薪ストーブ、囲炉裏、ピザ窯、焚き火、BBQ…。里山暮らしには、何かと薪がいり用だ。そこで斧を振り上げ、せっせと薪作りに励むことになるのだが、けっこうこれが大変。で、今回は正しい薪の割り方、ここがポイント集。けっこう深~い世界なんだぜい…。
薪割りは里山暮らしの基本
薪がなくちゃ始まらない。これがD型の里山暮らしの基本だ。そこで薪をいかに要領よく確保するかが大問題になる。ドゥーパ!のガーデンスタジオがある房総の里山の暮らしも、木工で出た端材はもちろん、敷地内の森で間伐した材や立ち枯れた木、近くの山歩きで見つけた倒木などを利用し、せっせと薪作りに精を出すわけなのだが、これがとっても大変。柔らかくて軽いスギ材ならまだしも、コナラやスダジイ、クリの木などの硬木となると、チェンソーを使った玉切りさえもけっこうな作業になる。そしてさらに大変なのが、玉切りした材を薪にするための薪割り。斧でエイ!とやったあと、上半身裸になって、光る汗を拭くのは古い青春映画の話で、実際には、七転八倒、顔を歪め、腰を痛め、空振りし、腕を捻り、疲れ果て、最後に嫌になって斧を放り投げる。そこで、今回そんなあなたに捧げたいのが、里山暮らしの正しい薪の作り方。
POINT1 丸太の玉切り台を作ろう
間伐した長めの材を必要な長さに玉切りするためにぜひ用意したいのが専用の玉切り台。丸太を載せて動かないようにしてチェンソーで玉切りする。ある程度の高さがあるので、腰が楽なのが一番。地面に置いたまま玉切りして、ソーチェンを傷めることもない。写真は2×4材で作ったもの。単純構造だから、簡単DIYで作れるはず。
POINT2 一度使ったら離せない、リフティングトング(丸太はさみ)
玉切りした丸太を腰をかがめてつかむとき、腰にけっこうな負担がかかるが、そんなとき涙が出るほど嬉しいのがリフティングトングと呼ばれる丸太はさみ。氷屋さんが使う氷ばさみと同じ原理で、丸太をしっかりつかむツールだ。森から丸太を運ぶときや玉切り台に載せるときなど、あるとないとでは全然違う。たとえば2個用意してふたりで使えば、長くて重い丸太の移動もホントに楽なのだ。ドゥーパ!で使ったのは、ファイヤーサイド(株)から発売されているリフティングトングで、価格は約4200円。腰を痛め、鍼灸治療をすると1回5000円以上かかることを考えたら……おすすめです。
POINT3 感動しました!焚きつけを作るなら、キンドリングクラッカーが超便利
薪を燃やすには、まず細くて火つきがいい焚きつけが必要だが、その焚きつけを作るためにめちゃくちゃ便利なツールが「キンドリングクラッカー」。リングに囲まれた刃に薪を載せ、軽く支えながらハンマーで叩くだけで簡単で安全に細い薪が作れるというもの。力がいらないし、ハンマーの的をはずすこともない。これなら女性でも安心して細い薪が作れるはず。
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POINT4 斧割りは、腕を伸ばして、足の位置を決めるのがポイント
まず太くて硬い丸太を利用した薪割り台は必要。それも割る人の膝より低いものを用意しよう。玉切りした材をこの台に立て、斧で割るのだが、ポイントは薪材を薪割り台の向こう半分に立てること。斧が薪の材に当たり損ねたとき、斧が台に当たるようにするためだ。次に割る人の格好だが、防護メガネと安全靴、滑り止めのグローブは当然必要。ヘルメットがあれば完璧だ。これで準備はOK。
まず、腕を真っすぐ伸ばし、柄のにぎりを両手でしっかりにぎり、斧の刃を薪の材の中心に当てた状態で、足の位置を確認。これが正しい足のポジションだ。続いて、片手は柄の尻を、もう一方は柄の少し中ほどを持ち、斧を肩に担ぐようにして振り上げ、柄の中ほどを軸に回転させるように振り下ろす。スナップを効かせ、力を加減し、斧自体の重さで割るのがコツだ。斧が材を打つ瞬間、斧の柄は水平になっているのが理想的だ。
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POINT5 堅い木はクサビを2本使って
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POINT6 やっぱり電動薪割り機は偉大だった
なんといっても電動薪割り機。当たり前だがこれが一番楽。ただし高価なので、大量に薪を使うプロは別として、それほど普及はしていないはずと思っていたら、けっこう持ってる人がいるらしい。そんな電動薪割り派のうちのひとり、Mさん(51歳・会社員)のお宅にお邪魔して、電動薪割り機の威力を実感させてもらった。Mさんは、本格的ピザ窯を手作りし、週末のピザパーティーで、大量の薪を使うため、2~3カ月に1回、この電動薪割り機で薪割りにはげむ。
Mさんの愛機は、油圧式100V1500Wの7トンタイプ、XL7500Rという機種だ。定価は6万円台だが、ネット通販で7掛けで購入したので実際には4万円台。
さっそく、薪割りスタート。スイッチのオンオフはレバーの上げ下げだけ。薪材をセットし、スイッチをオンするとメリメリと裂け、アレヨアレヨと薪ができてくる。2分割だけでなく、4つ目刃を装着すれば4分割もできる。オーナーのやることといえば、そばに座って、材料をセットするだけ。ちなみに、本誌が持参した堅いコナラの丸太も簡単に割れた。
Mさんの愛機の粉砕力は7トンタイプ。機種によって、それよりも小さいものや大きなものもあるが、人によって「最低でも12トンタイプ」とか「20トンタイプ」とかいう人もいるが、7トンタイプでも十分という感触を得た。価格的にも、ネット通販で購入するとけっこう大幅なディスカウントをしているようだ。ピザ窯や薪ストーブなどで大量に薪を作る人は十分購入の対象にしてよさそうだ。
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取材・文◎脇野修平
*掲載データは2016年2月時のものです。
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