の区間が開通してから2005年まで「首都高速道路公団」だった。それと区別するために、「会社線」「KK線」などと呼ばれている。

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ルートは首都高速都心環状線の京橋から分かれて内側に入り、銀座の西の端を、JR東日本山手線沿いに走ったあと、新橋の手前で外側に向かい、汐留で再び環状線に合流する。ただし、同じ環状線の神田橋からトンネルで東京駅八重洲口の脇を通り、トンネルと抜けて西銀座で合流する道路は首都高速が建設した八重洲線で、別扱いとなる。首都高速の早期に開通した区間は、川を埋め立てたり川の上に高架橋を架けたりしている場所が多い。すでに東京都心は多くの建物が立ち並んでおり、新たに道路を走らせる場所などほとんどなかった。しかしながら1964年の東京オリンピックまでに間に合わせたいという思いもあった。

 

こうした事情から、江戸時代には江戸城などに物資を運ぶ水運の経路として使われたものの、鉄道の開通や自動車の普及であまり利用されなくなっていた川や運河が注目されたのだ。KK線もこの手法で作られた。沿線に数寄屋橋や鍛治橋などの地名が残っているのはその名残である。

 

ところでKK線を使った人で、通行料金を支払った人はいるだろうか。いないはずだ。無料なのである。

 

KK線には京橋側と汐留側それぞれに料金所があり、首都高速から入ってきた人は、ここで通行券をもらい、反対側でその券を渡すだけで良い。KK線内の入り口から乗った人は、この2か所で首都高速の料金を払う。KK線内だけの利用のクルマは、そもそもゲートを通らないからタダだ。ETCでも基本的に同じルールとなっている。

 

なぜ無料にできるのか。銀座でKK線の脇を歩いたことがある人なら、下に飲食店などが入っていることを知っているはず。実はこれらのお店からの賃貸料収入で運営しているのだ。KK線が部分開業したのは1959年で、首都高速より早いのだが、そうとは思えないほど先進的な思想にあふれた道なのである。しかも無機質な高架橋より、周囲の風景になじんでいるような気がする。

 

なぜ首都高速はKK線のようなビジネススタイルを取り入れなかったのだろうか。一部でも導入していれば高いと言われる料金が少しは安くなったのではないだろうか。古くて新しいKK線。今度乗ることがあったら、そんなエピソードを思い出しながら走ってみてほしい。ただしスピードの出し過ぎにはご注意を。実はこの道路、東京高速道路と名乗っているものの、法律上は一般道扱いであり、最高速度は40km/hなのである。

 

【著者プロフィール】

森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

THINK MOBILITY:http://mobility.blog.jp/

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