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日本でじわじわと増えるバングラデシュ人の採用、2022年には過去最高を記録

2023/2/17

日本では人口減少と超高齢化を背景に、多くの業界で人材不足が起きています。そんな日本の労働市場に約20年前から労働者を派遣してきたのがバングラデシュ。同国は介護、農業、建設業などの分野で今まで以上に多くの技能実習生を日本に送り込もうと意気込んでいます。

バングラデシュの働く人々

 

内閣府によると、15歳以上の就業者と完全失業者を合わせた日本の「労働力人口」は、2014年は6587万人だったのが、2030年には5683万人、2060年には3795万人まで減少すると予測されており、経済成長にブレーキがかかると言われている中、外国人労働者の供給国として期待される国の一つがバングラデシュ。我慢強く、真面目な国民性だと言われている同国では、86の民間機関が日本への労働者派遣を許可されており、1999年から2022年までの間に日本へ働きに来た人々の数は2740人になります。バングラデシュ労働者雇用訓練局によれば、2022年には年間で過去最高となる508人が派遣されたとのこと。

 

バングラデシュ労働者雇用訓練局長は、「労働者を必要としてきた日本は、これまで中国や韓国、ベトナム、フィリピン、インドネシアなどから人材を雇ってきたが、現在はその動きを拡大している」と現状を認識しています。

 

労働者雇用訓練局では、介護、農業、ビル清掃管理、建設などの分野で、特定技能労働者を採用する試験を行い、さらに半年をかけて日本語や日本の文化に関して学ぶ訓練を国内約30か所にある技術訓練センターで実施。日本の労働市場に即してより実践的な労働者を派遣できるように、国として施策を行っているのです。

 

これに対して、海外からの技能実習生を日本に受け入れる、国内最大の監理団体の国際人材育成機構(アイム・ジャパン)は、定期的にバングラデシュを訪れ、労働者の選定を行っています。しかし、日本で働くために必要な技能を有していることはもちろん、言葉も食事も異なる慣れない海外での生活を送るためには、労働ビザをもらえれば済むだけの話ではありません。バングラデシュ側は研修や教育方法について改善する必要があると認識しており、訓練期間を1年まで延ばすことを検討しているようです。

 

日本は、バングラデシュが1971年に独立して初めて外交関係を樹立した国。それ以来、青年海外協力隊の派遣をはじめ、50年以上にわたり外交関係を築いてきた歴史があります。バングラデシュは親日家が多いと言われていますが、かつては世界で最も貧しい国の一つと言われた国が、2041年には先進国入りを目指すまでになったのは日本の支援によるところも少なくないでしょう。

 

バングラデシュ人から見れば、日本で働くと母国より高い収入を得て、家族に送金することができるという側面があります。2023年2月から9月には、介護、農業、ビル清掃管理、建設などの分野で特定技能労働者の採用試験が始まりますが、この先、日本企業の採用担当者がバングラデシュの人材を検討することが増えるかもしれません。

 

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