「巣箱は庭のエクステリア」っていうのも悪くはないけれど、できれば本気で野鳥を呼び寄せ、野鳥観察を楽しみながら、彼らの子孫繁栄に手を貸してみたい。あなたがそう考えているならば、9割以上の確率で野鳥が入るという「まちがいのない巣箱作り」を目指したいものだ。で、今回は巣箱作りのスペシャリストに教えてもらった「正しい巣箱作り」の実践。
3年前から巣箱作りに取り組んでいるというFさんのお宅を訪ねてみた。庭のマツの木に2カ所、母屋の裏手の柿の木に1カ所、シジュウカラ用の巣箱が掛けてあり、営巣する小鳥たちの様子を家の中から家族で観察できるようになっている。この他にも、アオバズク用(フクロウの一種)の大きな巣箱や大型のバードフィーダーなども用意され、かなりサスガな〝スバコロジスト〟(?)の香りが漂っている方なのだが、そんなFさんに、DIYで作る巣箱の作り方や巣箱の正しい掛け方を教えてもらった。
巣箱の作り方の基本
- 素材はスギかヒノキの一枚板がおすすめ。合板は反るからダメ
- 鳥の種類によって、適切な巣穴や巣箱のサイズの目安がある(下記表参照)
- 塗装はしてもいいが、原色を使った過剰な模様や目玉のような模様は避ける。バーナーで焦げ目をつけてもいい
- 屋根から雨水が入らないように気をつける
- 底板の四隅に水抜き穴をあける
- クギや蝶番はステンレス製にする
*留鳥:年間を通して同じ場所にいる野鳥 夏鳥:春〜夏にやってくる渡り鳥
*表内の数字は、ウェブサイト「森林管理局/巣箱作り資料」を参考としました。
1時間でできる、正しい巣箱の作り方
さっそくFさんにかんたんな巣箱を作ってもらった。対象となる鳥はシジュウカラ。日本全国の里山はもちろん、都会でも多く見られる。ヤマガラやスズメと並び、巣箱で繁殖する確率が最も高い野鳥だ。この形が、表にあるサイズの条件を満たしたオーソドックスな巣箱だ。慣れた人なら30分、子どもといっしょでもほんの1時間ほどで完成するはずだ。
<用意するもの>
<使用工具>
<作り方手順>
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シジュウカラがやってくる正しい巣箱の掛け方
せっかく作った正しい巣箱も、正しい掛け方をしなければダメ。シジュウカラが巣を作るためにどうしたらいいのか? Fさんに聞いた「必勝ポイント」がこれだ。
ドゥーパ!(以下D) 巣箱を掛ける時期は?
Fさん(以下F) シジュウカラ(留鳥)の場合11〜1月。繁殖期に入った春では遅い。アオバズクのような夏鳥の場合は春(3〜4月)がいいだろう。
D 巣箱を掛ける場所は?
F 巣箱を掛ける高さは1.5〜3m。これより高いとスズメと競合して負けることもある。木でも電信柱のような人工物でもいい。木に掛ける場合、枝葉が茂っていないすっきりした場所がいい。枝葉が茂っているところは蛇などの外的侵入があるのでシジュウカラが恐れるからだ。東西南北の位置は関係ない。また、複数の巣箱を掛ける場合、巣箱の間隔は10m以上。ひとつのつがいで10m程度の縄張りがあるからだ。
D 巣箱の掛け方は?
F 巣箱はやや下向きに掛けること。雨水が入ることや明るくなりすぎるのを鳥は嫌うのだ。また、人工物に掛けるなら針金でもいいが、木に掛けるときはシュロ縄などで固定したい。水に浸して湿らせた状態で木に縛りつけると、あとで収縮してがっちり固定できることも知っておきたい。
D ワカリマシタ。
F 成功を祈る…
取材・文◎脇野修平
*掲載データは2014年2月時のものです。
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