達人に訊く
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2021/9/11 22:22

材の接合に使うビスの種類と使い方 前編・ドゥーパ!資材館【1】

毎回、ジャンルを絞ってDIY資材を紹介する本企画。第1回のテーマは、まさに何万種類のアイテムが存在するビス。その中からDIYで活躍するものをセレクトして紹介する。

 

ビスのいろいろ
ドゥーパ!ではビスという呼び方で統一しているが、ねじやスクリューも同じものを指している。ビスはフランス語、ねじは日本語(JIS規格はひらがなでねじ)。スクリュー、スレッドが英語。いずれも実際の現場で使われる呼び方だが、どれも軸にねじ山のついた円錐で、材と材を接合したり、材に何かを接合するために使われる。

頭のデザイン、溝の種類
ビスの頭はナベ頭、皿頭、トラス頭の3種類が一般的。ビスを締めたりゆるめたりするためにビス頭に切ってある溝は、プラスドライバーや電動ドライバーのビットで使える、十文字のプラス頭が圧倒的多数を占める。ドライバービットには+1番、+2番、+3番と規格があり、ビス頭の十文字溝の大きさに合わせて使い分ける。年配の方にはなじみ深いマイナス溝は、現在ではほとんど使われず、ホームセンターでは扱っていないところもある。1950年代以前の家具の再生や、アンティーク感を出すために使われる程度だ。溝の種類にはほかに四角穴、六角穴、ポジドライブなどあるが一般的ではない。

ビス選びの基本を覚えよう
DIYで使われるビスは主に、コーススレッド、スリムビス、ミニビスの3種類。ネジ部分、頭、首などの形状にはいくつかバリエーションがあるので、下記表を参考にしてほしい。なお、屋外で使うならサビに強いステンレス素材が頼りになるが、比較的高価なので予算と相談して使う材質を決めよう。

【代表的なビスの形状と特徴】

ドライバービットにはビス頭の溝のサイズに応じたバリエーションがある。一般的なビスの溝に合うのは写真右の+2番ビット。写真左は先端がシャープな+1番ビットで、蝶番用のミニビスなどに合う。また、より大きい溝に合う+3番ビットも存在する

 

ビスの長さは接合する板厚の2~3倍程度を目安に選ぼう

 

ビスを真っすぐ正確に打ち込むには、ビットとビスの間にすき間を作らないように、手首と腕を固めてしっかりと体重をかけるのが基本。また、インパクトドライバーはパワーがあるので、いきなり強く回すとビス頭をつぶす危険がある。打ちはじめはスイッチを軽く押してゆっくり回し、徐々に回転数を上げて小刻みに締めていくとミスを減らせる

 

材の保持が必要なく、もう一方の手があいた状態なら、ビスが安定するまで指をそえておくといい

 

高所のビス留めにおいても、なるべく電動ドライバーと目線の高さを合わせて作業するようにすると失敗しにくい

 

木用ビス

基本的に木材同士を接合するビス。木材以外でも樹脂と木材、竹と木材など条件が合えば、広範囲に使用できる。*各名称はパッケージ表記によります。

 

さら木ねじ
木用ビスの典型デザインといえるビス。きれいに打つには下穴をあける。SPFなど柔らかい樹種に向く。長さ15~75mm程度までのものが販売されている。

 

コーススレッド
小屋作りでよく使われるのがこのタイプ。軸径が太く、深くて幅広のネジ山で、木材を強力に締結できる。

 

木割れ解消ビス
木材の木口近くにビスを打つことでおこる木割れを独特な先端形状で解消するビス。頭の下面はフレキ加工され、材への密着度を高めている。

独特なスクリューデザインをした先端部分。この特殊な形状が木割れを防ぐ

 

しっかり加工されたフレキ部分。ここで材を削り、材への食い込みをよくする

 

万能ビス
高低2種類の山が2重らせんになってデザインされているビス。頭下面をラッパのような曲線にしてあるため、石こうボードに使っても張られた紙を破ることがない。先端には錐加工もされている。

打ち込み時の安定性がよい先端の錐と高低が組み合わされた山

 

ラッパ状にカーブした特徴的な頭下面

 

スレンダー木割れ防止ビス
現在のビスの多くは、先端部が木割れを防止するための特別なデザインになっている。このビスの先端は素早く材に入っていくようにデザインされている。頭下面のフレキもくっきり刻まれ、材にしっかり頭が沈むようになっている。軸も細めなのでエクステリアの家具などで、すっきりしたビス打ちができる。

打ち始めが安定して、素早く入っていく先端デザイン

 

ミニビス
頭を小さく、軸も細く作られた内装仕上げ用のビス。細かい部分にも使用でき、+1番のプラスドライバーまたはドライバービットを使う。頭は小さく目立たない。

一般的なビス(上)と比べると、ミニビスの頭の小ささと軸の細さ(2mm)が際立つ

 

ステン木用ねじフレキつき
酸化、サビに強いステンレスの仲間、SUS410ステンレスを使ったビス。鉄に比べて圧倒的にサビにくいので、水気のある場所や、エクステリアで使う作品では、ビスはステンレス製を選びたい。

頭の下面にはあっさりとしたフレキが刻まれている