収納家具を作るうえで重要なポイントになるのが扉の固定方法。設置場所の環境、用途に合わせて最適な扉を取りつけるのが、快適な収納空間を実現するセオリーだ。ここではシーンに合わせた7つの扉の製作方法を紹介。空間にベストマッチする金具選びと扉の納め方を学ぼう。
写真◎福島章公/イラスト◎丸山孝広
堀口”Good”丈夫(グッジョブ) Takeo Horiguchi
東京都世田谷にある木工専門シェア工房「みんなの木工房DIY好き。(だいすき)」主宰。各種工具の使い方から製図の方法までを指導するDIYアドバイザー。https://www.diysuki.com/
省スペースな扉の代表格 引き違い戸(板戸)
収納家具の扉の定番のひとつでもある引き違い戸。そのメリットは開き戸のように開閉のためのスペースがいらず、左右両方から開けられること。また開けたままの状態でキープできるので、食器棚などにぴったりだ。一方、デメリットは戸が片側ずつしか開かないので、間口が小さく、戸が前後に重なるぶん有効奥行が狭くなる。戸を上手に入れるには、溝の深さ、戸の大きさ、すき間の細かい設計がポイントとなる。

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作例では幅553×奥行300×高さ361mmのボックスを製作
【使用する資材と金物】
ラジアタパイン集成材(厚さ15×幅300×長さ1820mm/長さ910mm)それぞれ1枚、ステンチリ返し引き手(90mm)1セット
【使用する道具】
丸ノコ、ドライバードリル(プラスビット1番/2番、6mm径ドリルビット)、トリマー(10mm径ストレートビット)、ストレートガイド、サシガネ、メジャー
【引き違い戸の側面図】*単位はmm *金具は省略

【木取り表】*背板はなし
336×273mm 2枚 板戸
300×523mm 2枚 天板・底板
300×360mm 2枚 側板
【引き違い戸(板戸)の製作手順】*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます
01 天板、底板の端部にトリマーで2本の溝を彫り、板戸が走るレールを作る。加工位置はイラスト参照 02 加工した底板。10mm径のストレートビットを装着し、深さ3mmの溝を2本切削した 03 天板裏には深さ8mmの溝を彫る。3、6、8mmとビットの出幅を3回に分け、ていねいに切削を進めよう。これでレールの加工は完了 04 続けて板戸を加工する。レールにはめ込めるよう、戸の上下を切り欠く。加工位置はイラスト参照 05 今回、板戸の切り欠きはトリマーテーブルを使用した。もちろん通常のトリマーでの加工でもOK 06 戸の下端は幅6mm、深さ5mm、上端は幅6mm、深さ10mm欠き取る。トリマーテーブルでは3、5、8、10mmと徐々に切削を進めた 07 切削部分のバリをハンドサンダーで均したら、板戸の切り欠きの完了 08 板戸に引き手をつける。まずは引き手の形状に合わせて溝を彫るための墨つけ。なお、金物の引き手をつけず、板に指かけ用の穴をドリルであけて完成としてもいい 09 10mm径のストレートビットを装着したトリマーで深さ9mmの溝を彫る 10 幅16mmなので、2回に分けて溝を切削(1回目) (2回目) 11 コーナーの彫り残しは追い入れノミできれいに欠き取る 12 ネジ用の下穴をあける。ここでは6mm径の竹用ビットの先端で印をつける程度に穴をあけた。キリなどを使ってもOK 13 ドライバードリルでビスを締め込んで引き手を固定 14 天板、底板、側板を32mmのビスで固定して箱を作る 15 2枚の板戸をレールにはめ込めば、引き違い戸の完成