「ちょっとココ押さえてて」、「そっちもう少し持ち上げて」…、そんなことを気軽に頼める相方がおらず、切ない思いに駆られたことがあるDIYerは少なくないはずだ。
運がよければ、ものわかりのいい優しい奥さんや子供が手伝ってくれるかもしれないが、それだって、それぞれに予定もあるし、機嫌の良し悪しもあるし…。
ならばDIYerよ、ひとりでも不自由なく作業を楽しめる術を身につけようではないか!
まず知るべきは、クランプだ。そして、同士たちが編み出したテクニックだ。
これで、ひとりDIYがますます愉快になること間違いなしだ~!
ひとりでも快適に木工を楽しむために
クランプ・万力を使いこなす
材同士を締めて仮固定したり、作業のために材を作業台に固定させる道具がクランプや万力。
使う状況に応じて小さなモデルから大きなモデルまであり、締め込む方法も多彩だ。
木工に親しめば親しむほど、使用頻度が上がっていくのがクランプや万力。さまざまな作業で、材をしっかり仮固定することは大切なポイントで、いろいろな寸法の作品づくりをするたびに必要なサイズのクランプが増えていく。壁一面にクランプを収納しているベテランも少なくない。
クランプと呼ばれる道具には、使う目的や、サイズ、それに製造者のアイデアによって、バラエティー豊かなデザインがそろっている。その数はちょっとしたコレクションとしてもいいぐらい多い。実際、実用と趣味を兼ねて、サイズ別に違うデザインのクランプを買い足して楽しんでいるDIYerもいるほどだ。
クランプと並んで材を仮固定するのに活躍するのが万力。バイスとも呼ばれる万力は、作業台などに本体が固定され、材を挟んで締めて固定する。切断やカンナがけなど、材をしっかり固定して作業する必要がある場合に使われる。木工では木工用万力と呼ばれる、アゴに保護用の木の板をつけた、木工用のモデルを使う。
バリエーション豊かなクランプで木工を楽しむ
クランプの種類と使い方
デザインと使い方に、バリエーションが豊富なのもクランプの特長。材を締めるという単純な目的のためにさまざまなアイデアを詰め込んだ、いろいろなクランプが市販されている。
F型クランプ
木工用クランプでもっともベーシックといわれるのが、F型クランプ。見た目がアルファベットのFに見えるのでF型と呼ばれている。
片方のアゴにネジがついていて、アゴを動かして大体の締め位置を決め、次にネジを締めて本締めするという使い方をする。使用できる幅が10cmから60cm程度でさまざまな長さがある。アゴがロックできるロック付きタイプと、ネジを締めることで摩擦力で軸にロックするロックなしのタイプがある。
C型クランプ
本来は鉄工、溶接用として作られている鉄製のクランプだが、シンプルで頑丈なので、木工でもよく使われ、価格も安い。
構造上あまり大きな開口が作れないので、木工でも開口幅5cmから10cm程度のものが、作品の細かな部分で使われることが多い。アゴが鉄製で小さいので、木工に使う場合は、アゴに当て木をして使うこと。
ピストルグリップ式クランプ
現在クランプの主流となりつつあるのが、ピストルグリップ式のバークランプ。リリーストリガーを引くとアゴが自由に動くようになり、材を挟んだらピストルグリップを数回握ると本締めできるという動きで材を仮固定できる。
家具作りはもちろん、片手で締めと緩めができるので、高所でも使いやすく、エクステリア木工の現場でもよく使われている。
開口幅のバリエーションは中型のモデルで30cmと60cmというものが多い。同型のモデルで大型と小型もラインナップされているので、クラフトから家づくりまで、いろいろな場面で使うことができる。
クランプでゆがみを修正しよう
リバース機能のあるクランプを利用する
スプリングクランプ
濯バサミ型のクランプで、クリップとも呼ばれる。樹脂製のものが多く、開口部をあまり広く設定できないので、比較的薄いものや小さいものの仮固定に使われる。
ベルトクランプ
額縁などの組み立てに使われるクランプ。角を押さえるブロックの数を増減することで、三角形から多角形に、ブロックを外せば円形や不定形を固定することもできる。
ハタガネ
伝統的に日本の指し物作りで使われるクランプ。開口は30cmから90cm程度まで腕の長さで何種類かある。アゴは小さいが、慣れるとシンプルな構造だけにけっこう使いやすい。
ウッドクランプ
こちらは、西洋の伝統的なクランプ。2本のネジを回して材を締める仕掛けは、最初は回す方向に戸惑うが、慣れれば問題はない。このクランプならではの木の雰囲気もよい。
コーナークランプ
角部分で2方向の材を直角に仮固定するクランプ。額縁の組み立てなどで便利に使える。あまり大きなものには使えない。
写真◎冨士井明史/インストラクター◎白井 糺
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*掲載データは2012年4月時のものです。