野外でもない。室内でもない。オープンエアを楽しみながら、全天候に備える半野外空間。
それが、デッキライフの延長線上にあったら、なんと愉快なんだろう。
たとえば、デッキ上に作ったオーニングつきのパーゴラ。
たとえば、デッキで昼寝を楽しみ、観葉植物を楽しみ、アフタヌーンティーを楽しむためのコンサバトリー。
生活領域を広げ、季節や時間によって視界を変幻させる空間。
吹き抜ける風の流れ、樹々のざわめき、小鳥たちのさえずり…。
すべてが心地よい刺激となって、我らの五感に迫ってくる。
これが、デッキ作りの醍醐味だ。
【記事内ギャラリー】
Case02 ポリカ屋根とシンクを備えた一家のユーティリティースペース
家の周囲の半分ほどをウッドデッキで囲んだA邸。比較的幅が狭いデッキが廊下のようにL字型に続き、突きあたり部分に約2.5×3.2mのスペースがある。このスペースがポリカーボネートの屋根を備えた、全天候型のデッキリビングとなっている。
屋根をつけたのは、スポーツに明け暮れる息子さんたちの大量の洗濯物を、天候にかかわらずに干せる場所にしたかったから。
さらに、ここで靴が洗えればなおよしと、流し台も装備することになった。
そんなわけで、そもそも、毎日の家事をスムーズに行なえるよう設計されたウッドデッキなのだが、完成後の活躍ぶりは、もちろんそれだけにとどまらない。
昼は奥様の友人を招いてフラワーアレンジメントを楽しみ、夜はワインパーティーを楽しみ、休日は息子さんたちの友人が集まってバーベキューを楽しみ…と、家族や来客とともに楽しい時間を過ごす場として、欠かせないデッキリビングとなったのだ。
屋根があるから多少の雨なら影響ないし、流し台があるからその場で食器などを洗える。その横に作業台代わりになる収納ボックスがあるのも便利だ。こんな快適で機能的な空間、友人たちもほっとかないだろう。
ポリカ屋根の継ぎ目はサイプレスの桟でカバー
屋根材は厚さ3mmのポリカーボネート。透明だから開放感があり、光を通すため洗濯物の乾きも速い。ポリカ板の継ぎ目は、455mm間隔で並べた垂木の上にあり、その上にサイプレスの角材をかぶせてビスで固定。ポリカは温度の変化によって伸縮するため、継ぎ目には3〜4mmのすき間を空けているという。なお、約3mある屋根の奥行きに合わせた特注サイズのポリカ板を使っているため、縦向きには継ぐ必要がなく、横桟は不要となっている。
敷地を目一杯使うための垂木デザイン
敷地いっぱいにデッキを作り、そのデッキを完全に屋根で覆いたい。しかしもちろん、垂木を隣家の敷地に張り出させるわけにはいかないし、さらにいえばデッキ屋根からの雨だれを隣家に落とすわけにもいかない。というわけで、垂木の先端が独特のデザインとなった。
イタウバで作った物干し竿差し
ドリルで穴をあけたイタウバの板材を、柱に差し込んで接合した物干し竿差し。A邸では、屋根つきデッキ作りのきっかけが洗濯干し場にするためだから、重要な設備だ。
立水栓もデッキ材でコーディネート
屋根つきのスペースからは少し離れたデッキ上にある立水栓を、デッキにも使用するサイプレスでカバーし、空間全体の統一感を高めている。
収納を兼ねる流し台
デッキの端に備えた流し台は、サイプレスで作ったボックスの天板にシンクと蛇口を取りつけたもの。ボックスの中には給排水の配管があるだけだから、収納庫としても使える。流し台の横には、やはりサイプレスで作った収納ボックスがあり、そのフタは作業台代わりにもなる。
靴干し専用台まで完備
こちらもイタウバを使った靴干し台。靴を引っ掛けやすい形状にカットし、面取りしたイタウバの板材を、柱にビス留めしている。
何かと便利な作りつけベンチ
幅広の板材と柱を、このように相欠きで接合すれば、作りつけベンチとなる。大人数が集まったときに重宝するのはもちろん、テーブルや作業台代わりにも使えて便利だ。プランターなどを並べる飾り棚にするという手もある。
ネコの巣にしないために…
デッキの床面が比較的高い位置にあり、デッキ下がゆったりとしているため、そこが野良ネコの巣にならないように、板材を縦張りしてふさいでいる。同様の心配がある人は参考にしてみては?
施工◎リーベワークス/写真◎佐藤弘樹
*掲載データは2011年2月時のものです。