里山にとって「竹」とは何だろうと考えたら、いろいろ出てきた。タケノコ、竹炭、竹籠、竹酢液、竹クラフト…、いろいろな有効活用が考えられるし、反対に竹害という深刻なマイナスイメージもある。でも、いちばんロマンチックな活用法は「竹あかり」かもしれない。闇をほのかに照らす、ちょっと神秘的な光。これ、おすすめです!
竹あかりでユニークな起業
「竹あかり演出 ちかけん」というウェブサイトが面白い。偶然に見つけたのだが、もしかしたら、全国の里山で起こっている「竹害」対策や地域の活性化にも通ずる動きかもしれないと思ったのだ。
そのサイトのトップページには、小さな穴のあいた竹筒をランプシェードにした「竹あかり」の素晴らしいビジュアルとともに、「人と人・人とまち・人と自然をつなぐ 竹の無限の可能性」という文言が躍っていた。
このサイトを運営するのは、熊本の崇城大学建築学科の研究室で出会ったCHIKAさんとKENさんを中心とする若いスタッフだ。彼らは、地元の住民たちを巻き込み、竹あかりで演出した祭りを立ち上げ、さらに、学校を卒業後、竹あかりを新たな日本文化にしようと、合同会社「ちかけん」を設立。今や、全国を飛び回って、竹あかりのイベントやワークショップをプロデュースしているという。
彼らのウェブサイトにこんなフレーズがある。
「まちでは、まつりやって(竹あかりの)、感動してもらって、山では、竹刈って、里山守って、使い終わった竹は、炭にしたり、堆肥にしたりして、土に返して。そして、その土で、米や野菜作ったら、俺ら、まじカッコよくね?」
カッコいいです。ホントに。
竹あかりは、竹筒にいろいろなサイズの穴をあけ、中にロウソクを立てて点灯したものだ。「ちかけん」のように、何十個も何百個も作って並べるとそれだけで幻想的な雰囲気を醸し出す。庭を竹あかりでライティングし、人を集めて、荘厳な音楽を聴く会とかもやってみたいし、ダイニングテーブルを自作の竹あかりで演出し、誕生日パーティーなんてのも面白い。あかりの形も、丸い穴だけじゃなくて、文字を描いてメッセージにしたり、動物の形にしたりも面白そう。つまり、それぞれが自分のやり方で楽しめる。これが手作りの竹あかりの魅力だ。その流れで、里山の竹害が少しでも和らぎ、さらにその流れで、使い終わった竹筒で堆肥を作ったり、竹炭を作ったりすれば、またまたうれしい。その堆肥で野菜を作れたら、さらにまたまたうれしい。そういうことだ。
ドゥーパ!も作りました。それなりの竹あかり
我らも竹あかり作りに挑戦してみた。竹筒にいろいろな穴をあけて、中にロウソクを立てて点灯するだけだから、とても簡単と思ったのだが、実際やってみると、それなりのノウハウがあることがわかった。「ちかけん」のアート作品とは道具も制作方法も違うし、レベル的にはとてもかなわないけれど、それなりに楽しい竹あかりはできる。そう確信した。
*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます
ジグソーを使えば文字も書ける
文字を描いて、人の名前やメッセージの光を作るには、曲線用のブレード+ジグソーで穴あけをしよう。
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取材・文◎脇野修平/写真◎佐藤弘樹、ドゥーパ!編集部
*掲載データは2015年2月時のものです。
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