菜園作りは里山暮らしの基本。今回は地元の達人に教わった、完全無農薬で野菜を作るためのコンポスト=堆肥の作り方。ドゥーパ!流のコンポストボックスも作ったぞ!
まずはコンポストボックスを作ろう
廃材を使って、コンポストボックスを作ってみた。ポイントは、かんたんに取り外せ、高さを変えられたり、切り返しが楽にできること。また雨が入り込まないように、傾斜のある屋根をつけること。屋根は合板の上に手元にあった半端な中空ポリカを張ったが(傘クギ使用)、普通の波板でかまわない。
無農薬野菜作りの達人ゆずりのコンポスト
田舎暮らしを実践する人の多くが憧れるのが菜園作りだ。房総のいすみ市の里山にある「ドゥーパ!ガーデン工房」でも、小さな畑を作って、わずかでもいいから野菜を自給しようと試みているが、週末訪れるのがやっとというサイクルでは思うような世話ができない。それでも、葉陰の間からミニトマトやナスの実が覗いているのを見た瞬間などは嬉しくなってしまう。ただし、こうしてできた野菜の多くは、野鳥や虫たちに取られてしまうけれど…。
聞けば、野菜作りは土作りと同義だとか。つまり、土に入れる堆肥=コンポストをいかに確保するかがポイントなんだともいう。そこでいい堆肥はどうやって作ったらいいのかを、地元でおいしい野菜を作っている石井里佳さんに聞いてみることにした。
石井さんは、昨年まで、野菜や苗、花などを直売する販売店の運営にかかわっていたが、昨年末から、無農薬による野菜作りのベテランとして知られる近藤立子さんに弟子入りし、実践的に無農薬による有機農業を学んでいる方だ。
今回は、石井さんに聞いた堆肥の作り方を特別公開。
まず、刈り取った雑草(生の植物)や落ち葉(枯れた葉。ただし針葉樹はダメ)を集め、菜園の片隅に仮積みしておく。しばらく野ざらしにしておき、中が発酵してきたころ(触ると少し暖かい)、コンポストボックス(図参照)に入れる。この中に、塩分のない生ゴミやわらなどを混ぜ込み、よく踏み込んで15cmくらいの厚さにする。次にこの上に鶏糞や苦土石灰、油かす、米ぬかを混ぜたものを敷き詰める(厚さ1〜3cmくらい)。落ち葉や雑草が乾燥していたら、少し水を加える。これをもう2回繰り返し、全部で6層にし、最後にもう一度雑草や落ち葉を載せる(図参照)。これでOK。1週間ほどたつと中が発酵し、暖かくなっているはず。ここでスキやクワを使って切り返して混ぜ合わせ、水分が少なければ水を加え、量が少なければ少し土や草を加える。すると再び発酵が進み、暖かくなる。また切り返す。また温度が上がる。これを数回繰り返すと、夏だったら3カ月ほどで完全に熟成して、温度が上がらなくなって臭いもなくなる。これで完成。
*参考文献:「無農薬で作るおいしい野菜」(婦人之友社刊)
堆肥を作ろう
コンポストボックスのなかに雑草や落ち葉を積み、その上に鶏糞や苦土石灰、油かす、米ぬかなどを積み、これを3回繰り返す。発酵して温度が上がったら、切り返して、よく混ぜて再度発酵を促す。
写真◎佐藤弘樹、ドゥーパ!編集部/イラスト◎丸山孝広/取材・文◎脇野修平
*掲載データは2014年2月時のものです。
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