工事現場で使われるような本格的な石材加工の道具を使わなくとも、身近なDIY工具でレンガや石材、コンクリートブロックなどは成形できる。今回は本誌編集部がこれまで実際に使ってきた工具を実践例とともに紹介。
石工道具の基礎知識
手工具の石工道具は体力と叩くタイミングがポイント
石工に使う工具は、硬いレンガや石材を加工するために鋭くて強い打撃で加工できるように工夫されている。手工具だと、タガネ、レンガタガネ、石工ハンマー、ブロックハンマーなどがあるが、これらは鋼鉄製であることがほとんど。ハンマーの類は木工で使うカナヅチよりも重く、軽いもので約900g、重いものだと3kgを超えるものもある。
連続して使用するには体力が必要で、また思うように加工するには、材を打撃するタイミングや打つ位置など、実際に経験して作業のポイントを会得することも大切になる。
電動工具を活用するとスムーズに加工できる
石工作業のメインともいえる電動工具がディスクグラインダーだ。毎分1万5000回転という高速回転する先端部に、ダイヤモンドホイールを装着すれば、レンガ、石材、テラコッタ、コンクリートブロックといった石材全般の加工に利用することができる。ダイヤモンドホイールを装着したディスクグラインダーはプロのガーデナーにとっても必需品。
また石工用のチップソーを使えば、丸ノコでもレンガや石材の加工ができる。とくに長い寸法を切るには便利だろう。
<石材加工に使う主な道具>
CASE01 石工ハンマーと平タガネを使ったレンガの切断
石工ハンマーと平タガネだけを使ったシンプルな切断方法。レンガに墨線を引いたら、墨線にタガネを合わせて溝を削る。溝はなるべく深くくっきりと4面につけておく。その後は溝に合わせて平タガネを垂直にあて、一発で割れるように石工ハンマーで鋭く叩こう。
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加工中の安全装備の例
石工作業では粉じんと切粉が激しく飛び散るので、必ず防護メガネと防塵マスクを装着する。帽子、衣服もすべすべの素材を選ぶと、多量にかぶる粉じんを落としやすい。
CASE02 ディスクグラインダーを使ったレンガの切断
ダイヤモンドホイールを取りつけたディスクグラインダーを使えば、平タガネよりも確実にきれいに割ることができる。墨線に合わせてディスクグラインダーで4面に切り込みを入れ、平タガネを切り溝にあてて石工ハンマーで叩けばOK。
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CASE03 丸ノコを使ったレンガ・コンクリートブロックの切断
ダイヤモンドホイールや石材用切断砥石を装着すれば、丸ノコ(またはスライド丸ノコ)でレンガやコンクリートブロックをカットすることも可能。ディスクグラインダーよりも切断線に合わせるのが簡単で、切り込める深さが大きいのでワンアクションで切断できるのが魅力だ。
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CASE04 ディスクグラインダーを使ったレンガの欠き取り
ピザ窯やバーベキュー炉の煙突や火床の部分などでは、レンガを切り欠く加工が必要になることがある。このような場合は、切り欠く部分に細かく切り込みを入れ、レンガタガネを使って欠き取る。切り残った部分はディスクグラインダーの刃先で削り取ればきれいに仕上げられる。
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CASE05 ディスクグラインダーを使った石材の切断
厚さ2㎝程度の石板ならディスクグラインダーを1度通すだけでカットできる。厚みのある石材では、レンガを切るときと同じように、材の4面に切り込みを入れてから平タガネをあて、石工ハンマーで叩いてカットしよう。
CASE06 丸ノコを使ったテラコッタタイルの切断
石材用(非金属用)切断砥石を取りつけた丸ノコを使えば、テラコッタや陶製のタイル、石板などもカットできる。表面が凸凹した材だと滑りにくく、キックバックを起こしやすくなるので十分に注意して作業しよう。
CASE07 タガネを使った石板の切断
石板やテラコッタタイルなどは、タガネをあててハンマーで叩けば、自然な感じにカットできる。乱張りのペイビングなど自然になじんだデザインにしたいときにおすすめだ。タガネは何種類か使い分けると雰囲気を出しやすい。
CASE08 ハンマーを使った石材の割り方
ディスクグラインダーなどの工具を使えば、石材でもきれいな直線で切ることができるが、作品によってはより自然な景色にしたい場合もある。そんなときは、あえて石工ハンマーやブロック槌のみで直接材を叩き割って、偶然できる形状を利用するというのもテクニックのひとつだ。
CASE09 平タガネを使ったレンガのクリーニング
自然な雰囲気で人気のあるアンティークレンガだが、古いモルタルがこびりついて使いにくいことがある。そんなときは平タガネなどで削れば、凸凹を修正できる。この方法は石材やタイルにも応用可能だ。
*掲載データは2017年8月時のものです。