アウトドア気分が高まる季節。今年は自作のアイテムを伴って、いっそう味わい深い時間を過ごそう。意外と簡単に作ることができ、手にすれば大いに心を満たしてくれるアウトドア小物の作り方を紹介!
CRAFT3 木でカップ作る
親しみやすいアウトドアアイテムといえば、木のカップ。ブロック状の木材をひたすら手工具で削るという、シンプルな作業で作り上げる。削り作業に没頭する時間、手作業で作ったものならではの味わい…満足度120%!
*金ヤスリのアウトドアナイフ作りの様子はコチラ!
*革でのナイフ用シース作りの様子はコチラ!
フィンランドに古くから伝わるククサというカップをイメージしたデザイン。手で削ったからこその素朴な表情がいい
自然の中に身を置き、手作りナイフで切った肉を頬張る…。ワイルドだ…。そんな自分にいっそう酔いしれるためにも欲しくなるのがウイスキーやワイン。器はやっぱり手作りじゃなきゃね。というわけで、木のカップ作りに突入。実践してくれるのは、シース作りに引き続き、長野修平氏。フィンランド伝統の「ククサ」タイプのカップを作る。地道に手工具で削る作業、ハマりますぞ~。
<カップ作りの道具と資材>
本来、シラカバのコブで作るククサだが(コブは繊維が複雑に絡まっているため割れにくい)、そう簡単に入手できるものではないので、今回はシラカバの丸太を割ったものを使用 カップの内側を丸く削るために使う道具。最初は丸ノミ(左の2本。25mm、18mm)、深くなってきたら真ん中の丸曲がりノミ、さらに深く削るためにスウェーデン製のカービングナイフ(右の2本)を使った 大まかにカップの形状に削り出すために平ノミ(36mm)を使用 カップの外側の形や、内側のヘリを整えるために切り出しナイフを使用
<1、内側を削る>
01 丸太を適当なサイズに割り、マジックでカップの大まかな形を描く 02 線に合わせて削る。最初は丸ノミを寝かせ気味にして削る。なるべく繊維に沿って削ると割れにくい。クランプや万力などで材をしっかり固定しておこう 03 深くなるにつれ、丸ノミの角度を立てていく 04 深くなって削り出すには、首が湾曲した丸曲がりノミが便利 05 さらに深くなったら、このような形のカービングナイフを使うと、きれいな曲面に削れる 06 十分な深さに削れたら、ヘリを切り出しナイフで少し広げつつ、形を整える 07 カップの内側が削れた
<2、外側を大まかに成形する>
01 ノコギリでカットして、上から見た形を大まかに作る 02 さらにカップの形に合わせて平ノミで削る 03 上から見た形が大まかにできた 04 横から見た形をマジックで描く 05 持ち手の穴をドリルであける。18mmドリルを使用 06 ノコギリでカットして、横から見た形を大まかに作る 07 前から見た形をマジックで描く 08 線に合わせて平ノミで削る 09 カップの外側の形が大まかにできた
<3、塩煮をする>
01 海水くらい(パスタをゆでるくらい)の塩分の湯をわかす 02 作りかけのカップを入れる。このように塩煮することでカップが硬くなって割れにくくなる。24時間ほど煮るのが理想だが、とりあえず手早く仕上げたいなら、自己判断で短縮または省略してもかまわないだろう
<4、形を仕上げる>
01 カップの外側を切り出しナイフで成形する。「これで完成」という形が決まっていないので、自分が納得するまで時間をかけて削りたい 02 納得できる形になったら、全体にサンドペーパーをかける。240番を使用 03 段階的に600番程度まで細かくサンディングすると、最後にオイルを塗ったときに輝きが増す。表面全体をなめらかな曲面にするか、あえてナイフの削り跡を残すかは好み次第 04 飲み口は、口当たりがよくなるよう、より丁寧に仕上げる。実際に口にあてて確認しながら作業を進めるとよい 05 カップの形ができた
<5、クルミ油を塗る>
01 カップを成形後、再び24時間ほど塩煮をすると万全 02 全体にクルミ油を塗る。油が木に染み込んで固まり、カップを強化する。よく染み込むので、たっぷりと塗り、余分をウエスで拭き取る。クルミ油の他、エゴマ油など食用の乾性油(酸化して固まる油)ならOK 完成!作って間もないころは、週に1回程度、油をすり込むと耐久性が上がり、風合いもよくなる。その後も年に1~2回は油を塗ると長持ちする *掲載データは2013年4月時ものです。
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写真◎佐藤弘樹