達人に訊く
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2021/12/12 18:18

金属を切断するための道具とその使い方・基礎知識編/超実践的DIY道具ラボ(15)

鉄の加工でも木工の木取りと同じように、プランのサイズに合わせて切断するのが作品づくりの第一歩となる。
今回は金工の現場で鉄材の切断に使うポピュラーな道具を紹介する。

 

金属の切断は刃の選択がポイント

金属の切断加工の手段を考える場合、すでに電動工具を持っていれば、その工具の刃を金属切断に適したものに交換して作業するのが一番合理的だ。DIYでも使われているジグソー、丸ノコ、ディスクグラインダーには、それぞれ専用の鉄工用の刃(刃の呼び名はジグソーではブレード、丸ノコではチップソー、ディスクグラインダーでは切断砥石)がラインナップされている。これら刃の種類には鉄用のほかにも、アルミ用、ステンレス用など細分化されたバリエーションが販売されている。切断面のきれいさでみると、この3機種では、丸ノコ、ジグソー、ディスクグラインダーの順に切断面は粗くなる。

手軽に金属の切断をするなら、手工具の金切りノコギリや金切りバサミを使う手もある。電動工具と比べて安価に手に入れることができ、金切りノコギリは金属パイプの切断に、金切りバサミは薄鉄板の切断に便利に使うことができる。

 

道具の基礎知識・手工具編

金切りバサミ

倍力機能のついた金切りバサミ。鉄製ペール缶(厚さ0.5mm程度)なら、軽い力で切ることができる

 

こちらは刃とグリップ部分に、スジカイバケのような角度のついたタイプ。刃先が鉄板の下に差し込みやすくなっているので、墨線を狙って切りやすい。小屋の水切りなどのパーツ製作に使われる

 

金切りノコギリ

ノコ刃を前後で保持する弦架けタイプ。一方の手でハンドルグリップ、もう片方の手で前方のグリップを保持して作業する。刃の取りつけ方向が前後どちらでも可能なモデルが多い

 

木工用ノコギリと同じ感覚で使えるグリップタイプ。弦架けがないのでコンパクトになり、込みいった場所でも作業しやすい

 

パイプカッター

小径の金属パイプの切断に有効。刃を回してあてながら、徐々に締め込んでいく仕組み。写真の面取りカッターもついているモデルが便利

 

ワイヤーカッター

ワイヤーや飛び出したクギなどを切断するときに便利な道具。1.5mm径のワイヤーなどペンチでは切れないことがあるので、持っていると重宝する

 

ベンダー

鉄筋の曲げ・切断が簡単に行なえる専用工具。非常に便利だが、高価なので使用頻度の高い本職でないともったいないと感じてしまうかもしれない

 

道具の基礎知識・電動工具編

丸ノコ

木工ではおなじみの電動丸ノコもチップソーを鉄工用に交換すれば、強力な金属切断工具になってくれる

 

写真はステンレスも切れる、鉄・ステンレス用。鉄工用チップソーは刃の部分が木工用に比べて大きく、見た目が角型になっている

 

ジグソー

丸ノコよりも比較的安全な木材切断工具として紹介されるジグソーは、ブレード(刃)を鉄工用(金工用)に交換するだけで、安全性はそのままに金属の切断に使用できる

 

金属切断用ブレードの例。木工用に比べて刃が細かく、全長も短くなっている。素材には折れにくくて寿命の長いバイメタルなどが使われている

 

チップソー切断機

板材は切れないが、溶接加工でよく使われる鉄パイプやアングルなどの棒材の切断に利用できる。チップソーで切るので、切断スピードは速く、決断面がきれいだ。溶接工房では溶接機とセットで使用されることが多く、騒音は大きめ

 

こちらは鉄工用、アルミ用のチップソーを装着して、金属を切断するスチールカッター。丸ノコと同じ感覚で使用でき、鉄のアングルなどが簡単かつきれいに切断できる

 

ディスクグラインダー

切断砥石の交換で、あらゆる金属を自由自在に切断することができる。すっぱりと切ることができるが、正確な直線で切るのは熟練が必要だ。また、回転するディスクを軽くなでるようにあてれば、切断面のバリ落としとしても使えるので便利

 

鉄工用バンドソー

専用のソーバンドをセットし、バンドソー部分を上から下に下ろして材を切断する。騒音が小さく、火花が出ないので使いやすいが、チップソーと比べると切断スピードがやや遅く、切り口には少しバリが出る

 

高速切断機

チップソー切断機がチップソーを装着するのに対して、切断砥石を装着するのが高速切断機。上から切り下ろして金属を切断するのだが、大量の火花が出るので安全メガネは必須だ

 

プラズマ切断機

プラズマジェットの噴射で瞬時に金属を溶解し、高速切断する。直線の切断だけでなく、フリーハンドで操作して、細かな文字や複雑な曲線を切り抜くことが可能。使うには別途コンプレッサーが必要で、背部にあるエアーレギュレーターにエアーホースを接続する。写真は100V 15Aのコンセントから電源を取れるDIY向きのモデル「SUZIKIDエスパーダ15トゥット」。厚さ1.6mmまでの鉄板を切断することができる

 

*掲載データは2017年4月時のものです。