よく手入れされている竹林は美しいが、放置された竹林は見苦しいばかりじゃなく、樹木の生態系を脅かす竹害として大きな問題になっている。そこで、もし、竹を使ったフェンス作りがポピュラーになれば、竹害対策に悩む里山ライフの一助になるんじゃないかと立ち上がったのだが……!?
やっぱり和テイスト……!?
房総のいすみ市にあるドゥーパ!のガーデンスタジオは山間の傾斜地にある。入口が階段になっていて、片側は地面がむき出しの切り通し、夏には雑草が伸び放題。もちろん、あまり見栄えがよくない。そこで、竹を使ったフェンスを作ることにした。冬の時期、竹は水分が少なくて、伐採後に虫がつきにくいとか。その竹は敷地内にふんだんにある。敷地内にある竹は、孟宗竹に比べて折れにくく、テーパーの少ない真竹であるのもフェンス作りにはちょうどいい。それになんといっても竹を利用することで竹林の整備にもなるし、他の樹木の保護にもなる。
ただし、竹を使ったフェンスは、どうやっても伝統的な和のイメージがつきまとうので、洋風の庭を目指す場合、デザインが難しい。がんばってもアジア風で、洋にはなりにくい。これをなんとかしたいと、いろいろ考えてみたが、やっぱり無理。そこでせめて少しでもモダンなデザインを心がけたのだが…。
まず、90mm角の柱を立て、その間に、4~6分割して細めに割いた真竹をすき間を作らずに、縦張り&横張りを併用して張っていった。幅広の笠木をかぶせ、下縁には垂木を取り付けた。こうしてできあがった竹フェンス。う~む、やっぱり和テイストか。柱や笠木は黒く塗装したが、思い切って白かブルーグレイにすればよかったとも思ったが、正直、その勇気がなかった。
<真竹フェンス作りの手順>
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竹挽きノコはすごい!
竹林に入って竹を切るのが、けっこう大変。切るのは簡単だが、樹木が密集していて、枝がかりするのでまず倒れてこない。そこで真下に引っぱり、適当な長さでカット、また引っぱってカットというふうに、だるま落としの要領で引っぱり出すしかなかった。カットは荒めの剪定ノコと竹挽きノコを用意したが、圧倒的に竹挽きノコのほうが楽だった。竹挽きノコはエライ!
乱張り石のペイビングと固まる土で、階段の修復を
当初は予定になかった階段の再構築もやらざるを得なかった。実は、ここ数年、土留めの板だけで踏ん張ってきた土の階段だったのだが、よく見ると左右に土が崩れ、土留めの板そのものも腐りかけている。当然できあがった竹フェンスとのバランスも悪い。そこで、資材置き場をひっくり返して発見した乱張り石、固まる土、板材、杭、砂、砂利、セメントなどを駆使し、できるだけお金をかけないアプローチ階段作りに挑んだ。
まず、適当な板材を探し出して塗装し、各段の土留めの板を補強。これまでは正面だけだったのを左右にも入れて「コの字型」の土留め板とした。続いて砂利を敷き、点圧したあと、モルタルを使って乱張り石を敷いたのだが、圧倒的に量が足りず、仕方がないので各段の端に少しずつ集めて敷き、「これはデザインなのだ」と無理やり思い込むことにした。乱張り石のない、残った部分は、いろいろな色やメーカーの固まる土をごちゃまぜにしてぶちまけ、平らにならし、乱張り石の目地を埋めた。そのあとに水をまいて終了。真竹の伐採から階段ペイビングまで、ほぼひとりで5日間の作業だった。
<階段の修復の手順>
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取材・文◎脇野修平
*掲載データは2015年12月時のものです。
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