事例集
達人に訊く
2021/10/10 20:05

集じんシステムを自作しよう・実践編/超実践的DIY道具ラボ【8】

木工で使う切断工具には切り屑、粉じんの飛散はつきもの。どんな工房でも掃除は欠かせない。しかし、今回紹介する集じん機を導入すれば、切り屑、粉じんを自動的に集めることができ、周辺をきれいに保って、作業空間をクリーンにすることができる。

 

工房中の複数ある工具を集じんする集じんシステム

工房に置かれた電動工具すべてに集じんホースを張り回して、中大型の集じん機やサイクロン集じん機で集じんするというシステムの設置は、工房派にとっては夢のシステムだ。専門の洋書でよく見ることができるが、国内でも工房に集じんシステムを導入している例を見ることができる。

そのような集じんシステムを作るには、工具ごとに枝分かれする集じんホースの長さと太さ、それに適応するパワーを持った集じん機やサイクロン集じん機の選択が重要になる。前ページのように、工具単体と集じん機単体の組み合わせなら、小型の家庭用電気掃除機で問題はないが、たとえば工房にあるすべての工具とサイクロン集じん機をひとつにまとめるシステムの場合は、各工具からサイクロン集じん機までのパイプやホースの長さと直径に対して適したサイクロン集じん機を選ばなければ、切り屑を吸引する力が足らずに吸い切れないことになってしまう。自分の工房に集じんシステムを作る場合は、ホースやパイプの長さが全部合わせて何mになるか、集じん機から一番離れた工具まで何mあるか、屈曲部が何カ所あるかを事前に確認しておき、購入予定のサイクロン集じん機のメーカーや販売店に問い合わせて、工房に合った機種を選定するようにしたい。

また各工具に接続するホースやパイプが主パイプに接続する部分には、空気の流れを遮断するシャッターを設置し、そのとき使う工具以外のシャッターを締めきって、空気の流れを切り換え、無駄な吸い込みを遮断して、使う工具1台だけから集じんするようにしなければ、効率のいい集じんはできない。

集じんシステムを構成するホース、パイプ、金具類はホームセンターの資材売り場を探せば合うものを見つけることができるが、専門ショップやウェブショップでも集じんシステム用にそろえられたパーツを購入することができる。

 

集じんシステム例1

壁に面してセットされた糸ノコとベルトディスクサンダーから集じんするシステム例。ベルトディスクサンダーには手製の集じんポートを介して、ベルト用、ディスク用それぞれの集じんパイプがセットされている。上部の集じんパイプの途中にはシャッターがつき、空気の流れをコントロールする

 

集じんシステム例2

プロの工房に設置されたシステムのパイプが集じん機に集まる部分。壁に設置されたパイプが工房のいくつかの据え置き型工具から引かれる集じんパイプ。右側手前の集じんホースは切り屑の多いテーブルソーから伸びて、一度ダストバケツに吸引され、ここで切り屑と空気の流れを分離し、切り屑の落ちた空気が集じん機に吸引される。集じん機に入るのはごく少量の粉じんだけになるので、メンテナンスの手間を大きく省くことができる

 

集じんシステム例3

写真左窓際に置かれたルーターテーブルと奥のテーブルソーの2台を集じんするシステム例。ルーターテーブルには途中分岐した集じんホースが取りつけられ、テーブルソーから取り出した集じんホースと2本束ねられ、テーブルソー下のダストコレクターにつながる。ダストコレクターにはシャッターのついた集じんポートが2口あるので、そこに2本の集じんホースをつなぐことができる。ダストコレクター上にある吸引パイプを集じん機に接続すればすっきり集じんできる

 

集じんシステム例4

広い工房に設置された大規模なサイクロン集じんシステム。写真では3系統に分岐した天井の集じんパイプが写真奥で集合し、手作りの大型サイクロン集じん機に集じんされるシステム。分岐した集じんホースは各据え置きの工具に接続され、空気の流れはパイプ各部に設置されるシャッターの開閉によってコントロールされる。据え置きの工具だけでなく、作業台の上で使う工具に集じんホースを接続できる取りつけポートや、工房の掃除に使える集じんホースも分岐されている

 

メイン写真の一番奥右側に設置されたオリジナルのサイクロン集じん機。すべての粉じんはここに集まる

 

シャッターの一例。これはシャッターを閉めた状態

 

シャッターを引き出して開いた状態。指で引いているアルミ板がシャッター板

 

天井に設置された集じんホース取りつけポートから集じんホースを伸ばしてくれば作業台で使う工具の集じんができる

 

木工旋盤はこのように切削ポイントの近くに集じん用フレキシブルホースをセットして集じんできる

 

掃除機ヘッドを取りつけ、集じんシステムを工房の掃除に使えるようになっている

 

クリーンな空気の工房を実現するエアフィルターシステム

JETエアフィルターシステムAFS-500

集じん機のフィルターでは取りきれない、微細な粉じんを取り除き工房内にきれいな空気を循環させるエアフィルターシステムを導入するのもおすすめだ。据え置きでも吊り下げでも使用できる。粉じんを取り除くフィルターの能力は外側5ミクロン、内側1ミクロン。風量3段階切り替え、タイマー3段階切り替え。リモコンつき。

しっかり支えて固定すれば吊り下げてセットできる

*掲載データは2016年8月時のものです。