以前は広々とした工房で木工を楽しんできたSさん。転居先の限られた敷地にセルフビルドした工房は5㎡足らずだが、DIY歴20年の間にそろった工具などを上手に詰め込み、最大限に快適な作業環境を作り上げた。
<記事内ギャラリー>
<DATA>
施主…Sさん(72歳)
DIY歴…20年
製作費用…約20万円
実働製作期間…約2カ月
面積…約4.9㎡
工具の配置や収納を工夫して使いやすい狭小工房に
ガルバリウム波板で壁を仕上げた、かわいらしい小屋がSさんの工房。ケヤキの板で自作した看板には“グラン・チャイルド(=孫)舎”の文字。これまでお孫さんのために数々の作品を作ってきたSさんの木工歴をよく表している看板だ。
実は、以前はもっと広々とした工房で木工に没頭していたSさん。転居先にはスペースの余裕がなく、同様の作業環境を作ることはできなかったが、それでもできるだけ快適に木工を楽しみたいと、間口2730×奥行1820mmの工房小屋をセルフビルドしたのだ。
新工房には、以前から使ってきた工具などを可能な限り持ち込んだ。テーブルソー、トリマースタンド、ボール盤、角ノミ機、糸ノコ、卓上丸ノコ…DIY歴20年だけあって、大型工具もそろっている。ただ、大型の電動カンナ類はさすがに収まりきらず、別の場所に保管しているそうだ。
真ん中に鎮座する作業台も、以前の工房から引き続き使っているものだが、元はもっと大きかったのを、この工房に収まるサイズにぶった切ったのだとか。
窓を開ければ長材も扱えるように、テーブルソーを窓際に配置しているのは、狭小工房にとても有効な工夫。小物類は中身がわかるようにラベルを張った収納箱にしまい、その箱を棚にビッチリ詰め込むことで収納量を増やしていることにも注目したい。
そんな風に空間の使い方にこだわるSさんだが、作業台の下には愛犬の居場所をしっかりと確保しているのが面白い。以前より狭くなったとはいえ、愛犬と寄り添いつつ木工に没頭できるこの工房も、どうやらすっかりお気に入りの様子だ。
写真◎佐藤弘樹
*掲載データは2013年12月時のものです。