野外でもない。室内でもない。オープンエアを楽しみながら、全天候に備える半野外空間。
それが、デッキライフの延長線上にあったら、なんと愉快なんだろう。
たとえば、デッキ上に作ったオーニングつきのパーゴラ。
たとえば、デッキで昼寝を楽しみ、観葉植物を楽しみ、アフタヌーンティーを楽しむためのコンサバトリー。
生活領域を広げ、季節や時間によって視界を変幻させる空間。
吹き抜ける風の流れ、樹々のざわめき、小鳥たちのさえずり…。
すべてが心地よい刺激となって、我らの五感に迫ってくる。
これが、デッキ作りの醍醐味だ。
【記事内ギャラリー】
Case06 外での食事を気軽に楽しめる!ガーデンキッチンがあるウッドデッキ
ここでは屋根つきウッドデッキではないが、個性的なアイデアが光るウッドデッキを紹介する。
Nさんの自宅は山を切り開いた住宅地。土地の性質で、赤土や粘土が多かった。そのため、雨が降ると庭がぐちゃぐちゃになってしまう。また、夏になれば、抜いたそばから雑草が生え、穴を掘ると石がゴロゴロ出てくるかなり酷い状態だった。そこで、家族みんなで楽しく過ごせる庭を作ろうと、NさんはウッドデッキDIYに着手する。
「予算もDIYの知識もない中で始めたので、まず庭全体のデザインを考えるのに苦労しました」とNさん。本誌を読み、ホームセンターに通い詰め、DIYの知識を少しずつ得ながら作業にあたり、6カ月かけてデッキを作り上げた。製作費は25万円ほど。
完成したデッキは、リビングの延長になるように、デッキとリビングの段差をできるだけなくし、スリッパのままで出られるようにした。広さ約17㎡のデッキ上にはあえて、テーブル&チェアを置かず、小学6年生と5年生のお子さんふたりが側転の練習をしたり、夏にビニールプールを出して遊べるようにしている。また、ガーデンキッチンをデッキ横に設け、気軽に外で食事を楽しめるような作りになっている。
「みんなで集まってバーベキューをしたり、天気のいい日に昼寝をしたりして過ごしています。蚊に刺されますけどね(笑)」(Nさん)
Nさん家のウッドデッキは、家族が集え、子供が活発に遊ぶことができ、さらに大人のくつろぎ空間にもなる。シチュエーションに合わせて、いろいろな表情を見せる外リビングだ。
コンクリートブロックで作ったガーデンキッチン
コンクリートブロックで作り、ベルアートという塗り壁材で化粧を施したバーベキュー台とガーデンシンクがついたガーデンキッチン。アクセントとして、レンガを使い、おしゃれに仕上げている。本体に鉄板を取りつけ、焼き網は鉄板上に置いている。ガーデンシンクは、デッキ側とテラス側で使えるようにした。
床が掘りごたつ式ベンチになる
ガーデンキッチン前の床の一部が取りはずし可能になっている。取りはずした床は座面にして掘りごたつ式ベンチとして使用する。家族でバーベキューをするときはチェアやテーブルを用意しなくてもこのベンチだけで十分!
デッキ材は樹脂製を活用
Nさんがデッキ材に使用したのは樹脂製の人工デッキ材で、サンワカンパニーの「デッキアルト」というもの。耐久性とメンテナンスを考えて利用を決めたそうだが、「なんと言っても木材より安かったんです(笑)」とNさん。
鋼製床束と手作り基礎石
デッキ土台の基礎石は合板で作った型枠にコンクリートを流して製作したもの。根太にはC型鋼を使っている。製作手順は、C型鋼に鋼製床束を固定し、並べてコンクリートで束を固定。コンクリートが硬化したところで、C型鋼のレベルを調整して、土台部分を完成させた。
取り出し簡単! プランターカバー
ウッドデッキのステップと一体化したプランターカバー。側板と上部板を蝶番でつないでいるため、上部板は開閉式。上部板をパカッと開けると、カバー内に入れたプランターをラクに取り出せる。
プライバシーを守る背が高い塀
塀本体は、端太角材を柱に使い、サイディングボードを張り、塗り壁材(ベルアート)を塗って仕上げた。塀上部は、隣家に圧迫感を与えないように、ポリカーボネートを使用している。塀は高さ202cmある(塀本体部の高さは137cm)。
デッキ上は土足厳禁!
リビングの一部ととらえているため、室内リビングからデッキへスリッパで何気なく出られるようにデッキ上は原則土足厳禁にしている。デッキを囲うタイル敷きペイビングスペースが土足スペースだ。
写真◎竹内美治
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*掲載データは2011年2月時のものです。