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2019/11/18 19:00

本当に環境のためになるの? 賛否両論の「河川用ゴミ拾いロボット」が海外で見切り発車

世界各国で続々と禁止されつつある、使い捨てプラスチック用品。プラスチック汚染は深刻な状況ですが、この問題を解決するために、「自動ゴミ拾いロボット」を開発して、実際に海でのゴミ収集作業を行なっている非営利団体がオランダにあります。それがThe Ocean Cleanup(TOC)。2013年に設立されたこのNGOは、1年前に一部の専門家たちから反対されながらもロボットを使った海洋ゴミ収集を始めて話題になりました。

 

そんなTOCが先日、新しいプロジェクトを発表。海洋のプラスチック汚染を解決するために、今回彼らが目を付けたのが河川なんです。

 

海のプラスチックを排除するのに、なぜ河川に取り組むのか? TOCのリサーチによると、世界の河川の1%(1000本)が、海に捨てられているプラスチックの約8割を占めているとのこと。そうだとすれば、海をこれ以上汚さないためには、この1%の河川でゴミ収集に取り組むことが重要なんですね。なので、TOCは2025年までにこの1000本の河川からプラスチックごみをなくすとも宣言しています。

 

すでに世界中の都市で、その土地の河川に応じたゴミ収集メソッドが開発されていますが、The Ocean Cleanupのアプローチは、どの河川でも実践できる汎用性の高いロボットを開発するというもの。その結果生まれたのが、ソーラー発電で充電し、川に浮きながら自律稼働を行う「The Interceptor」です(一番上の写真)。

 

The Interceptorは、川の上流において片側にアンカーを立てる形で固定。そこから伸びたアーム部分に沿って表面に浮いたゴミがロボットの方向へと寄せ集められ、最終的にはベルトコンベヤーに引っかかり、ロボットの背部にあるコンテナへと収納されていくという仕組みです。

川を完全に塞ぐわけではなく、片側にスペースをあけることで河川の生き物やボートの通り道を確保するとのこと。少し下流にもう一台Interceptorを設置することで、最初のロボットが取り逃がしたゴミをキャッチする計画みたいです。

 

TOCの発表では、天候や流れによるものの、一日に5万kgのゴミを収集することが予想され、理論上は一日に10万kgまで収集できるとのこと。背部には6つの大型ゴミ容器が搭載されており、均等にゴミが収納されるようプログラムされています。ゴミ容器が満杯になれば信号を発進し、ボートが Interceptorの稼働場所にやって来てコンテナを回収するという流れ。

 

Interceptorはすでにインドネシアのジャカルタに設置されており、マレーシアにも一台設置が進んでいるようです。次の候補地として挙がっているのがベトナムやドミニカ共和国、タイ、アメリカ西海岸、エルサルバドルなど。世界各国へ活動を広げるTOCは、海に浮かぶプラスチックの90%を2040年までに除去することができるとも予測しているんですね。

しかし、専門家たちからは疑問の声が挙がっています。TOCの最初のプロジェクトにおいては、「海水面に浮かぶ生き物を排除してしまうのではないか」「TOCの環境アセスメントには水表生物(ニューストン)の生態系への影響が考慮されていない」と批判。専門家たちとTOCの間で数回、意見の交換がインターネット上で行われましたが、最終的な同意には至らないまま、TOCはプロジェクトを見切り発車。「ゴミがちゃんと取れてます!」と報告したものの、その画像のなかに小さな海洋生物が捕まってしまっていることを専門家から指摘される始末です。

 

エンジニアによる実践的な環境問題への取り組みを前面に出すTOCですが、その河川クリーンアップ計画の発表に対しても、ツイッター上では「生態系の複雑な科学を無視した『エンジニアが世界を救う』アプローチは失敗する」と指摘されています。一刻の猶予も許されない環境問題、実践的な解決策が求められているものの、生態系がいま以上に破壊されてしまっては本末転倒。はたしてTOCは計画通りにプロジェクトを遂行できるのかどうか、本当に自然環境のためになるのかどうか注目です。

 

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