日の光を熱源として利用する調理器具・ソーラークッカー愛好者の集い「第2回ソーラークッカー全国大会・山梨太陽熱エネルギーフェスティバル」が、日照に恵まれた土地として知られる山梨県甲府市で2016年の夏開催。全国大会と冠してはいるものの、実際はソーラークッカーや太陽熱温水器の展示・実演、工作体験がメイン。太陽エネルギーの素晴らしさが気軽に体感できるイベントだ。今回はそこで展示されていた個性豊かなソーラークッカーたちを、一部ではあるが紹介していきたい。
最も身近な自然エネルギーの利用は楽しく、料理も不思議とうまい
会場となった山梨県甲府市は四方が山に囲まれた甲府盆地という土地柄、年間降水量が少ない場所として有名で、日照時間も長く夏場は猛暑日になることが多い。だったらその暑さを逆手に取り、さんさんと降り注ぐ膨大な太陽エネルギーで調理ができるソーラークッカーの展示や、使い方を紹介しようというのが本大会のコンセプトだ。
太陽エネルギーのエコ的な活用法は主に太陽光発電と太陽熱利用のふたつがある。太陽光は電気を生み出して電気機器の使用に、太陽熱は物体に吸収された光を熱源にして調理や給湯、暖房などで活躍する。また、このふたつは「変換効率」と呼ばれる数値に違いがある。太陽のエネルギーを電気・熱エネルギーとして使えるように変える割合が10%程度の太陽光に対して、太陽熱は40~60%と高い数値を誇っているようだ。太陽光と比べて、太陽熱のほうがエネルギーを無駄なく有効活用できることを、参加者たちが声をそろえて話していたのが印象的だった。
現に、イベント当日は残念ながら雲が多く、太陽が顔を出している時間はほとんどなかったが、温水器内のお湯は60℃を軽く超え、ソーラークッカーでいえば光が集中する部分(鍋を置く位置)に手をかざすと、長い時間とどめることができないぐらいに熱く、ソーラークッカーの能力の高さを実感。条件が整っていれば炒め物や煮物はもちろん、さらにオーブン料理や米まで炊くことができるという。構造もコンパクトに収納できることを前提としているので、料理レパートリーの豊富さも相まって、ソーラークッカーは持ち運び可能なガーデンキッチンと言っていいのかもしれない。
出展者のひとりは、「今日は天気がいいから1品だけ外で作ろう」とベランダでソーラークッカーを広げたり、ある人は「花見のときなど火が使えない公園内でお惣菜を温めています」「日々のご飯とお湯ぐらいはこれで賄うようにしています」と話す。もちろん雨が降っていれば使えないがそこは別段気にしない。朝起きて空模様を見て天気が良ければ、太陽の恵みを頂こうか考える。決して、その日すべての献立を賄うなど無茶な使い方はせず、ときには失敗なんかもしちゃったり。皆、太陽熱だけで調理すること自体を楽しみながら、太陽と寄り添うように生きているかのようだった。
パネル型であればDIYで作るのにもハードルは高くないし、先に述べたスタンスで使ってもいいことを知った今、環境への貢献はほんの少しかもしれないが、これなら自分でも気楽にエコな暮らしというのを始めることができそう。そんなことを帰りの車中で思わせてくれるイベントだった。
ソーラークッカーの工作教室も大盛況!
環境教育教材用ソーラークッカーキット「ひまわり」
「鳥居式山梨モデルF型」
「いつでもガスレンジシートクッカー」
写真◎佐藤弘樹
*この記事のデータや内容は2016年8月時のものです。