事例集
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2022/5/17 17:17

古民家を大胆改装!移動式ビールサーバーもある囲炉裏バー/わが家に居酒屋&バーを作ろう!(1)

本格的なショットバーのように特別かしこまることなく、仲間と好きな酒を好きなだけ飲める自分仕様の宴の舞台、DIYで実現してみませんか?酒飲みのロマンが詰まったプライベート酒場の作り方、そのヒントを教えます。

 

File01 古民家を大胆改装!移動式ビールサーバーもある囲炉裏バー

和洋、新古が入り混じり、独特の雰囲気が漂う空間だが、酒好きは総じてそそられるのでは…

 

<DATA>
製作者…中山茂大さん(48歳)
DIY歴…10年
製作費用…約6万円
製作期間…約2週間

 

東京・奥多摩の山中の古民家を購入し、大がかりなリノベーションを成し遂げた中山茂大さん。その模様は2012年に『笑って!古民家再生』(山と渓谷社刊)という本にまとめられたが、その後も中山さんのリノベは続行。ここで紹介する囲炉裏バーも、本の出版後に完成した部分だ。

なお囲炉裏そのものは元々あったので、DIYのハイライトは、キッチンとの間仕切り壁を撤去してカウンターとボトル棚を設置したこと。これにより絶妙なバランスの和洋折衷となり、個人宅はもちろん飲食店でもあまり見かけない独特の雰囲気が生まれた。

視線を落とせば日本酒や焼酎の似合う囲炉裏があって、ふと見上げればダウンライトに照らされた洋酒のボトルがずらりと並んで…酒好きなら思わず混乱してしまいそうなほどに贅沢なシチュエーションだ。

さらに中山さんは移動式のビールサーバーまで自作して、いつでも生ビールが飲める状態に。これでよく真人間でいられるものだ、というのは冗談だが、仲間が集まったときの盛り上がりに拍車がかかるのは必至。ときには大人数が集まることもあるが、各者が嗜好に合わせて楽しめる、懐が深い囲炉裏バーなのだ。

 

POINT1 古民家の囲炉裏を復活させてフル活用

鍋に焼き魚…。暖まりながら味わう囲炉裏料理は最高だ

 

古民家に元々あった囲炉裏は、購入時には掘りごたつに転用されており、中山さんもしばらくそのまま使っていたが、囲炉裏として復活させようと決意。コンクリートで成形された炉箱の表面にガルバリウム平板を折り曲げてかぶせ(ただし、この作業は不要だったのではないかと、中山さんは今では思っているとか)、園芸用の軽石を詰めてかさ上げしてから灰を充填した。灰と、梁から吊るした自在鉤は古道具店で入手したそう。

 

古道具店で購入した自在鉤を吊るしている。価格は4000円だったそう

 

囲炉裏のサイズは内寸750mm角、外寸1000mm角。深さは300mm程度

 

もともとついていた炉縁は、ホゾ組みで接合されている

 

POINT2 間仕切り壁を撤去してボトル棚&カウンターに

棚壁面は、残した柱の間に骨組みを作り、石膏ボードを張って漆喰を塗っている。幅は2430mm、高さは910mm。床からカウンター天板までの高さは390mm、天板の奥行は最大550mm。カウンターの向こうにキッチンが見通せる

 

囲炉裏部屋と隣室のキッチンとの間にあった壁は、柱を残して撤去。新たに上部にボトル棚を作り、下部にはカウンターを設えた。棚板やカウンターには、この家をリノベーションしたときの廃材を使っているため和風な趣もあるが、ダウンライトに照らされた洋酒のボトルや、棚壁面の色粉を混ぜた漆喰の色合いが洋風な雰囲気を醸し出している。

 

カウンターの出っ張り部分は90mm角材で支えている。その角材は柱にボルト留め。また、カウンターは反りを矯正するために角材にボルト留めしている

 

カウンターを照らすように、ボトル棚の底面にダウンライトを仕込んでいる

 

一枚板のように見えるカウンターは、端材を継ぎ接ぎしたもの。継ぎ接ぎ部分のすき間をパテで埋めている

 

棚板の奥行は130mm程度。棚間は360mm。棚は100円ショップで入手した棚受け金具で支えるほか、壁の下地にビスで固定している。こぼれ止め金具はホームセンターで購入

 

ちなみに棚壁面の裏側(キッチン側)にはキャビネットを作りつけている

 

POINT3 移動式ビールサーバーを自作

天板はリノベーションで出た廃材。75mm厚で重厚感がある。手すり用のパイプをつけて移動用の持ち手に。側板は15mm厚のランバーコア板

 

生ビール注ぎ放題!…では決してないけれど、自宅にビールサーバーがあるとそんな気分になりそう

 

古道具店で使い古しのビールディスペンサーをもらったのをきっかけに、中山さんはビールサーバー作りにトライ。ドラフトタワー、炭酸ボンベなど必要なものをそろえ、ディスペンサー内のビールが固着した銅管を湯でクリーニング。さらに室内で自由に動かせるようキャスター付きのボックスを作り、移動式ビールサーバーに仕上げた。

 

ボックスの中にディスペンサー(左)、炭酸ボンベ(右奥)、ビール樽(右手前)が収まり、ホースでつながっている。底板を左右に分け、それぞれスライドレールで引き出せるようにしているのがポイント。ビール樽は10L入りで、中身がなくなったら取り扱う酒店で交換する

 

ディスペンサーが発する熱を逃がすため、背板には有孔板を使用

 

ドラフトタワーは天板裏までボルトを通してナットで固定するタイプ。ネットオークションで2万円ほどで入手。「思いのほか高かった…」と中山さん

 

飲食店用グッズを販売する店で入手したサインボードを張ってムードを高めている

 

扉は15mm厚のランバーコア板にモールディングを張って化粧している

 

POINT4 憧れの生ハム原木とグラスハンガーを導入

生ハムの原木は、台とナイフがセットで販売されていたそう。それにしても贅沢な眺め…

 

グラスハンガーはネット通販で購入

 

せっかく素敵な空間ができたのだから、憧れていたことを実現しようと中山さんが設置したのが、生ハムの原木とグラスハンガー。生ハムは2本目を仕入れるほど気に入っているが、グラスハンガーは「取りつける場所が悪かった。ここだと邪魔。頭をぶつけてグラスを落として割ったこともあります」とのこと。皆さん、グラスハンガーの設置場所はよく検討しましょう。

 

写真◎門馬央典

*掲載データは2017年12月時のものです。