大変な時代になった。これまで当たり前と思っていた電気の供給が危ないというのだ。もしかしたら、「大節電時代」の到来!?
そんな不安を解消するためにも、ぜひ、チャレンジしてほしいのが自分でできる太陽エネルギーの活用。ここでは、太陽熱と太陽光を利用した自作エネルギーの作り方を紹介。簡単かつとってもお役立ち、しかも、場所を選ばない携帯性もある画期的な方法を提案してみた。
今回の太陽光編では、太陽光パネル架台+バッテリー収納一体式移動ボックスを作り、どこでも発電所を実現! 12V用の車載機器はもちろん、安価な車用のDC/ACインバーター導入で、フツーの100V家電やUSB機器も使える!
太陽光を受けるためのパネルは、屋根の上に固定するというケースが多いが、それは「1日3〜4時間以上の日照時間」を確保できる場所に限られた話だ。ドゥーパ!が提案するのは、その条件を満たせないさまざまな場所でも太陽光発電の恩恵に浴せるアイデアだ。
そのために、考えたのが簡単木工でできる「太陽光パネル架台兼用のフタつき・移動式バッテリー収納ボックス」だ。
まず、太陽光パネルは角度を調整できる架台(フタ)に固定。太陽光を受けられる場所に移動し、太陽光を受けやすい角度に架台を起こしてやればいい。この架台は、収納ボックスから取り外しができ、パネルとコントローラーを結ぶケーブルの長さの範囲内なら、架台だけを移動できる。つまり、太陽光を受けやすい位置にパネルのみを動かすことができるというわけだ。
キャスターつきの移動式ボックスには、ディープサイクルバッテリーが収められているばかりでなく、底板にチャージコントローラーが、外側には12Vシガープラグが刺せるコンセントボックスが取り付けられている。これで12V用の電気機器が使用可能。通常の100V用家電を使いたい場合は、コンセントボックスに車のシガーソケットにつないで使うタイプのインバーターを介せばOK。パネルとコントローラーは、脱着が簡単な長い(今回は10m)ケーブルでつながっている。
なお、収納ボックスの作り方は簡単。板材を単純にカットしたり、木ネジで接合する程度の技であっという間に完成するはずだ。(後述参照)
覚えておきたい、ソーラー発電の豆知識
太陽光パネル(太陽電池)の発電量は…?
太陽光パネルの発電量は、地域や季節によって日照条件が異なるので一概にはいえないが、国内の日照時間の平均を1日あたり4時間程度と考えた場合、太陽光パネルの定格出力の4時間分くらいだと思えばいい。たとえば、今回の太陽光パネルのような40Wのパネルであれば、1日あたりの発電量は40W×4h=160Wh(ワットアワー)となる。設置場所は南向きが基本で、夏場は水平~30度くらい、冬場は40~60度くらいの設置角度にしたい。
チャージコントローラーの役割は?
チャージコントローラーの役目は、バッテリーの過充電防止と電流の逆流防止。なお、チャージコントローラーとバッテリー間の電線ケーブルは、できるだけ太い物を使って短く接続したい。
なぜ、ディープサイクルバッテリーなの?
ィープサイクルバッテリーは、通常の車用バッテリーに比べ、充電、放電の容量が多く長寿命。今回のバッテリーは、内部が液状でなく密閉タイプなので、液漏れの心配がない。こうした理由で太陽光発電には、ディープサイクルバッテリーが使われることが多い。 容量はAh(アンペアアワー)という単位で表されるが、実際に使用できる容量はその半分程度。今回使っている85Ah容量のバッテリーだと、40Ah程度となる。なお、バッテリーは雨に濡れない、換気のいいところに置いておきたい。
DC/ACインバータの役目は…?
DC/ACインバーターは、バッテリーに蓄電された直流電気を、家庭用電源と同じ交流100Vに変換するための機器。ただし、エネルギーの変換ロスがあるので、直流12V をそのまま使える電気機器を使うほうが理想的だ。
いつでも太陽光に正対し、場所移動も簡単にできるために
こんなバッテリー収納ボックスを作ってみた
<バッテリー収納ボックスの製作に準備する主な資材、金物など>
<木取り表>
材の種類 | サイズ(mm) | 数量 | 使用部位 |
12㎜厚コンパネ(12×600×1800㎜) | 600×650 | 1 | フタ兼太陽光パネル架台A |
576×626 | 1 | 底板B | |
650×300 | 1 | 側板C | |
576×300 | 1 | 側板D | |
2×4材(SPF) | 626 | 2 | キャスターをつける材E |
2×4材(SPF)を半分の幅に割いた板 | 248 | 4 | コーナー材F |
630 | 2 | 太陽光パネルを受ける材G | |
490 | 2 | フタを収めるときの留め材H | |
530 | 1 | 太陽光パネル架台の角度調整脚I |
ボックスの製作
太陽光パネル架台(フタ)の製作
キャスターの取り付け断面の保護塗装など
太陽光パネルの固定
太陽光発電システムの配線&セット
いざ通電実践!お日様のある場所で、発電開始!
配線が終了し、いよいよ発電実験。太陽光を十分に受けている状態で、まず、シガーライターソケット用のプラグのある12V用の扇風機や電気ランタンをコンセントボックスに接続してスイッチオンしてみる。見事に通電!
次に車載用のインバーターをコンセントボックスにつなぎ、100Vのパソコンや携帯用充電器をつないでみると、もちろんこれもバッチリ。さらにと調子にのり、アンプをつないでエレキギターをかき鳴らしてみると、もちろんこれもバッチリ。
今回の取材でいろいろと教えていただいたオフグリッドソーラーのスタッフによれば、「インバーターの最大出力(今回は350W)を超えない消費電力の電気機器だったら、まず大丈夫」だとか。
常識的にいえば、通常の明かりやテレビやラジオ等の通信機器、ゲーム機器なら、今回設置したレベルで十分。消費電力が大きい電子オーブンや冷蔵庫、エアコン、調理機器等は難しいということになりそうだ。
車にもコンパクトに積めるから、
山川やキャンプ場、ガレージでの〝出張発電〟もOK
今回目指した太陽光発電システムは、なによりも携帯性、機動性ということがあげられる。そのため、太陽光パネルの架台とバッテリー収納ボックスとが一体になって移動できたり、あるいは別々でそれぞれが移動できたりという作りにした。
たとえば、車に積んで、ライフラインのないアウトバックに移動して「電気のあるアウトドアライフ」を楽しむこともできるし、家の中にバッテリー収納ボックスを置き、パネルだけ太陽光のあたる場所、2階のベランダなどに移動させたりすることもできる。
ただし、パネルとバッテリー収納ボックスとの距離は、ケーブルの長さの範囲内に限る。今回作った手作り太陽光発電システムは、キャンプや夜釣り、夜のガーデンパーティー、庭での演奏会など、いろいろな場面で大活躍するに違いない。
写真◎佐藤弘樹、伊勢和人/取材協力◎ネクストエナジーアンドリソース