薪ストーブやピザ窯などで使う薪は、生木だと煙が出るので、できるだけ乾燥させたほうがいい。そこで薪を乾燥させながらストックできる薪棚が欲しい。薪棚は薪を収納するだけじゃなく、薪を乾燥させる場所でもあるのだから。
びっしり並んだ薪の木口群は、薪ストーブのある暮らしのシンボルだ
房総の里山にあるドゥーパ!のガーデンスタジオにはピザ窯もあるし、薪ストーブもあるし、ロケットストーブもある。そこで使用する薪は、玉切りした間伐材を割ったものだが、資材置き場の隅に置いてあったり、ピザ窯の横に積んであったりして定位置がなかった。適当に乾燥した薪を選んで使っていたのだが、乾燥期間がわからないので、薪を放り込んでみたらピザ窯の中が煙だらけになるということもあった。
そこで、風通しがよくて、取り出しやすいところに薪棚を作ることにした。薪は間伐した時期がわかるように順番に並べ、できるだけ乾燥の進んだ薪から使うようにすればいい。
選んだ場所は以前建てた高床式の小屋の軒下。ここなら適当に風が吹き抜け、乾燥しやすい。薪は冬の間、薪ストーブで使ったり、週末ピザ窯に使う程度だからそれほど大規模なものは必要ない。
製作は半日で十分だった。まず、古いブロックやレンガ敷きのテラスに基礎パッキンを置き、その上に1本柱を立てて小屋の壁に固定。これを基準にして、残った柱、横桟、棚板の受け、屋根の下地などを取りつけて骨組みを作る。あとは屋根材を張り、棚板を載せて固定し、最後に塗装をしてできあがり。幅約1800×奥行約400×高さ約1600mmの小さな薪棚だ。棚は2段にした。2×4材、垂木、サイプレス(豪州ヒノキ)などの廃材を活用したから、費用はほとんどかかっていない。屋根材は、以前小屋の製作で使ったオンデュリンの波板の残りだし、基礎パッキンは住宅建設中の現場からもらってきたものを使用。棚板は古くなってはがしたデッキの床板だ。
<簡単な薪棚の作り方手順>
2×材の接合パーツを使えば、さらに簡単
もちろん、薪棚はいろいろな作り方があっていい。
いちばん簡単なのは、たとえば、プラスチックや金物などを使った2×材の接合パーツを使って組んでいく方法だろう。2018年の夏の終わりに、千葉の幕張メッセで開かれたDIYショウで本誌がプロデュースしたテーマゾーンには、プラスチック製の「シェルフリンクス」というパーツを使った薪棚を飾っていたが、あれは本誌のスタッフが、現場でほんの数十分で組んだもの。シェルフリンクスは1個600~900円程度かかるので、大規模な薪棚を作る場合は、それなりに費用はかかるけれど、DIYビギナーやめんどくさがり屋にはおすすめ。
また、降雪地域など、頑丈で大規模な薪棚が必要になるところでは、単管パイプでガッチリ組んだり、鉄骨構造にしたり、それなりの対応が必要だろう。ほかにも、見た目にもかっこいい薪棚の自作キットや市販の薪棚も用意されているが、これは価格がやや高い傾向にある。
さっそく、できあがった薪棚に薪を積み上げてみた。焚きつけに使える細かな薪は、まとめて小さなコンテナに入れ、薪棚の下に。あとは、乾燥期間の新しいものから順番に薪を積んだ。不定形の薪の木口がびっしりと並んだ様もけっこう美しい。
これで冬の薪ストーブライフも安心だ。これなら、薪を割るモチベーションも上がるはず。簡単な薪棚作り、まずは大成功!
薪を作るなら、本誌オリジナルの薪割り機が便利
ちょっと宣伝。というよりホントにおすすめしたいのが、dopaの通販コーナー「dopa SHOP」で販売している「オリジナル薪割り機」を使った薪作りだ。大きな節さえなければ、女性でも簡単に薪が割れる画期的なツールで、これは2017年と2018年のDIYショウの実践で証明済み。使い方は、ステンレスの棒をシャカシャカとスライドさせて、玉切りした丸太の木口に打ち込むだけ。大した力はいらず、簡単に薪が作れる。DIYショウで初めて使った人の誰もが「なるほど…」と、納得していたすぐれものツールだ。
文・写真◎脇野修平
*掲載データは2018年10月時のものです。
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