野外でもない。室内でもない。オープンエアを楽しみながら、全天候に備える半野外空間。
それが、デッキライフの延長線上にあったら、なんと愉快なんだろう。
たとえば、デッキ上に作ったオーニングつきのパーゴラ。
たとえば、デッキで昼寝を楽しみ、観葉植物を楽しみ、アフタヌーンティーを楽しむためのコンサバトリー。
生活領域を広げ、季節や時間によって視界を変幻させる空間。
吹き抜ける風の流れ、樹々のざわめき、小鳥たちのさえずり…。
すべてが心地よい刺激となって、我らの五感に迫ってくる。
これが、デッキ作りの醍醐味だ。
【記事内ギャラリー】
Case05 ウッドデッキの床板を開くと野外囲炉裏が登場する面白ギミック!
ここでは屋根つきウッドデッキではないが、個性的なアイデアが光るウッドデッキを紹介する。
静かな住宅街にあるS邸。門から一歩踏み出すと、モダンかつ和風テイストの独特な空間が広がっている。
Sさんは自宅を新築する際、庭の施工もプロにオーダーしようとネット上で検索。すると雰囲気のいい庭とウッドデッキを発見。ビビッときたSさんはすぐ施工を依頼。それが今回S邸の庭を施工した木村グリーンガーデナーとの出会いだった。
庭のデザイン・施工を担当した木村博明氏は「若い夫婦と小さな子供が楽しく遊べる庭をイメージして作りました」と語る。
なにより目を引くのは庭の中央に位置する異形のウッドデッキ。実はこれ囲炉裏が組み込まれたデッキなのだ。
「囲炉裏まわりの材料は枕木、囲炉裏のフタはウエスタンレッドシダー、外側は椎の木を使って作ったBBQのできるウッドデッキです。」(木村氏)
デッキ中央のフタを四方に開けば、中にはレンガ積みの火床が出現する。このギミックには子供だけでなく、大人も目を輝かせるだろう。
デッキの右側には、ちょっとした洗い物に便利なガーデンシンクも取りつけた。子供が足を洗えるようにとシンクの右側にも蛇口がついているという細やかな配慮がうれしい。
「人が集まってワイワイとパーティーするのに最適。わざわざキャンプに行かなくなりました。庭でアウトドアを楽しめますから」(施主のSさん)
枕木囲炉裏のフタは開閉式!オープン時は座椅子に早変わり
デッキの中心にあるフタを四方に開くと、中から現れるのはレンガを積み上げて作られた火床! フタになっているウエスタンレッドシダーは開けば座椅子になるというデッキアイデアに思わず唸る。通常は普通のウッドデッキとして使用し、家族や友人との集まりには、野外BBQパーティーができるという楽しくておいしいウッドデッキ。花びらが開いたようなデザインも面白い。
枕木のアプローチはデッキへの道しるべ
母屋と囲炉裏デッキの間には枕木のアプローチを設置。母屋からウッドデッキへ自然に足が進むようにデザインされている。御影石や枕木の流れを感じさせる配置は、いわばデッキへの道しるべ。
照明はプランターとビー玉を使ってオシャレに仕上げる
ガーデンシンクの上部にはデッキを照らす照明が設置されている。照明は素焼きのプランターにビー玉を埋め込んだものをカバーに使用。夜の使用時はビー玉からほのかな明かりが輝く仕組み。ホームセンターで手軽に手に入るアイテムを使ったアイデアガーデンライトだ。
ガーデンパーティーに必須のシンクはウッドデッキ脇に配置
囲炉裏テーブル=週末は家族とBBQパーティー三昧、ということでデッキ横にはレンガ積みのガーデンシンク兼収納ボックスを設置。ここで野菜を洗ったり、食材の準備をしてすぐにBBQができるというわけだ。このガーデンシンクがあるだけでデッキが立派なガーデンキッチンになる。シンクの横にも蛇口がついているので、小さな子供やペットの足洗い場としても使える点も見逃せない。
母屋からあえてデッキを離して作った理由
通常、ウッドデッキというと母屋に直結して作られるという例が多いが、このデッキは完全に母屋から独立している。「デッキから庭を眺めるのも面白いけど、デッキから母屋を眺めるのも新しいかなぁと思って」と木村さん。デッキを作る位置で庭の印象が大きく変わる。あなただったら庭のどこにデッキを作る?
フェンスは互い違いに組むだけで雰囲気がバツグンにUP
丸太を支柱にして、1×4材の横板を編み込むように交互に取りつけたガーデンフェンス。手軽に作れて、庭に雰囲気の出るビギナーにオススメのアイデアフェンスだ。
デッキ基礎は床束&基礎パッキンで補強
デッキ基礎の一部にはレンガと鋼製床束を使って、補強を施すと同時にデッキの高さをそろえるよう調整。また束柱と束石との間に基礎パッキンを入れて、腐食対策も行なっている。プロのデッキを長持ちさせるテクニックは見逃せない。
写真◎佐藤弘樹/施工◎木村グリーンガーデナー
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*掲載データは2011年2月時のものです。