達人に訊く
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2022/4/2 19:10

解体するための道具の種類と使い方・後編/超実践的DIY道具ラボ(21)

住宅用家屋の解体というと急に敷居が高くなってしまうが、今回はDIYで作った小屋や物置、模様替えのための室内などをターゲットに、道具とその使い方、解体手順を紹介しよう。

作業服選び&解体の3大道具などを解説した前編はコチラ

 

解体作業で持っていると便利な道具

在来工法であれ、2×4工法であれ、解体には前編で紹介した「チェンソー」「はつり機」「バール」の3アイテムがあれば、大体の工程をクリアできる。だが、廃材をリサイクルしたいからていねいに解体したい、古民家によくあるホゾ組みを生かしたままにしたい、高所での解体作業をより安全に行ないたいという場合には、以下の道具が役立つので覚えておくといい。

 

<プライヤー>

ネジ頭の溝がつぶれたり、途中で折れたビスを無理やりこじり取るときに便利

 

<インテリアバール>

片手で扱いやすいサイズ(250mm程度が多い)のバール。へら部分が広いので、すき間をこじってはがす作業で活躍する。反対側はクギ抜きとしても使える

 

<インパクトドライバー>

木材からビスをはずすときに使う。錆びついていたりビス頭の溝が埋まっていてはずせないときは、ビットをネジはずし専用のものに替えるといい

 

<ハツリハンマー>

クサビ状のヘッドが特徴的な解体用ハンマー。ホゾ組みの柱をはずす際に衝撃を与えたり、ブロックやモルタルをはつる(壊したりはがしたりする)作業に使用する。重さは450g、700gが一般的

 

<折り込みノコギリ>

折りたたみ式ノコギリ。刃の長さは150mm程度が扱いやすい。持ち運びしやすく、細かな切断が必要な場面に使用する

 

<脚立>

天井など高い箇所の解体時に活躍する。足場板が広いモデルなどバリエーションが豊富。一番上に乗ってぎりぎり届くのではなく、中段ぐらいでも安全に作業できるサイズを選びたい

 

<ガラ袋>

解体で出た廃材を分別して廃棄するのに便利なポリプロピレン製の袋。サイズは600×900mm規格

 

小型重機ミニユンボをレンタルして使う

廃材を再利用するためにきれいに解体する必要がない、周囲に十分なスペースがあるということであれば、小型重機を解体作業に使う手も。1トン未満のミニユンボでも物置ぐらいなら簡単に壊すことができ、基礎の撤去から整地まで、短時間で作業することができる。こうした重機は自動車と同じで、私有地で私用に使う限り免許が不要。しかし、レンタル業者から借りる場合は、技能講習修了書の提示を求められる。購入して独学で操作方法を学んでもいいが、確実な操作と安全のためにも、建設機械メーカーなどが主催する専門の教習所で講習修了証を取得しておくのが得策だ。

3トン未満の小型重機なら扱うのもそれほど難しくはない。講習修了証は1~2万円程度で取得できる

 

解体作業の基本手順を知る

ここでは建築申請のいらないDIY小屋や物置を例に基本的な解体手順を紹介。解体といっても、やみくもに壊しては現場がグチャグチャになって整理がつかなくなる。基本的には組み立て時の手順と逆に進めていけばいい。なお、外装材解体(STEP4)と、屋根の解体(STEP5)の順番はどちらを先に行なってもいいので、天候や作業のしやすさに応じて決めよう。また、各工程を終えるごとに、各廃材は分別して整理しておくと片付けがラクになり、作業スペースも確保しやすくなる。

 

STEP1 現場の準備
住宅街なら近所に粉じんが飛び散らないか、ほこりが舞わないか確認。必要なら建物周囲に足場を立て、養生シートを張ろう。解体中に粉じん、ほこりが多く出そうならホースで散水してくれる助手も用意したい

 

STEP2 建具を取りはずす
室内の家具類はすべて運び出し、窓やドアなどを取りはずす。ていねいに作られた建具は、エイジングされたアンティーク風の作品として再利用できるし、金具類も状態がよければ、保管して次の製作に利用することができるので、細かくチェックしながら解体したい

 

STEP3 内装材を解体する
壁紙、壁板、床板、断熱材などを解体。天井から床(上から下)の順に作業を進める。はがす作業が多いので使う工具はバールがメイン。上下水道、電気、ガスを引いている場合は業者に撤去を依頼するのが確実だ

 

STEP4 外装材を解体する
外壁、窓枠、ドア枠などをはがしてしまう。部材に合わせて各種電動工具を使うとはかどる。解体した廃材からビスや金具を取りはずし、材質ごとに分別してガラ袋に収まる長さ(900mm程度)に切断してまとめておく

 

STEP5 屋根材や屋根下地を解体する
アスファルトシングルやスレートなどの屋根材をはがし、屋根下地も解体していく。高所での作業となるので、転落防止の安全対策には十分な注意が必要だ。可能なら、解体した廃材は取りあえず地面に落としてしまい、後で整理すればいい

 

STEP6 構造材を解体する
チェンソーを使って解体する。途中で崩れないように解体する部位、順番に注意し、バランスよく進めていく。基本は上から解体していくが、必要であれば突っかい棒をかますなど安全策をとる。長い材は解体したら運びやすい長さ(ガラ袋に入るサイズ)にカットしておこう

 

STEP7 基礎石を撤去して整地する
モルタルなどで固定した場合はハツリ機を使うとスムーズに粉砕、解体できる。現場に残った細かな屑を掃除し、地面を平らに均して整地する。なお、一連の作業で発生した大量の廃材は、たとえ木材でも焚き火で処分することは多くの自治体で規制されているので、近くのごみ処理場や環境センターに持ち込んだり、産廃業者に頼んで処分してもらおう

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2017年10月時のものです。