DIYキャンパーのネクストステップは、ズバリ鉄と布の加工。木工と組み合わせれば、ギア作りの幅が一気に広がること間違いなし!ここでは誰もがトライできるお手軽テクニックを厳選して紹介します。
~教えてくれる人~
浅田圭介さん
誰でも気軽に溶接体験ができるショップ、Fe★NEEDS(SUZUKID)鎌倉店、中目黒店の店長で溶接の腕前はプロ級。キャンプ歴20年のベテランキャンパー。自作ギアの一部は商品化、販売されている。
<裁縫編>
工業用ミシンの構造と名称
- LEDライト…手元の明かりに
- 押さえレバー…押さえ金を上下させる。作業中は下ろして布を押さえる
- 糸調子ダイヤル…上糸の糸調子を合わせる際に使用
- 押さえ金と送り歯…布地を上下でしっかり挟んで送る
- 下糸用半回転垂直釜…下糸を巻いたボビンとケースを収めておく釜
- 二つ折りバインダー…帯状の素材を二つ折りにして縫いつけていくツール
- 縫い目調整レバー…縫い目長さを0~5.5㎜の間で調整する。一番下に下げると縫う向きが逆に変わる。返し縫いに使用
- はずみ車…回すと針が上下に動く
- ジグザク振り幅レバー…ジグザグ縫いをする際の振り幅を0~5㎜の間で調整する
- 大型糸立て棒…使用中はミシン糸を棒に通し、立てておく
- 針移動レバー…針位置の変更レバー。基本はR(右)でOK
- 作業台…ミシンに合わせて作った木製の作業台
<工業用ミシン針>
<ミシン糸>
<フットコントローラー>
ミシンをざっくり分けると家庭用、職業用、工業用の3種類がありますが、僕が使っているのは工業用ミシン。理由は単純でキャンプギアによく使う厚い布地やレザーも縫えるパワーがあるから。もちろん、いきなり高価な工業用ミシンを買う必要はなくて、家庭用ミシンで裁縫に慣れていき、ステップアップしていくのもいいと思います。工業用は使い方や構造もシンプルなので、本気で裁縫を絡めたギアを作りたい人にはぜひおすすめです。
工業用ミシンで使う縫い糸ですが、帆布用・厚地ステッチ用途に適した20番か8番を使います。針のサイズは19番。これは数字が小さくなるに従って、径が太くなっていきます。ちなみに今回は紹介しませんが、レザーを縫う場合は針を革専用のものに代えて使用します。
工業用ミシンは家庭用ミシンと違って、下糸はボビンケースを使用する垂直釜でセットする仕組み(後述参照)。家庭用ミシンでよくみる水平釜に比べ、糸締りがよく、縫い目の仕上がりが安定するところもポイントですね。
ミシン縫いのスピードは付属のフットコントローラーで操作します。踏み具合によって、無段階に調節できるので、ゆっくり縫ったり、縫い目を微調整しながら縫えて、使いやすいですね。
使用する材料と選び方
キャンピングギア作りで使う布地の例
キャンプギアで使う布地は用途に合わせて選びましょう。強度が必要なのか、それとも防水が必要なのか。僕が作るのはチェアの座面やコットが多いので、厚手の布地、例えば4号帆布や耐久性のあるコーデュラナイロンをよく使います。逆に作ったギアを収納するツールバッグなんかは、薄手のものでOKです。いずれにせよ、外で使うものだから撥水加工されている生地であればベターです。でもそこにこだわりすぎず、デニムなど好みの生地を使うのもひとつの手です。ちなみに購入方法ですが、手芸屋さんではなかなか厚い生地が見つからないので、ウェブショップやネットオークションを使うことが多いですね。
ミシン縫いの準備
ミシンは上糸と下糸の2本の糸を絡ませて縫っていく。まずはミシン糸をボビンに巻いて、下糸の準備から始めよう。
<下糸を巻いて垂直釜にセットする>
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<上糸をかけて針に通し、下糸を引き出す>
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基本の縫い方
まずはミシン縫いの基本となる直線縫いと返し縫いをマスターしよう。はじめはゆっくり縫って動作になれたり、はぎれで練習してみよう。
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<縫う前にここも確認!> 縫い目幅の調整
直線縫いの場合は、布の厚さに応じて、縫い目の長さ(送り幅)を選ぶ。縫い目調整レバーの位置を変えて幅を調整しよう。薄地の布であれば、縫い目を細かく、厚手であれば送り幅を広く設定する。キャンプギア作りの場合は、厚手の布地が多くなるので、送り幅は3~4mmになるよう広めにとっておこう。
<縫う前にここも確認!> ジグザク縫いの振り幅調整
ジグザク縫いの振り幅もレバーで変更可能。縫い目幅と同じく、薄地の布には振り幅は狭く、厚手の生地には振り幅が大きくなるように設定しよう。
チェアの背もたれを縫う
直線縫いのテクニックを使って、ローチェアの背もたれを作ってみよう。二つ折りバインダーを使って、布端の処理をするテクニックにも注目!
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写真◎佐藤弘樹、冨田寿一郎
*掲載データは2019年4月時のものです。