いろいろなロープテクニックがあるが、ここでは「南京結び」1本に絞りたい。軽トラに荷物を載せ、しっかりと固定するための代表的なロープテクニック。暗闇の中でも、目をつぶっても、すばやくできるようになれば、周囲のリスペクト、独り占めだ!
ロープはただの便利アイテムじゃない
アウトドア関連の書物やネットなどでチェックすれば、いやになるほど出てくるのがロープテクニックだ。連続写真やイラストなどでていねいに解説され、その種類も実に多彩。だが、どうだろう。その多彩さのため、その場で覚えることを後回しにして、とりあえずあとで役立たせるための「資料」としてとっておき、そのまま現在に至ってはいないだろうか? つまり、何も身についていない、という方はいないだろうか?
何を隠そう、最近までの筆者がそうだ。
たとえば、実際に車に荷物を固定するときにそれまでどうしていたのかというと市販の「タイダウンベルト」を使っていた。歯止めのついたベルトを引っ張るだけで簡単に荷物を固定できる。歯車を組み合わせたラチェット式のものだとさらに簡単に固定できる。大した力のいらない確実な方法だ。じゃあ、それでいいじゃないかと思うかもしれないが、それは違う。タイダウンベルトはただの便利アイテムだが、ロープは里山に生きる男のシンボリックな武器でもある。つまり、ロープ1本を自在に使いこなすことで得る利便性に加え、「俺はロープさえあればダイジョブさ…」という男としての構えがアピールできる。
で、前述の話に戻るのだが、じゃあ、多彩なローピングテクニックのなかで、ひとつだけ覚えるとしたら何がいいか? もちろん、迷わず「南京結び」を選びたい。またの名を「万力結び」、英語では「トラッカーズヒッチ」と呼ばれる、トラックなどの積載物をしっかり固定するためのローピングだ。当然ながら、トラックを使う職人さんや運送業者の方なら、ほぼ100%身についているローピングでもある。レンタルトラックなどで資材を運ぶDIYerにとってもめちゃくちゃ役に立つテクニックで、図解などを見れば、誰もが簡単に覚えられる。だが、しつこいようだが、覚えても身につかなければダメ。
では、身につける秘訣を伝授しよう。
軽トラに材木を固定するときの南京結びの手順例
まず、前述の手順写真を見ながら3~4回、次に実際に軽トラに資材を積んで実施すること5回。その後、これを使うチャンスが2週間に1回程度ほしい。これで、もう大丈夫。あとは、ギャラリーの前でさりげなくその技を披露するチャンスを待つだけだ。いつの日か、「おっ、やるじゃない」と思わせれば大成功。半径5mのヒーローの誕生だ。もし、これでいい気持ちになったら、ほかのローピングを覚えればいい。欲張らず、とりあえず「南京結び」1本に絞れば、必ずワンステップ進めます。
PS:もしこれで身につかなかったら…やっぱりタイダウンベルトしかないね、一生。
取材・文◎脇野修平
*掲載データは2018年2月時のものです。
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