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事例集
2022/2/5 17:26

毎朝、美味しい卵をいただこう!ニワトリ小屋の作り方/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(8)

早朝、ニワトリ小屋で産みたての卵を見つけたときの充実感!奇跡のような、まっ白な楕円の球体を手に取ってみると、ほのかにあたたかくて、まだ生命が宿っているのがわかる。そんな感性も田舎暮らしで培われるのだ。今回は正しいニワトリ小屋を作る話。

 

いい加減に作るとあとで後悔する。それがニワトリ小屋だ。では、どんな作りにすればいいのか? それを知るために、実際にニワトリ小屋を自作している里山の先輩たちに話を聞いてみた。

 

case1 Sさんのニワトリ小屋

まず、30年前から、千葉県いすみ市で「自給自足」の農業を目指してきたS夫妻。米や野菜を作るかたわら、20年前からはニワトリ小屋を自作し、その後、失敗と進化を重ね、「何棟作ったか忘れた」くらい、たくさんのニワトリ小屋を作ってきた。

 

ひさしが張り出し、雨水が吹き込むのを防ぐ。網は細めのチキンワイヤーネット。板を16cmほど地中に埋めて、イタチの侵入に備えている

 

 

産卵箱

 

case2 Aさんのニワトリ小屋

続いて、10年前、都内から千葉県大多喜町に移住し、里山暮らしをしながらクラフト製作を行なっているAさん夫妻。Aさん夫妻は、3年前、隣の家から若いニワトリのヒナをもらったことがきっかけになってニワトリを飼い始めた。

 

奥行き2800mm、幅2000mmの小屋に現在オス1羽、メス3羽。十分な広さだ

 

 

奥の部屋と手前の運動場の2室構成(A邸)。奥の部屋の床はコンクリート敷きの上にモミ殻を敷いている

 

case3 Nさんのニワトリ小屋

そしてもうひとりが、やはり千葉県市原市の里山で、ニワトリを飼っているNさん(80歳)だ。元宮大工で、小屋作りはお手のもの。

 

チキンワイヤーネットの下半分はホームセンターで見つけたプラスチックの網が張られ、二重になっている。基礎はみかげ石を布基礎のように並べている

 

 

産卵箱(N邸)。中にワラが敷かれている

 

中は2部屋に分かれており、連絡口で行き来できる。ケンカをしたりイジメがあるときは連絡口を塞ぐ

 

時々外へ出して運動させるが、タカやトンビに狙われるので注意しなければならないとか

 

必要な設備は…?

彼らの話を総合したアドバイスをまとめてみると…。

まず止まり木。夜はここで寝る。高さは1.8mくらいあってもいい。ニワトリはけっこう高く飛ぶらしい。次にエサ箱と給水器。太いモウソウダケの半割なんかを容器にしてもいい。給水器は空き瓶を利用した自作がおすすめ。また産卵箱も必要。これはメスが卵を産む場所。外からの視界を遮る壁を作り、下にモミ殻などを敷く。

 

夜ニワトリがゆっくり休める止まり木は必要な設備。高い所に設置しても大丈夫

 

産卵箱の例。合板で作り、モミ殻を敷いている

 

・部屋を分ける?
世代の違うニワトリを同じ場所で飼ってはダメ。ケンカをして傷ついたり、イジメで死んだりする。世代に合わせて、2、3室あると便利。

・広さは…?
高さは人が中に入って掃除などの作業をしやすくするために2mはほしい。床面積は広ければ広いほどいいだろうが、できれば5羽あたりで1.8×1.8mはほしい。

 

室内は2mほどの高さがほしい。人が立った状態で世話ができる

 

網の下半分を縦格子の竹を張って強化している例

 

・網フェンスは…?
菱形の網は野犬などに壊されやすいから駄目。チキンワイヤーネット(亀甲形の目の細かい網)を張り、ヘビ(アオダイショウやシマヘビ)の侵入に備えたい。2.5cm径の網目を抜けてヘビが入ってくることもある。また、網フェンスの下半分は竹を縦格子状に張って強化したり、二重にして、野犬やハクビシンに備える。ネットはできればステンレスかコーティングされたものがいい。ビニール膜のものは弱い。

・基礎は…?
イタチ除けのために、周囲の地べたを掘って、板やブロックを15cm以上埋め込む。生コンを打ち、ブロックを深めに埋めて布基礎にすれば完璧。

 

チキンワイヤーネットと呼ばれる網を使う。なるべく目の細かいもの

 

 

・すき間は塞ぐ
野ネズミやヘビ対策のため、すき間を見つけたらすみやかに塞ぐ。

・湿気はダメ、暑さもダメ
風通しをよくし、湿気を防ぐ。グチャグチャは禁物。雨除けのひさしはほしい。清潔を保つために小屋の中はこまめに掃除をする。夏の日陰を作るために、小屋のそばに落葉樹を植える。

・運動場はほしいが
ヒナや若いニワトリをタカやカラスが狙うので、囲いだけでなく、天井に防鳥ネットをかける。野鳥との接触も避けられ、鳥インフルエンザ対策にもなる。

 

水が入った空き瓶を逆さにして容器に入れるだけで、適当な給水器ができる

 

エサ箱の例。雨ドイを利用している

 

 

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年6月時のものです。

 

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