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2018/10/23 19:15

日本発世界でバズ中のガジェット「WEAR SPACE」、海外勢からは「馬か!?」の総ツッコミ

日本でも海外でも、フリーランスの方たちがインターネットを通して単発の仕事を請け負うギグ・エコノミーがどんどん拡大しています。それに伴って増えているのが、広いスペースを大勢のメンバーと共有するWeWorkのようなシェアオフィス。カフェや図書館といった、ほかの場所でもラップトップを開いて仕事をしている人を見かけますよね。

 

「勉強ができるカフェ」と検索すれば、数千万件の検索結果が出てきますが、ここからは多くの人たちが集中して作業できる場所を探していることが伝わってきます。そんなノマドワーカーたちの役に立ちそうなプロダクトが最近、日本のクラウドファンディングサイトGREEN FUNDINGに登場して話題を呼んでいます。その名も「WEAR SPACE」。

本製品は、パナソニックの子会社ShiftallとパナソニックのクリエイティブチームFUTURE LIFE FACTORYによる共同プロジェクト。ユーザーの集中力を高めるために、視界を狭める仕切りとノイズキャンセリングのヘッドフォンが一体となっていることが特徴。「オープンな空間にいながらも、WEAR SPACEを身に着けることで、瞬時に周囲との境界を作り出し、心理的なパーソナル空間を生み出します」と、そのクリエイターは説明しています。

 

たしかにカフェやシェアオフィスでは周りの人たちが会話をしていたり、大きな音楽が流れていたりと気が散ることが多いですよね。図書館のような静かな環境でも、利用者が立ち上がったり、他人の囁き声などが聞こえてきたりと、静かな場所は静かな場所特有の気が散る要因があるわけです。

そこで、ユーザーが目の前の作業に集中できるように、WEAR SPACEは水平視野を約6割カット。ありがたいことに、周囲の状況に応じて3段階に変更できるノイズキャンセリングも搭載しています。Bluetoothも搭載しているので音楽やホワイトノイズを聴くことも可能。

 

日本のメディアでもさっそく話題になっていますが、海外メディアでも面白いプロダクトとして取り上げられています。いったい外国人はどのようにWEAR SPACEを見ているのでしょうか?

面白いことに、アメリカの複数の科学・テクノロジー系メディアが揃って指摘しているのは、馬に取り付けられる「ブリンカー(またはブラインダー)」と呼ばれる装置との類似点。この装置は競走馬や馬車が左右の動きに反応しないように視野を制限するための馬具。WEAR SPACEはそれを連想させるみたいですね。

The Vergeは皮肉を効かせて「これは人間向けのハイテク・ブリンカーだけど、ディストピア(ユートピアの正反対)的なところはまったくありません」と、SF映画などで描かれる監視社会のように見えることを指摘しています。

 

そのほかのメディアも論調はほぼ同じ。Mashableは「パナソニックによる人間用ブラインダーを使って馬車馬のように働きましょう」と揶揄する一方、Futurismも「パナソニックの人間用馬具ブラインダーは、まるで顔に取り付けるディストピアのオフィス・スペースだ」と批判しています。

 

やはり、周囲の人から見ると、本製品はユーザーの目が一切見えず、遮断されているように見えるため、それが本製品の狙いと知りつつも、人間性や存在感が失われている印象を与えます。本製品に抵抗感を覚えたあるライターは「自分の代わりはいくらでもいます」と雇用主にアピールするのにピッタリの製品だ、と皮肉たっぷりのコメントを書いていますが、それでもライターたちが本製品について書きたくなってしまうのは、そのメリットも直感的に理解しているからではないかと推察します。

 

扇情的なタイトルばかりが目に付きますが、どの記事も「一定のニーズはある」「広まる可能性はある」と述べていることが興味深い点。私自身も自宅にオフィスを構えて執筆をする身ですが、本製品に魅力を感じている一人です。本製品に対して批判的な記事を書いたライターたちも進歩改善の期待を込めて批判しているのかもしれませんね。

 

Twitterの投稿も賛否両論。「これは大人数で騒がしいオフィスで働く人には非常によい」「素晴らしい」という絶賛の声がある一方、「人間用馬具ブラインダーなんてクソくらえだ」「こんな製品を作るなんて、よしてくれよ」「我々はゆっくり馬に進化しているのか!?」という批判もあります。

 

しかし、本製品のクラウドファンディングのコメント欄をよく見てみると、「こんなプロダクトを待ってました!」「現代のワーカーには必須」という声のほか、ADHDやアスペルガー症候群との相性のよさを指摘するコメントも多数書き込まれており、多くの人が本製品を歓迎していることも伝わってきます。

 

革新的な製品を早く作るために、ShiftallとFUTURE LIFE FACTORYは共同プロジェクトという形でクラウドファンディングに挑戦したとのことですが、イノベーションは物議を醸すもの。そういった点で本製品には可能性を感じます。

1台2万9000円〜(限定200台)で予約できるWEAR SPACEは、すでに300人以上が支援しています。10月22日時点で獲得資金は目標金額の60%となる900万円弱。限定200台が締め切られると価格は3万500円となります。本プロジェクトの期限は12月11日。海外で賛否両論の本製品が、はたして目標金額の1500万円を達成し、シェアオフィスにイノベーションをもたらすのでしょうか? 要注目です。