インドのオンラインゲーム市場が目覚ましい発展を遂げています。スマートフォンユーザーの増加やモバイルゲームの拡大などによって、同国のゲーム人口は急増。この動向はインド企業だけでなく日本のゲーム関連企業にも大きなチャンスかもしれません。
まずは、インドのオンラインゲーム市場について見てみましょう。同国のThe Economic Times紙によれば、インドのオンラインゲーム市場は成長率38%を記録し、世界のモバイルゲーム市場の上位5位に位置しているとのこと。また、インドには400社以上のゲーム会社があり、世界で2番目に多い約4億2000万人のオンライン利用者を抱えていると言われています。
インド国内に目を向けると、同国のゲーム市場は過去5年間、安定的に成長しており、2025年には3倍の39億ドル(約5400億円※1)に到達する見通し。オンライン利用者数も2020年の3億6000万人から、2021年には3億9000万人に増え、ゲーム人口は2023年に4億5000万人を超えると予測されています。
※1: 1ドル=約138.4円で換算(2022年8月31日現在)
このような成長の主な要因として、同紙は「若年層の増加」「可処分所得の増加」「新しいゲームジャンルの導入」「スマートフォンやタブレットのユーザー数の増加」「インターネットの高い普及率」が挙げられると分析。加えて、新型コロナウイルスのパンデミックによる「巣ごもり」も、インドのオンラインゲーム市場の拡大を加速させたと見られています。例えば、2020年9月に同国ではオンラインゲームのダウンロード数が73億回になりましたが、その数は世界で最も多く、全世界のダウンロード数の約17%を占めたとのこと。
それでは、インドではどのようなオンラインゲームが注目されているのでしょうか? 同国のスポーツ専門サイト・Twelfth Man Times(TMT)によれば、パズルやファーストパーソンシューティング(FPS※2)、バトルロイヤルゲーム(※3)などが人気を集めているそう。例えば、バトルロイヤルゲームの1つ『PUBG』の場合、インド市場は全ダウンロード数の25%を占め、月間5000万人のアクティブユーザーが登録しています。
※2: ゲームを操作する本人が主人公になり、銃などの武器を使って標的を倒すゲーム
※3: 多数の個人または複数のチームがゲームに参加し、他のプレイヤーもしくはチームを全て倒すゲーム。最後の1人もしくは1チームになると勝ち
一方、ゲーム機を利用する「コンソールゲーム市場」も高い人気を集めるようになりました。この分野では2022年から2026年にかけて年間10%の成長が見込まれています。さらに、インドオリンピック委員会が公式スポーツに指定した「eスポーツ」が盛り上がりを見せており、そのプレイヤー数は2022年に100万人に達する見込み。
ゲームパブリッシャーへの投資は不足
TMTによれば、インドのゲーム業界におけるゲームスタジオの数は、2009年の15社から2021年には275社へと大幅に増加したとされています。また、世界的に著名なスタジオもインドに事務所を開設し、インド市場におけるブランド確立を目指している模様。しかしその反面、インドのゲームパブリッシャーはまだまだ開発の余地があるとされており、同国のオンラインゲーム市場の成長には、ゲームパブリッシング業界へのさらなる投資が不可欠と指摘されています。
日本にはゲーム機やソフト、オンライン/スマホゲームを作る企業が多数存在しており、海外の企業と資本・業務提携をするなどしてグローバルに競争しています。次の戦いの舞台は、インドのオンラインゲーム市場かもしれません。
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