手で挽くノコギリと同じく直線を切るという作業を、ノコギリより大幅に素早くこなせるように生まれた電動丸ノコ。DIYでも大量の材を切断するなど、基本的な工程で大活躍してくれる電動工具だ。
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作業中、丸ノコの動きに逆らわない
材を切るときは、材が傾かないように平らに置き、刃が正確に墨線に沿うようにベースプレート先端の墨線目盛りを合わせ、ベースプレート前部を材に載せる。このとき刃は材に触れないように注意する。刃が材に触れていないことを確認したら、ハンドル下のトリガースイッチを引き、モーターを始動させ、刃が安定したスピードで回転しているのを確認して切り始める。刃が材に触れている状態でスタートすると、キックバックして刃が跳ね上がるので危険だ。
材を切っているときは、丸ノコのベースプレートの前や後ろが持ち上がらないように置き、刃が材を切っていく速さに合わせて、真っすぐに墨線に沿って切り進める。丸ノコの作業中は、絶対、無理に押してはいけない。無理に押すと必要以上に刃が材に押し付けられ、キックバックして、跳ね上がった丸ノコが自分の方に走ってくる場合があり、とても危険だ。このため丸ノコの真後ろに立たないようなポジションを取ることも大切だ。運転中の電動工具を腕力で制御するのは不可能なので、機械なりの動きに素直に動かしてやるというのは、電動工具の使いこなしでは重要なポイントだ。
丸ノコは手で支えて機械の方を動かして材を切る電動工具なので、絶対に万力などで丸ノコを固定するような使い方はしてはいけない。
<丸ノコを使って木材を切る❶(切る量が少ない場合)>
ロアガードは固定しない!
切り始めにロアガードを上げてから、丸ノコを進めるのがわずらわしいので、本職の人たちは写真のように、木のくさびでロアガードを上げた状態で、固定して使っていることが多いが、刃がむき出しになり、回転しない状態でも体に触れれば切れるし、回転している状態なら、指など簡単に吹き飛ぶ。丸ノコのロアガードを固定した状態でキックバックしたり、転倒したりしたはずみに大怪我をしたり死亡したりという事故は、本職の大工の間でも年に何件かあるという。ロアガードの固定は絶対にしてはならない。
<丸ノコを使って木材を切る❷(切る量が多い場合+ガイドの利用)>
作業中、体は伸び切らないようにする!
合板など長い面を切るときに、丸ノコを進めているうち、写真のように体が伸び切ってしまうと、丸ノコを保持しづらくなり、刃が左右にぶれたり、丸ノコの前が持ち上がったりする。これが原因でキックバックが起こり、丸ノコがもんどり打って自分の方に飛んで来たり、材の上に飛び出して、自分の方に走ってくるという、とんでもない事故の原因になる。長い距離を切るときは、体が前に傾いて腕が伸び切る前に、材の横に移動して、無理のない姿勢で切るようにする。材の横に体を出せば、何メートルある材でも、丸ノコと一緒に材の横を歩いていけ、安全に切ることができる。
<丸ノコを使って材を切る❸(平行定規を使って長い距離を切る)>
<丸ノコ用直線切りジグ(角度定規)の使い方>
<丸ノコを使った傾斜切り>
刃を交換して丸ノコの性能を使いきる
刃の交換できる丸ノコは、素材別に用意された交換刃を使えば木材、木質素材、スタイロフォームなど異素材を切ることができる。交換刃は金属、非鉄金属、アクリル、塩ビ、レンガ、コンクリート、石材などを切るためのものがあり、刃の表面やパッケージに適応素材が明記されているので、必要に応じた交換刃を購入する。購入する刃のサイズは、自分の使っている丸ノコの使用サイズと、同じものを使うのが原則だが、若干小さい径のものも使用できる。また丸ノコに取り付ける刃の真ん中の開いた取り付け穴径も、自分の丸ノコのものと同じものを選ぶ。165mm径の丸ノコでは20mmというのが一般的だ。
アングル用チップソー
主な切断の目的が、Lアングルの切断なのでアングル用と名づけられているが、ステンレス、焼きの入った鋼材以外の厚さ5mmまでの金属を切断できるチップソー。
丸ノコ用切断砥石
レンガやコンクリートブロックを切るといえばダイヤモンドホイールを使いたいが、一枚の価格が数千円と、ちょっと高価。切断砥石なら同じサイズで数百円。ダイヤモンドホイールより減りは早いが、価格はリーズナブル。
写真◎冨士井明史
*掲載データは2011年10月時のものです。