ファッション
2016/6/29 11:44

【腕時計の基本part1】手巻きと自動巻きって何が違うの?

機械式時計のムーブメントには、手巻きと自動巻きの2タイプがあります。現在の市場では、その製造数も需要も圧倒的に自動巻きが主流ですが、一方で古典的かつシンプルな手巻きも根強く人気があります。そこで、全3回に分けて手巻きと自動巻きの仕組みについて、解説していきます。1回目は、ふたつの機構のメリットとデメリットについてです。

 

手巻きムーブメントの特性は?

手巻き式は、18世紀の懐中時計の時代から続く古典的なメカニズム。リューズを使って動力用のゼンマイを手動で巻き上げることから、英字表記ではManual Windingと表記されます。

 

↑1945年にパテック フィリップが開発し、1851年のロンドン万国博覧会で金賞を受賞した、竜頭巻上げ式・時刻合わせの時計。時のヴィクトリア女王に献上された
↑1945年にパテック フィリップが開発し、1851年のロンドン万国博覧会で金賞を受賞した、竜頭巻上げ式・時刻合わせの時計。時のヴィクトリア女王に献上された

 

最大のメリットは、機械式ムーブメントの基本形でパーツ点数が少なくて済むこと。機能を絞り込めば2mmほどまで薄く作ることができるブランドもあり、スリムさが要求されるドレスウオッチに搭載されていることが多いです。

 

メリット:

①機械を自分で巻いて動かす感覚がレトロチック

②構造がシンプルで、耐久性やメンテナンス性に優れる

③華麗な装飾が施されたムーブ全体が鑑賞可能

④ムーブメントが軽量&薄型なので、造形もスマート

 

デメリット:

①ゼンマイを毎日、定期的に巻かなければいけない

②巻き忘れて装着中に止まってしまう例もある

③リューズは繊細な部品なので傷みやすい

 

 

自動巻きムーブメントの特性は?

自動巻き時計のムーブメントには、「ローター」と呼ばれる回転する錘(おもり)が内蔵されています。これが腕の動きによってクルクルと回ると、歯車を通じてゼンマイが巻き上がっていく仕組みとなっています。着け続けていればリューズを回す必要がないため、「自動巻き」と名付けられました。英語では、Automaticのほか、Self-windingとも表記されます。

 

↑自動巻き腕時計の機構は、時計師のジョン・ハーウッドが考案。1926年には、時計メーカーのフォルティスとともに世界初の量産化も実現されました
↑自動巻き腕時計の機構は、時計師のジョン・ハーウッドが考案。1926年には、時計メーカーのフォルティスとともに世界初の量産化も実現されました

 

発想自体は懐中時計の時代からあって製品化もされたのですが、腕時計が主流になってから評価された機構です。懐中時計を持ち運ぶときは基本的にポケットに入ったままなので、回転錘があまり動かなかったんですね。

 

メカニズムの考え方としては、手巻きムーブメントに自動巻きモジュールを追加したものとなります。そのため、手巻きに比べるとパーツ点数が増え、厚みと重さも増します。

 

メリット:

①使用中に巻き足されるので、実際の駆動時間が長い

②装着していれば、時計が止まる心配は少ない

③緻密さを極めた機構部が、メカニカルな雰囲気

④便利なワインディングマシンも活用できる

 

デメリット:

①ムーブメントの構造が複雑なので、メンテナンス性がやや劣る

②自動巻き機構が足された分、機械が重く、厚い

③メンテナンス費用も、一般的に手巻きよりやや高い

 

個人的にはリューズを巻く行為が好きなので、手巻きの時計に魅力を感じます。皆さんはいかがでしょう? 次は手巻き時計のメカニズムについて、より詳しく解説していきます。

 

【URL】

パテック フィリップ http://www.patek.com/

フォルティス http://www.fortis.jp