ノコギリ、カンナといった手工具は見るからにシンプルな構造で、メンテナンスといっても拭き掃除ぐらいしか考えられないが、こうした工具も、鉄と木材の組み合わせで組み立てられているので、分解掃除なども可能で、パーツの交換もできるのだ。
これでもっと手工具に親しめるようになろう。今回はノコギリとカンナのメンテナンス。
ノコギリの刃交換
ノコギリの刃は一般的に厚さ7mm程度と、薄く仕上げられているので、簡単に曲がってしまうし、サビも浮きやすい。また、切れ味が落ちたのをわからないで使い続けている人も多いようだ。刃が曲がったり、折れたりしていないのに、なんかノコギリの調子が悪いなと思ったら、刃が減っていると思って間違いない。切れ味が悪くなると、そのノコギリに手を出さなくなり、ほっておくとサビサビになってしまうということが多い。
現在のDIYに使われるノコギリは、メーカーごとに取り付け方法が違ったりするが、ほとんどの場合、刃は交換式となっている。自分のノコギリが交換式かどうかわからない場合は、ホームセンターで店員に見てもらえばすぐにわかる。メーカーがわかったら適応する新しいノコギリ刃を買ってくれば、すぐに刃を交換することができる。
新しい交換用の刃を手に入れたら、各メーカーの説明に従って、刃を交換する。ここで紹介する例では、柄の背金に沿った刃のフックを取り外し、取り付けすることで刃を交換できる仕組みになっているタイプ。注意する点は、工程の一部で直接刃を握る場面があるので、手を切らないように紙で包んだり、皮手袋をするなりして作業すること。
<ノコギリ刃の交換手順>
- 交換刃を用意する
- 古い刃を取り外す
- 新しい刃を正しくセットする
- 新しい刃を取り付ける
- できあがり
カンナの下面(下端)のメンテナンス
カンナの刃が仕込まれている木の部分は台と呼ばれる。この台の調整を台直しと呼び、刃の突き出し調整と、台の調整の組み合わせで、軽く引いてよく削れるカンナにすることができる。
台の調整はカンナの下面(以下、下端)の一部を薄く削り、刃の幅一杯に材との摩擦を最小限にして、軽く引けるようにすること。
メンテナンスは、はじめにカンナの下端をサンドペーパーで真っ平らに調整してからはじめる。平らな作業台の上にサンドペーパーを広げて、カンナの下端を当てて研摩する。こだわる人は、より精密な平面の得られる、鏡の上や板ガラスの上にサンドペーパーを置いて作業するという。
カンナの下端を削るには台直しカンナという専用のカンナもあるが、DIY用であれば、幅の広めのノミを真っすぐ立てて構え、これで削る方法でいい。台の下端を削る深さは0.1mm程度。デジタルノギスなどを使えば削り量を簡単に計測できるが、真っすぐな定規を下端に当てて、明かりを透かして見るという方法でも十分だ。
<カンナの下端調整の手順>
- カンナ刃、裏金を緩めて下端面より沈める
- サンドペーパーで下端を平らに均す
- 墨つけする
- 下端を削る
- すき間の確認
- カンナ刃、裏金の突き出し量の調整
- 試し削り。できあがり
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*掲載データは2012年12月時のものです。