dopa本誌でこれまで何度かお届けしている物置作り完全リポート。
今回のテーマは、木の壁とはまた違う温かい表情が特徴的な塗り壁だ。
物置とはいえ、その佇まいに心惹かれる、キュートな庭の構造物となるだろう。
作り方は意外とカンタン。DIYで味わい深い作品をモノにできること請け合い!
*道具や資材、床作り~壁の骨組みの作りなどを解説した前編はコチラ!
意外とカンタン!

物置の構造図面

作業の流れ
- 床を作る
- 壁の骨組みを作る
- 屋根を張る
- 壁を張り、各部を仕上げる
- 外壁材を塗る
- 外壁を塗装する
Step3 屋根を張る
01 屋根の骨組みを組み立てる。下穴をあけて75mmビスで接合。材が交差する部分は、相欠き組みの上、35mmスリムビスを打つ(相欠きについては後述のPoint02参照) 02 壁の骨組みに、屋根の骨組みを固定する。75mmビスを使用 03-1 正面と背面に骨組みを追加 03-2 場所によってはビスを斜め打ちする。75mmビスを使用 04 骨組みに屋根の下地を固定する。35mmスリムビスを使用。合板の継ぎ目が、骨組みの上になるように配置する 05 下地にルーフィングを張る。タッカーでステープルを打って固定。ルーフィングや屋根材は下から張るのが鉄則 06 屋根の骨組みをくるむように、ルーフィングを張り終えた 07 屋根材(オンデュビラタイル)を張る。裏側に骨組みが通っているところに75mmビスで留める。ビスにはオンデュリン専用のクギキャップをつけておく
POINT02 相欠き加工は意外と簡単
2本の材の接合部を半分ずつ切り欠いて組み合わせる相欠き。高精度に仕上げるのは難しいが、今回の使用箇所はそれほどシビアに精度を求められるものではないので、ビギナーも十分に対応可能だ。
材をある程度まとめて切り欠くと効率的。材の上面をそろえてクランプで固定する(*作品で使用するのは3本) 01 丸ノコの刃の深さを材厚の半分に設定。今回は40mmの材なので20mmにする 02 角度定規をガイドにして、切り欠く範囲を切り込む 03 なるべく密に切り込むと、きれいに仕上がる 04 ノミで切り残しを根元から折る 05 さらに残った部分を削り取って、切り欠き完了 06 屋根の骨組みに使用する材。切り欠き同士を組み合わせれば、相欠き組みとなる
Step4 壁を張り、各部を仕上げる
使用する壁材はラスカット。構造用合板の2~3倍の価格だが、耐力壁の役目を果たしつつ、そのまま塗り壁の下地にもなるスグレモノだ。塗り壁の物置を作るには、最も手軽な方法といっていいだろう 01 各壁面の形に合わせてラスカットをカットする(窓抜き加工については後述のPoint 03参照) 02 ここでドア枠のわきにも骨組みが必要なことが発覚。追加した 03 骨組みにラスカットを固定していく。41mmビスを使用 04 正面、背面ともに軒天を張り、それをくるむようにルーフィングをステープルで固定 05 さらにルーフィングを覆うように棟カバーを張る 06 ドアの骨組みを組み立てる。9mm径ドリルで座掘りしてから75mmビスで接合 07 ビス打ち後、座掘り穴には丸棒を埋めておく 08 骨組みの裏面に、ラワン合板を19mmビスで固定してドアの完成 09 蝶番でドアをドア枠に固定し、掛け金をつける 10 ドアのすき間をふさぐため、戸当たりをつける 11-1 側面に飾り棚をつける。あらかじめディスクグラインダーで角をラフに削っておいた板を固定 11-2 内側の骨組みに座掘りしてから120mmビスを打つ 12 これで躯体は完成。あとは外壁を仕上げるのみ
POINT03 丸ノコできれいに窓抜き加工する
小さい窓抜き加工ならジグソーを使ってもいいが、今回のように大きい場合は丸ノコが向いている。長い直線カットが必要になるので、直線ガイドを使うと仕上がりの差は歴然。というわけで、直線ガイドの自作方法から紹介しよう。
<直線ガイドの作り方>
01 今回、ドアに使うラワン合板(5.5mm厚)の余る部分を利用する。少し余裕を持ってドア部材が残るよう丸ノコでカット。フリーハンドでOK 02 カットしたラワン合板に、側面が真っすぐな材(ここでは18mm厚ランバーコア材の端部分)をフェンスとして固定。裏から19mmビスで留めた 03 フェンスの真っすぐな側面に、丸ノコのベースプレートをぴったり沿わせて、ラワン合板をカットする 04 これで直線ガイドの完成。このようにクランプを使い、墨線に合わせてセットする 05 フェンスに丸ノコのベースプレートを沿わせれば、墨線どおりにきれいにカットできる <窓抜き加工の手順>
01 ラスカットの裏面に墨つけし、墨線に合わせて直線ガイドをセット。丸ノコをこのように構える。ベースプレートは側面をフェンスに沿わせつつ、先端のみ接地している状態。安全カバーは上げておく 02 丸ノコを作動させる 03 ベースプレートの側面をフェンスに沿わせながら、先端を軸にして丸ノコを下ろしていく 04 ベースプレート全面が接地するまで丸ノコを下ろし、ラスカットに切り込む。墨線の角ぴったりに切り込むのは難しいので、少し切り残しができるくらいでいい 05 あとは丸ノコを直線ガイドに沿わせながら、墨線どおりに切り進める 06 4辺をカットしたら、四隅の切り残し部分をノコギリでカットすれば窓抜き加工が完了
Step5 外壁材を塗る
01 まずは養生。マスキングテープとマスカーを使う。塗り厚を考え、壁面から5mmほどすき間を空けて張っていく 02 壁の下端には、下端起こしというL字形の部材をステープルで留める。塗り壁の下端をきれいに仕上げるためのものだ。ただし、通常は業者向けのケース売りなので、DIYでは代用品を検討したほうがいいかも… 03 ドア下には逆向きに下端起こしを留めた 04 ラスカット同士の継ぎ目や、ラスカットと木部の継ぎ目を、すべてコーキングする。コーキングガンにシリコンシーラントをセットして作業する 05 周囲にブルーシートを敷いて、壁塗りの準備が完了。ドアや棚はマスカーで完全に覆っている 06 セメントと軽量発泡骨材を混ぜたもの(後述のPoint 04参照)をラスカットに直接塗っていく。コテ板に塗り材を載せ、そこからコテですくってラスカットになすりつける(後述のPoint 05参照)。塗り厚の目安は5mm程度 07 角は丸く仕上げるイメージで塗る 08 1回目の塗りが完了。このあと2度塗りをするが、できれば翌日まで乾かすのが理想 09 壁に張るタイルを準備する。シート状のタイルをカッターで適当なサイズに切り、そのサイズに合わせて発泡スチロールをカットする 10 壁面が乾いたら、接着剤代わりに塗り壁材を薄く塗り、発泡スチロールを張りつける 11 2度塗りを行なう。10mm厚の発泡スチロールとだいたいツライチになるのを目安に塗っていく 12 2度塗りが完了。塗り厚はほぼ均一だが、骨材が大きいためモコモコした雰囲気。角を丸く仕上げたのも効いている。この状態で翌日まで乾かす
POINT04 セメント+軽量発泡骨材で施工しやすく、味のある仕上がり
今回の塗り壁のポイントは、セメントに砂を混ぜたモルタルではなく、軽量発泡骨材を混ぜたものを使うこと。この発泡スチロールを細かく砕いたような骨材を混ぜれば、モルタルに比べ軽くて粘りがあるからDIYでも施工しやすく、骨材が大きいから厚塗りも容易。また、均一に近い塗り厚ながら細かい凹凸があるから、モコモコとした温もりのある表情に仕上げやすいのだ。
使用したのは「オートサンド」という業者向け製品だが、一般的には、インターネット通販や一部ホームセンターで販売されている「ティエスサンド」という同種の製品が入手しやすい。1袋数百円程度だ セメント(25kg)1袋に対し、軽量発泡骨材1袋程度の割合で混ぜ、水を加えて電動かくはん機や練りクワで練る 本当にDIYでも施工しやすいのか確かめるべく、編集部も挑戦。以前経験したモルタル塗りに比べて、確かに軽くて伸ばしやすかったです!
POINT05 壁塗りの必需品、コテ板は自作でOK
左官バケツやトロフネで塗り材を練ったら、適度な分量をコテ板に載せ、そのコテ板を片手で持ちながらコテ塗りをするのが基本。コテ板は市販されているが、合板の端材などで簡単に作れるので自作がオススメ。なお、コテはさまざまな種類があり、プロは各種使い分けるが、使用回数の少ないDIYでは金属ゴテが1本あればOK。長さ180~210mm程度のものが扱いやすい。
職人さんが使っていたコテ板。表面は30cm角程度の合板 裏面には角材などで持ち手をつける。このように少し斜めにつけると持ちやすい
Step6 外壁を塗装する
01 壁面が乾いたら、張りつけておいた発泡スチロールを取り除く 02 ローラーでセメント壁用シーラーを塗る 03 端部はハケで塗る 04 シーラーを塗り終えたら、製品パッケージに記された乾燥時間にしたがって乾かす 05 シーラーが乾いたら、セメント壁用塗料を塗る(後述のPoint 06参照) 06 塗装完了。2度塗りで仕上げた 07 養生をはがす。塗料や塗り壁材が一緒にはがれないよう、適宜カッターを使ってきれいにはがす 08 タイルの裏面にタイル接着剤を塗り、準備していた窪みに張る 09 ゴムベラでタイル目地材を塗り込む。慣れない場合は、手袋をはめた手で直接塗り込むほうが早いかもしれない 10 はみ出た目地材を拭き取る 11 タイル張りが完了 12 これで完成。温もりを感じさせるキュートな物置ができた! 13 あとは収納物に合わせて内部をアレンジすれば、さらにグッド。ひとまず骨組みに合板を渡すだけでも2段の物置になる
POINT06 水性塗料を水で薄めると塗りやすさ劇的アップ!
軽量発泡骨材を混ぜたセメントを塗った壁面は、凹凸があり、窪み部分には塗料が入り込みにくいので、水性塗料を水で少し薄め、サラサラの状態にするとスムーズにまんべんなく塗れる。また、広い面をローラーで塗り、端部をハケで塗るのが基本だが、とくに塗料が入りにくい窪みには、ハケで突くように塗ったり、筆で塗ったりすると、きれいに塗ることができる。
ハケで突くように塗ると、窪みに塗料が行き渡りやすい ローラーとハケの二刀流で奮闘する編集部 とくに細かい窪みには筆がオススメ
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*掲載データは2013年10月時のものです。