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クルマ
2018/12/31 15:00

日本のクルマ市場が超特殊であることを、象徴する一台。ホンダ CR-V

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、8月にフルモデルチェンジしたCR-Vにあとから追加されたハイブリッドモデルをテストしました!

 

【登場人物】

●永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。

●安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます

 

【今月のクルマ】ホンダ CR-V

SPEC【ハイブリッドEX・マスターピース・4WD】●全長×全幅×全高:4605×1855×1680㎜●車両重量:1700㎏●パワーユニット:1993㏄直列4気筒DOHCエンジン+モーター●エンジン最高出力:145PS(107kW)/6200rpm●最大トルク:17.8㎏-m(175Nm)/4000rpm●WLTCモード燃費:20.2㎞/L
323万280円〜436万1040円

 

しかしまぁ、そんなことを言うのも、日本のカーマニアだけなのだろう

安ド 「ホンダのCR-Vが、日本市場に復活しましたね」

永福 「うむ。先代CR-Vは、2年半くらい前に販売中止になっていたからな」

安ド 「CR-Vって、そんなに売れてなかったんですか?」

永福 「日本では1クラス下のヴェゼルがヒットして、CR-Vはまったく売れてなかった。しかし、グローバルでは、CR-Vは一貫してメチャメチャ売れている」

安ド 「メチャメチャって、どれくらいですか?」

永福 「SUVとしては世界一売れているという説もある」

安ド 「世界一ですかぁ!?」

永福 「RAV4が世界一という説もあるが、どっちにせよ、世界で売れているクルマランキングのトップ5には入るはずだ」

安ド 「トップ5! マジすか! それが日本では販売中止になってたって、どーしてでしょう?」

永福 「日本市場は世界的に見て超特殊なのだ。アメリカや中国では、いまやCR-Vみたいな中型SUVが一番フツーの乗用車に成長したが、日本でこれはデカい」

安ド 「そんなにデカくないようにも感じましたが、実は全幅1855㎜もあるんですね!」

永福 「ちなみにホンダ車で一番売れているのはシビック。世界第2位の販売台数だ」

安ド 「あれもデカすぎます!」

永福 「そう感じるのは日本人だけらしいのだ。日本に住んでいると実感できないが……」

安ド 「まったく実感できません! でも、CR-Vを見る目も変わりました。これが世界のベストセラーなのか?」

永福 「日本はまさに島国よのう」

安ド 「でも、価格がちょっと高くないですか? ハイブリッドはなんと約378万円からです。これじゃ売れないでしょう!」

永福 「そう感じるのは、日本人が貧乏になったからだ」

安ド 「えっ、日本人は貧乏になったんですか?」

永福 「ここ数年で若干盛り返したが、それでもバブル期と比べると、まったく収入は増えていない。その間にアメリカ人の平均年収は2倍になり、中国は50倍になった」

安ド 「ご、50倍!?」

永福「テキトーだが、大体それくらいだ。テキトーだがな」

安ド 「ところで、走りのほうはどうでした?」

永福 「新しいホンダのハイブリッドシステムは、とてもスムーズだな。まるでトヨタのハイブリッドのように」

安ド 「ついにトヨタに追いつきましたか! 燃費も良かったです」

永福 「そのかわり、トヨタと同じ無段変速になったので、運転する楽しみはあまりない。俺はフィットやフリードのハイブリッドのほうが好きだ」

安ド 「あっちは7速DCTですもんね!」

永福 「しかしまぁ、そんなことを言うのも、日本のカーマニアだけなのだろう。涙が出るな」

 

【注目パーツ01】リアドア

ほぼ直角にまで開けられる

後席ドアが、なんと90°近くまで大きく開きます。これなら身体の大きい人も(そうでなくても)乗り降りしやすいことでしょう。ただ日本には、このドアを全開できるほどにスペースの余裕がある駐車場は少ないと思いますが。

 

【注目パーツ02】リアウィンドウ

荷室スペースを有効活用

背面のウインドウを横から見ると、かなり立っていることがわかります。昨今のSUVは流麗なデザインを目指すあまり、ここが鋭角になっているものが多いのですが、これなら荷室も上部まで広く使うことができますね。

 

【注目パーツ03】室内確認用ミラー付サングラスボックス

ファミリーにもうれしい装備

 

このサングラスボックスは、アメリカ人が好きな装備。本車では、開閉動作を途中で止めると室内鏡に早変わりするというギミックがあります。後席に乳幼児を乗せることが多いユーザーにもうれしい装備です。

 

【注目パーツ04】ヘッドライト&グリル

ホンダ車共通のフロントイメージ

いわゆる“ホンダ顔”とでも言いましょうか、新型CR-Vにもヘッドライトとグリルがくっついたファミリーフェイスが採用されました。ちょっと子どもっぽくもありますが、戦隊ヒーローのような普遍的なカッコ良さです。

 

【注目パーツ05】ドライビングポジションシステム

シートの設定位置を記録

ドアノブの前部分についている3つのボタンは、シートポジションを記録できるシステムの操作部です。高級車にありがちな装備ですが、おっさんからしたら「CR-Vも偉くなったなぁ」という感じでしょうか。

 

【注目パーツ06】センターコンソールボックス

便利な大容量変形ボックス

 

CV-Rは非常に収納箇所の多いクルマですが、前席左右間にはご覧のようにゴツくてデカいコンソールボックスも鎮座しています。5.5インチの大画面スマホもすんなり置けますし、トレイをスライドして、使いやすい形状に変更できます。

 

【注目パーツ07】電動開閉ゲート付きラゲッジルーム

使い勝手が良く、ギミックも満載

 

かつてRV(レクリエーション・ビークル)を得意としていたホンダらしく、荷室が優秀です。容量が大きく、開口部は低く、さらに荷室側から後席をワンタッチで倒すこともできます。運転席のボタン操作で電動開閉も可能です。

 

【注目パーツ08】エレクトリックギアセレクター

独特なインテリアデザインに

レジェンドやアコードなどから採用され始めた、他メーカーでは見られないスイッチ式のATギアセレクターです。カーマニアからするとちょっと寂しいですが、シフトノブがなくなることでインパネまわりがスッキリした印象です。

 

【注目パーツ09】モードスイッチ

シーンに合わせて変えられる

各モードへの変更スイッチです。スポーツモードでは、アクセル操作に対する反応がリニアになり、キビキビと走れるようになります。エコノミーモードでは燃費重視でのんびり走り、EVモードはモーターのみで走ります。

 

【これぞ感動の細部だ!】エンジン

スポーティな走りと低燃費を両立

パワーユニットは、高出力な1.5L VTECターボエンジンと、2.0Lエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドの2種類。CR-Vへのハイブリッド搭載は初となり、ホンダが“スポーツハイブリッド”と提唱する「i-MMD」という、アコードやオデッセイなどで定評のあるシステムが採用されました。4WD仕様でも優れた燃費性能を発揮します。

 

撮影/木村博道