ナポリピッツァの特徴は、ふっくら膨らんだ縁の部分。そのコルニチョーネ(イタリア語で額縁の意味)と呼ばれる縁の食感や、シンプルなトッピングゆえに堪能できる生地の風味など、本格ナポリピッツァならではの美味を家庭で味わうために作ったふたつの窯を紹介。
*Case1「タイル張りが美しい耐火レンガのドーム窯」の作り方はコチラ
Case2 赤レンガで覆ったキャスタブルのドーム窯
田んぼに囲まれた開放的な庭に窯を製作。土台のコンクリートブロックの塗装は、イタリア国旗に使われる赤、白、緑の各色を少しダークにアレンジしたもの
ドーム形の窯のまわりに赤レンガを積み上げた。土台サイズは幅約1450×奥行約1600×高さ約1000mm。窯の高さは約710mm。窯口のサイズは幅約500mm、高さ約210mm(最高部)
プレヒート中、保温のために窯口にフタをする。フタは知人が3mm厚の縞鋼板などを使って手作りしたもの
2種類のピザピールをネット通販で購入。皿が大きく、短いほうはピザを窯に入れるときに使用。もう一方は薪を入れるときや、窯の中でピザを動かすときに使う
Mさんもまた、前回のIさん同様、ナポリピッツァに魅了されて窯を自作。重厚な窯が木陰にたたずむさまは、本場ナポリの片田舎の風景のようで、眺めているだけでビールがおいしくなりそう。さらにテーブルにはこだわりのナポリピッツァが並ぶわけだから、それはもうたまらない。Mさんは、続くときには毎週のように、ここで家族や友人に本格ナポリピッツァを提供するという。
窯はもともと、キャスタブルで成形したドーム部分がむき出しの状態だったが、それでは断熱性が低く高温を保ちにくいため、周囲を赤レンガで囲み、すき間にパーライトを充填して長時間活用できる窯にグレードアップした。ドームのサイズは内径約1000mmと大きめ。前日から薪を燃やし、この大きな窯をしっかりと温めておいて、1分~1分半ですばやく焼き上げるのがMさんのナポリピッツァだ。
生地作りにもこだわりが見られる。使用する小麦粉とビール酵母はナポリ製、生地をこねるのは本場ナポリピッツァでも使われるスパイラルミキサーという具合。
「最初はナポリピッツァが好きなだけだったんですけど、自分で焼くようになってどんどんハマっちゃって、いろいろこだわるようになりました」
そう語るMさん、実は今、ナポリピッツァの店を開く計画を立てているのだとか。窯の自作から始まった新たな楽しみが、さらに大きく広がろうとしている。
Mさんの窯の構造図(側面) *単位はmm

<DATA>
製作者…Mさん(51歳/会社員)
材料費…約12万円
主な使用資材…
耐火レンガ66個、耐火キャスタブル10袋、赤レンガ約150個、パーライト450ℓ、コンクリートブロック、土のう袋、セメント、砂、砕石、割栗石
Mさんのおすすめ、チキンとレンコンのピザ
手前はマルゲリータにブロッコリーとシラスをトッピング。奥はオイルサーディンやルッコラが載る
Mさんちの窯作りダイジェスト
<土台を作る>
01 地面を500mmほど掘り、割栗石を敷く 02 砕石を50mmほど敷いて突き固め、その上にコンクリートの型枠を組み立てる 03 型枠内にコンクリートを打つ 04 コンクリートの上に重量ブロックを積んでいく 05 ブロックを5段積み、内側には土のう袋を詰める 06 土のう袋の上に、砂を水平に敷く <ドーム窯を作る>
01 砂の上に耐火レンガを敷いて炉床を作る。60個のレンガを使用 02 炉床の上に砂を盛り、ドームの型を作る。窯口の型には、約500mm径のプラスチックバケツを半分にカットしたものを使用 03 砂の上に濡らした新聞紙をかぶせる 04 新聞紙の上に耐火キャスタブル(アサヒキャスター13T)を約100mm厚で塗り、ドームを作る 05 耐火キャスタブルが固まったら、型を取り除いてドーム窯の完成 <断熱層を増設する>
01 窯口に再び型を設置し、半割りにした耐火レンガでアーチを作る。すき間に小石を入れて並べている 02 アーチの耐火レンガを耐火キャスタブルで固定。続いて、ほぼ土台いっぱいの広さで赤レンガを積んでいく。目地はモルタル 03 赤レンガを積み終わった 04 赤レンガの内側にネット通販で購入したパーライト450Lを充填する 05 パーライトの上にバサモル(水分が少なくバサバサしたモルタル)を敷く 06 バサモルの上にモルタルを塗って完成 *一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。
Mさんちのピザ焼き実況中継
<窯の準備>
01 薪は、近隣のゴルフ場などで伐採されたものを引き取ることが多い。チェンソーで玉切りし、7トンの電動薪割り機で割る 02 薪は十分に乾燥させて使う 03 前日の午後1時から11時までしっかりとプレヒートしておいた窯に、当日の朝6時、再び火入れ。おき火が途切れないよう、少しずつ薪を追加していく 04 3時間ほど薪を燃やし続けて、炉床の温度を測ると479℃。ナポリピッツァを焼くには400~450℃が適温なのでスタンバイOKだ。ネット通販で購入した赤外線デジタルサーモメーターが便利 <ピザの準備>
01 生地は前日から作り始める。まずはナポリ・カプート社の小麦粉、ナポリ産のビール酵母、塩、水を混ぜ、このスパイラルミキサーでこねる 02 こねたものを発酵器で1時間半~2時間ほど一次発酵させ、その後、ピザ1枚分ずつの量に切り分けて発酵器で二次発酵させる。発酵具合を見ながら8~12時間ほど 03 発酵した生地を手でのばす。空気を縁に向けて押し出す感じ 04 生地の内側は引っ張って薄くのばす 05 トッピングをして、ピザピールに載せる <ピザを焼く>
01 窯の中のおき火をピールで左に寄せる 02 おき火の上に薪を1本追加して燃やす。この状態でピザを入れる 03 ピザを入れるとみるみるうちに焼けていく。ピザを置いて待つ時間はあまりなく、ピールでピザを回転させたり、持ち上げたりして焼け具合をコントロール 04 1分ほどでナポリピッツァが焼き上がった *一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。
写真◎門馬央典(製作中カットは製作者提供)
*掲載データは2016年6月時のものです。