達人に訊く
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2022/5/24 17:17

ピザ窯作りのスタンダードな作り方を大公開!/ピザ窯・パン窯の作り方web上講座・後編

ピザ窯・パン窯を作る前に“知っておきたいこと”を解説した記事はコチラ

 

「これがピザ窯作りのスタンダードな手順です」(K県Mさんの場合)

手作りによるピザ窯の製作は、難しいともいえるし、簡単だともいえる。なぜか。手順をしっかりと踏めばピザ窯は誰でも簡単にできる。これは間違いがない。

しかし、だからといって、そこで美味しいピザやパンが焼けるかというとその保証はない。

最終的には偶然も支配するという火加減や熱加減になるわけで、そのあたりがピザ窯の奥の深さに通じるということなのだろう。

ここで紹介したいのがK県在住のDIYer、Mさんのケース。二層式ピザ窯を作った彼の記録を中心に見ながら、基本的な手順を説明してみよう。

 

手順1 土台を作る

窯を支える土台作りが最初の手順。基本的には現場を掘り下げ、砕石や砂利を打ち、地盤を固めてから土台を積んでいく。土台を薪のストック場所として使いたい場合はブロックを周りに積み、空間を作っておくといいだろう。そうじゃない場合は、ブロック、コンクリート、石材、自然石などを積み、場合によっては土や砂、ガラなどを詰めて土台を作る。予定している窯のサイズよりも大きめに作りたい。窯の重量がハンパじゃないので、がっちり作ること。ブロック積みは鉄筋を入れるほうがベター。

 

手順2 火床(燃焼室)を作る

土台の上に火床を作る。ここは直接薪を燃やすところなので耐火性が要求されるので、耐火レンガや大谷石、前述のアサヒキャスターなどが使われる。まず、土台の上に頑丈な板(コンクリート平板や石材、頑丈な角材など)を載せ、その上に耐火性資材を載せて火床にするというケースが多い。

 

手順3 窯の壁積みを始める

いよいよ窯作りスタート。火床の両サイドと後に耐火レンガを積み始める。接着材は素人には手に負えない耐火モルタルではなく、アサヒキャスターを使うほうが安心。蓄熱性を高めたいならば、レンガをダブルに積んで壁を厚くすればいい。耐火レンガの外側がそれほど高温にならないので、通常のレンガを積んでいる例も多い。

05 耐火レンガを積んだ。内側にいくつかのレンガが飛び出しているのは、この上に後述の焼き床を載せるため。レンガの接着はアサヒキャスターで行なった

 

手順4 焼き床を作る

二層式(連続燃焼式)では、窯の中段に焼き床が必要になる。焼き床は耐火性が要求されるので、大谷石や耐火レンガ、アサヒキャスターなどを使用する。アサヒキャスターによる焼き床作りは、型に流し込んで固めて作るという方法がスタンダードだ。流し込んでから24時間後にはカチンカチンに固まっている。これを焼き床として中段に載せる。

 

手順5 窯の壁積みと天井、煙突を作る

耐火レンガやアサヒキャスターを使って、窯をドーム状、あるいはかまぼこ型にするときは「型」が必要だ。ドーム状にするときには、砂を山のように盛ってその上にアサヒキャスターを流すという手法もあるが、一般的なのはやはりベニヤ板などで型を作る方法。型に沿ってレンガを積み、並べていく。レンガをかまぼこ型に並べて積んでいくにはくさびをうまく挟んでいくのがポイントだ。なお、目地材はやはりアサヒキャスターがおすすめ。

 

手順6 窯口の扉を作る

窯口が大きすぎると温度が上がらなくなるので、レンガを加工し、アサヒキャスターをうまく使って、窯口を適当な広さまでふさぐ。扉は鉄製の立派なものじゃなくても実用上何の差し支えもない。燃えにくい堅木を窯口の形に加工し、ピザ窯使用時のみに窯口を塞いでもいい。多少焦げるが、これが嫌だという人は、内側に防火効果のあるケイカル板や石こうボードを張ってもいい。もし、鉄板の加工や溶接に挑戦したいという人がいれば、鉄製の扉を作ってもいい。

 

*掲載データは2010年6月時のものです。