達人に訊く
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2022/8/17 17:17

暑さも雨もしのげる!屋根つきウッドデッキの作り方を図解で解説(1)根太の仮設置編

ウッドデッキを作るなら、あるいは既にデッキをお持ちなら屋根をつけて、雨天でも使える空間にしてみてはいかがだろうか。

さらに、ちょっとした壁をつければ、適度な開放感とプライベート感を両立する半野外空間が生まれる。

内でもなく、外でもない、風が通り抜ける居心地のいい場所。きっとそれは、ライフスタイルを変えてしまうほどに、効果的なスペースとなるだろう。

そして、そんな魅力的な空間は、十分、DIYで作ることができる。

方法はいろいろあるが、ここでは創刊以来14年にわたってノウハウを蓄積してきた本誌が、もっとも現実的と考える手順を、モデルケース図を使って詳しく紹介していこう。

 

 

<記事内ギャラリー>

 

Step1 根太(床の下地)を組む

まず、床=デッキを作る。

デッキを作るというと、地面の整地から始めて基礎→束柱→根太というように、下から上へと作業を進めなければならないと考えるかもしれない。しかし、もともと水平ではない地面の上に水平なデッキを作るには、この手順では非常に手間がかかる。

それより、先に根太を組んで、設計した高さに水平に仮置きし、それに合わせて束柱と基礎を設置したほうが、作業が早い。

そのため、最初に行なう作業は根太を組むことだ。

デッキの面積にもよるが、組み上がった根太を運ぶため、人員が4人いると申し分ない。

 

 

コーススレッドの基礎知識

コーススレッドはビスの一種で、ネジ山のピッチが比較的大きく、締め込みやすいのが特長。今回のモデルケースにおける接合作業は、特記のない限り、コーススレッドを、ドライバービットを装着したインパクトドライバーで締め込んで行なうのが作業性がよく、おすすめだ。

厚さが38mmの2×4材、2×6材を使ったデッキ作りでは、材の厚さの2倍に近い65mm、75mm程度のものを使うといい。壁材に厚さ19mmの1×4材を使うなら、38mm程度のものが適している。材質はメッキを施した鉄が一般的。予算に余裕があれば、ステンレス製が錆びにくくていい。

上から75mmステンレス、75mmユニクロメッキ、65mmユニクロメッキ、38mmユニクロメッキのコーススレッド

 

木材の基礎知識

木材は、インチ単位で規格化された2×材が使いやすい。1×4材は木口(断面)が約19×89mm、2×4材は38×89mm、2×6材は38×140mm、4×4材は89×89mm。モデルケースでは、根太、床板、桁に2×6材、垂木、桟、幕板に2×4材、柱、束柱に4×4材、壁に1×4材を使用している。

樹種については、SPFがもっとも安価で、大抵のホームセンターで販売されていて入手しやすい。やわらかく加工しやすいのも利点だ。ただし、耐久性は低いので、最初にしっかりと塗装するのはもちろん、定期的に再塗装してできるだけ長持ちさせたい。束柱や根太など地面に近い部分には、あらかじめ防腐処理が施されたものを使うのもいいだろう。

SPFより耐久性が高いウエスタンレッドシダーも、加工性がいいソフトウッドで、デッキ材として定番だ。

塗装不要なほどに耐久性が高いのが、サイプレス、ウリン、イペ、セランガンバツーなどのハードウッド。2×規格ではないが、デッキ材としてそれに近いサイズで販売されている。硬いため、加工しづらい面もあり、ビスを打つにはあらかじめ下穴をあける必要がある。

また、最近では上記以外の樹種や人工デッキ材なども目立つようになり、選択肢が広がっている。

 

SPFの2×材の木口。他に1×6材(木口サイズ約19×140mm)、2×8材(38×184mm)、2×10材(38×235mm)などさまざまなサイズがある

 

Step2 根太を仮置きする

組んだ根太を、設置場所に仮置きする。

基礎石やコンクリートブロックなどを下に置いて、根太を仕上がりの高さに持ち上げる。その際、根太の上に床板の厚さが加わることを計算に入れておくこと。

根太がほぼ思い通りの高さになったら、次は水平になるよう調整する。根太の上に水平器を置いてチェックしながら、端材で作ったクサビを根太の下にはさんで微調整していく。

なお、この作業の後、根太の四隅の下に穴を掘って基礎石を設置するので、ここでは四隅付近には基礎石やコンクリートブロックを置かずに空けておく。

根太の高さを決める際は床板の厚さが加わることを忘れずに

床面の高さは、掃き出し窓の水切りの下にちょうど収まるぐらいか、それよりやや低く設定するのが一般的。

 

塗装の基礎知識

SPF材を使う場合は、必ず塗装して耐久性を高めよう。

使用する塗料は、「木部」および「屋外用」と表記されているもの。その中で、水性か油性か、そしてステイン系かペンキ系かを選ぶことになる。それぞれ、どちらを選んでも問題ないので、好みを生かせばいい。

水性は溶剤が水で、油性は溶剤がシンナー、アルコールなどの油性のもの。扱いが手軽なのは水性だ。

ステイン系は木材に浸透し、内側から木を保護する。一方、ペンキ系は木材の表面に塗膜を作り、表面で木を保護する。そのため、見た目でも、ステイン系は木目を生かし、ペンキ系は木目を隠すという違いが出る。

塗装のタイミングは、完成後だと、ちょっとしたすき間や隅など塗りにくい部分ができる。その上、色を塗り分けるとなるとマスキングが必要になるなど手間が増える。組み立て作業に入る前に、材を作業台に並べて一気に塗ってしまうほうが効率がいいだろう。ただし2度塗りをする場合は、製作前と完成後に1回ずつ塗るのが一般的だ。

 

組み立て前に、作業台に材を並べて一気に塗装する。ハケで塗る他、ウエスで拭き込むようにして塗り広げるのも有効な方法

 

塗装した材を切断した場合は、あらためて木口を塗装する

 

*掲載データは2011年2月時のものです。

イラスト◎丸山孝広